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コンテンツガイド2月号(テーマ:原風景)「絵画と原風景:悪い場所ではない方へ」 南島興

造形作家の岡﨑乾二郎を監修者に招いた「坂田一男 捲土重来」展は、その先駆性に反して、知名度・評価ともに不遇にあった画家の活動全体を振り返る回顧展であった。坂田の初期から晩年までの作品を欧米、日本人作家との批評的な連環をもとに提示することはもちろん、今後の坂田研究をいわゆる「悪い場所」ではないほうへ方向づける兆しも本展には示されていた。本稿ではとりわけ後者、すなわち坂田と「悪い場所」について、坂田の原風景を襲ったある出来事とそれに対する作家的応答を中心に論じてみたい。


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