業務改善は最初の一歩から。事例シェアで広がるkintoneの活用
こんにちは。オープンコラボレーションハブ「LODGE」です。LODGEは地方自治体のDX支援の一環で、オンラインイベントの開催などを行っております。
「官民DXの現場から学ぶ手法と効果(全4回)」
このイベントシリーズでは、具体的な事例をテーマに、自治体DX、民間DXの事例共有と応用展開の手法をご紹介します。
シリーズは全4回。
豊富な先行事例をお持ちの神戸市様とともに各回多様なゲストとのクロストークをおこないます。
自治体DX推進の新しい気づきやエッセンスを、みなさまとともに学べる機会となることを目指しています。
シリーズ第3回は11月2日に【業務ツール「kintone」活用と効果】を開催しましたので、ご紹介します。
アーカイブ動画はこちら
(1)kintoneの活用方法、他自治体での活用事例
サイボウズ株式会社瀬戸口様よりKintoneの活用方法、他自治体での活用事例をご紹介いただきました。(アーカイブ動画はこちら)
ノーコード で「だれでも、簡単に、素早く」業務改善
(サイボウズ:瀬戸口さん)
自治体のデジタル化に存在する壁は外注、内製ともに多く、その壁を乗り越えるツールとして「ノーコードツール 」が注目されています。
kintoneの最大の特長としては、ドラック&ドロップでシステムプログラミングや専門知識がなくてもシステムを構築できるという点です。
だれでも簡単に素早く業務改善ツールを作成できるため、自治体で利用が進んでいます。
自治体におけるkintone活用の広がり
kintoneを活用している自治体はここ数年で増えており、市区町村だけではなく省庁や都道府県での活用が広がっています。
ここでは3つの事例を紹介します。
自治体間でシェアしDXを加速
サイボウズでは、自治体間でのシェアを支援するコミュニティーの運営やオンライン研修の実施、アプリを参照できる環境の整備などの取り組みに力を入れています。
今後も、複数の自治体がつながり、お互いに良い情報を渡し合うことで業務改善が進んでいくよう支援をしていきたいと思います。
(2)神戸市での活用事例、人材育成
次に、神戸市 宇都宮様より具体的な活用事例をにご紹介いただきました。(アーカイブ動画 はこちら)
kintoneの活用ユーザーは直近1年半で10倍以上に
(神戸市:宇都宮さん)
神戸市では全庁的な業務改善ツールとしてkintoneを導入し、2018年4月に10ユーザーで開始し、現在は1100ユーザーを超えています。
特に、20年3月から21年9月にかけてユーザー数は10倍にも増えました。
環境としては、インターネットとLGWANと2つで取り扱っています。
活用が増えた中で、さまざまな事例ができましたのでご紹介いたします。
事例をきっかけに広がる庁内活用
単体の業務改善にとどまらず、庁内、他自治体への横展開や、評価を受けることで、スター職員が誕生し、「kintoneを試してみよう」と思う職員が増えるきっかけにもなった事例をご紹介します。
活用事例:公用車運転日報
紙で行っていた日報の報告業務をkintoneと3つのプラグイン(フォームブリッジ、kViewer、プリントクリエイター)で現場若手職員の藤原さんがシステムを作成し現場に導入、スマホやPCで対応可能にしました。
現場担当者による課題発見〜開発・運用
新型コロナウイルス対応関連で2つ事例をご紹介します。
活用事例:新型コロナウイルス対応関連
・kintoneを初めて使った保健師さんが2週間で開発した事例
・相談から即日アプリ開発し翌日から運用した事例
このように神戸市では、kintoneのガバナンスを設けてシステム開発の内製化の推進をしており、多くの事例がプログラミングをすることなく開発が実現しております。
サイボウズへの研修により得たこと
続いて、神戸市 谷様よりサイボウズ社への研修派遣についてご紹介いただきました。(アーカイブ動画 はこちら)
(神戸市:谷さん)
2019年4月、サイボウズと全庁的な業務改善に関する事業連携協定を締結し、2020年度より、庁内DX人材育成等を目的に、サイボウズへの研修派遣が新設され、出向しました。
1年間研修派遣では自治体向けのkintone営業として、案件対応をはじめ、セミナー講師、拡販に向けた施策を担当し、その経験を通じて得た学びと派遣後の神戸市での業務についてご紹介いたします。
kintoneの魅力
UIUXが優れており、ITに苦手意識がある人でも取り組みやすいツールであるということや、業務改善の点では少ないライセンスから実証ができ導入がしやすいということが挙げられます。
