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超満員のゼロワンとスーパーJカップに思う事

7.28 後楽園 ゼロワンの年間最大のビックマッチ火祭り決勝戦が行われ、西側バルコニーを解放するほどの超満員1612人となった。前回3月の後楽園は、18周年記念興行ながら758人という来場者数に留まったことを考えると、倍以上の集客となった。

メインの火祭り決勝戦は火野裕士が若い岩崎永遠を退けて初優勝を遂げる展開となったわけだが、今やゼロワンに欠かせない存在となった火野の大人げない程キツく決まった最後のFucking Bombはやはり壁の高さを見せつけた。

ゼロワンという団体はかつて橋本真也が新日本を離脱し、創立した団体である。その後、橋本の死去や裁判沙汰になる死亡事故など様々なことがあり、段々と規模が縮小、東京でのビックマッチでも来場者数が400人程度まで落ち込むような状況になったという。過去には若かりし頃のAJスタイルズやサモア・ジョーも参戦したことがあるのだが、幅広い外国人選手の参加は目玉の1つだった。

今回の後楽園、メインの火祭り決勝はもちろんなのだが、セミには大谷、高岩vsライガー、サスケのタッグマッチが組まれていた。かつて90年代新日ジュニアの最高峰とも言える抗争となった大谷、高岩など若手組とライガーが対峙し、さらにサスケが彩る一戦を見るために多くのお客さんが来場したのは間違いない。試合後、ライガーは来年1月での引退までにゼロワンにまた上がることを約束して見せた事が話題になっている。

そこで、気になった事がある。

新日本プロレスで来月、スーパーJカップが開催される。今年はアメリカでの三連戦となるのだが、ここに誰がラインナップされるのか注目を集めている。だが、一昨年のスーパーJカップでは結果的に新日本内のユニット抗争を回収するに過ぎず、何人かのインディー団体から上がった選手を活かしきらずに終わってしまったことへの批判が非常に大きかった。

デイビーボーイスミスJr.離脱の告白により、参戦選手の起用方法について揺れる最中、スーパーJカップがどうあるべきか、新日本は少し考えてみてほしいのだ。

スーパーJカップというのは、ライガーが団体の垣根を取っ払っていい選手をもっと世に広めるべく、門戸を広く解放して開催をしたジュニアの祭典であり、外道も、TAKAみちのくも、サスケも、ウルティモ・ドラゴンもみんなこのスーパーJカップを経て、爆発的な認知を得たし、先ほど出たサモア・ジョーのような00年代のインディー選手は擦り切れる程このVHSを見てきたと言われている。

確かに、CMLL、ROHとの提携があり、イギリスマット、オーストラリアマットとの関係も強めている現在、日本のインディー選手にこだわる必要こそないのかもしれないが、スーパーJカップという名称を使う以上、新日本プロレスのお家事情を持ち込むのはナンセンスだと思うのだ。それではベストオブスーパージュニアと何が違うというのだろうか。

まだ国内開催だった一昨年の興行ですら新日本の中のストーリーを持ち込んでしまったのに、アメリカで開催する今年はただ冠を利用しただけの大会になってしまわないだろうか。

大谷、高岩、サスケと同じリングに上がるライガーという画にかつてスーパーJカップを提言した時の熱さと身軽さを思い出したのだ。ライガーは著作の中で、会社の人間の後押し、手助けがなければ出来なかったと語ってはいるものの、スーパーJカップの意義というものは少なからず押し通されてきたと思う。

かつてのスーパーJカップというのは、本当に夢のような顔合わせだった。名も知らないような選手が驚くようなムーブを見せるジュニアの華やかさや強さを繰り広げる、ヘビー級にはない戦いの場だった。だが、今はインターネットも根付いてる中、例えば、前回お話したようなPWGのバトル・オブ・ロサンゼルスのようなアメリカインディー界の中のトーナメント戦なども存在している状況で、もし新日本中心のスーパーJカップを開催したところで世界の人々が見たいものが見れるのか。

漏れ聞こえてくる新日本内部の声としては、新日本に属従してくれるかどうかが重要視される一方、外国人選手は飽和状態にあるということはこのスーパーJカップにとっても重要な問題と言える。一体、誰をトーナメントに入れ、どんな内容にするか。これはG1以上に、世界中のレスリングファンが注目し、今後新日本が海外戦略としてどういうスタンスを取るのかが明らかになると言える。今一度立ち止まって、新日本プロレスの何が求められているのか考えてみるべきではないだろうか。

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