今後、神戸市でも業務課題を自分自身で解決することが求められる中で、業務改善の実体験や成功体験が大事だと考えていますが、kintoneはハードルが低く、業務改善ができ、有効なツールだと感じています。
働き方については
チームワークを大切にし、社内での情報共有を徹底し自立心をもって業務にとり組まれていると感じました。
この経験を経て、自分自身も、疑問に思ったことは質問し、迷ったらとりあえずやってみること、また情報収集・発信をしていかなければならないということを感じましたので、神戸市に戻ってきてから意識してアクションをしています。
今年度はkintoneの業務改善の支援を担当しています。
利用ユーザーは増えてきており、問い合わせも増えてきていますので、さまざまな案件に伴走しながら神戸市の業務改善を進めていきます。
開発のフォローや運用後の活用結果ヒアリングなどを注力していきたいと考えています。
パネルトーク
(導入〜展開〜今後について)
(アーカイブ動画はこちら)
ご登壇いただきました、瀬戸口さん、宇都宮さん、谷さんと神戸市役所 森様にもご登場いただき、業務改革におけるツールの導入、展開、今後をテーマについてパネルトークを行いました。
テーマ1「最初の一歩について」
導入の経緯やきっかけについて瀬戸口さん、谷さんにお伺いしました。
・できるところから業務改革をはじめる
(サイボウズ 瀬戸口さん)
自治体で導入する際に、ノーコード ツールはいろいろな業務で使えるのですが、どんな業務に使えばいいのかわからないという声をよく聞きます。
導入したけど浸透せずに活用が広がらないということもあるので、どんな業務に使えそうか整理した上で、自分たちでするところ、ベンダーに任せるところを切り分けて、まず実証してみて活用を広げていくというステップが大切だと思います。
(神戸市 谷さん)
働き方改革が進められる環境の中で、紙やFAX、エクセルなどの業務の非効率な部分を業務改善できないかというところで、自治体の業務でも使えそうなkintoneに着目し導入しました。
テーマ2「組織内での広げ方や効果について」
工夫したこと、克服してきた課題について谷さんにお伺いしました。
・スモールスタート、成功事例で認知を広げる
(神戸市 谷さん)
神戸市としてはまずはkintoneの認知を上げていくという観点で、成功事例を作っていくことに注力しました。その事例を展開し、ワークショップを開催するなど草の根活動を積み重ねることで、現在1100ユーザーを超えてきました。
まずはスモールスタートで成功事例を作り、全庁に展開し認知をしてもらうという活動がモデルになると考えています。
また具体的に丁寧に、使い方を説明していくが大事だと思っています。
テーマ3「これからの活用について」
ノウハウの発信、共有が業務改革推進のポイント
(神戸市 谷さん)
まだ紙やエクセルの業務があふれていますので、小規模のシステム開発が中心になるかと思いますが、引き続き、内製化し業務改革を進めていきたいと思います。
また対外的にも、神戸市のノウハウの発信に注力していきたいと思います。
(サイボウズ 瀬戸口さん)
自治体から多くいただく声としてファーストステップとしてどういった業務で活用すればよいかわからないというのがあります。
定まっていると良いというお話をしたのですが、サイボウズ としてはそれを示して後押しする活動をしていきたいと思っています。
他の自治体での事例をシェアすることで、自分たちの自治体ではどのようにあてはめられるか、またコミュニティーの中で、出てきた課題をサポートできるよう、横のつながりを強化し、シェアされる環境を整えていきたいと思います。
ここ数年で活用事例が増えてきましたので、部署ごとに使い方のモデルがでてきました。それらを情報発信してイメージをもってもらうことを注力してきたいと思います。
まとめ
今業務改善の手段としてkintoneのようなツールが自治体でも有効であり、活用が進んでいるということがわかりました。まずスモールスタートではじめること、またその後押しをする自治体間でのシェアが、スピード感をもって業務改革を進める上で重要であるということを感じました。
いかがでしたでしょうか。
ぜひ、日常の業務改善を始めるきっかけになれば幸いです。
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▼開催の背景
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