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2020年9月の記事一覧

特別寄稿:都市は都市の夢を見るか? Kohyoh Yang

ロカストはある具体的な土地に着目して批評をしてきました。今回は、東京の中心ともいえる「新宿」について、Kohyoh Yangさんに批評していただきます。Yangさんは今年の3月に東京大学工学系研究科建築学専攻を修了されて、現在は都内設計事務所で働かれている方です。アカデミックな建築知識をお持ちであると同時に、ご自身が新宿で育ったという実感をもとに独自の新宿論を構想されています。本稿では、「ゴースト」というキーワードをもとに、これまでの新宿とこれからの新宿の姿を浮かびあがらせて

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LOCUSTコンテンツガイド(映像2)『シチリアーノ  裏切りの美学』 イトウモ

かつて、パレルモを本拠地としたイタリアン・ギャング「コーサ・ノストラ」。1980年代から勃興した新興ギャングと、麻薬の流通ルートをめぐる抗争の激化によってギャングのみならず抗争相手の一族郎党、毎年100人規模の大虐殺が行われた。ギャング映画といっても、コッポラのような古き良き優雅な神器の世界の話ではない。深作欣二の「仁義なき」無秩序な殺し合いの狂乱世界でもない。このマルコ・ベロッキオの新作映画は、そのあとの物語。抗争で息子を奪われ政府に同胞の密告を決意した実在のギャング、トン

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コンテンツガイド 風景2 〜風景の日本 第2回「喫茶 フラミンゴ」

池袋駅西口、東京芸術劇場の傍にタイトーのゲームセンターがあって、そのビルの地下2階に「喫茶 フラミンゴ」がある。広い店内の真ん中には水槽があり、熱帯魚たちが悠々と泳いでいる。 店内はいつもちょうどいい人の混み具合で、近くにある立教大学の学生やサラリーマンの集団もいれば、怪しい人びとも多い。今も私はフラミンゴにいるのだが、右隣では法華経について初老の男性が3人で延々と語り、左ではカメラを持った男女が国道沿いのラブホについて話し、目の前では怪しいマルチ商法の勧誘が行われている。

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LOCUST コンテンツガイド(音声2) Homecomings『Whale Living』(2018)  伏見瞬

今や音楽レビューと言えば誰かの最新作の最新レビューであり、一瞬話題になって「大傑作!」などという言葉が無償で費やされてからすぐに通り過ぎていくことが繰り返される。そのような環境が、さも当然のような顔をして幅を利かせている。 かと思えば、超安価ライブラリと化したリスニング状況の到来によって、星の数ほど存在する録音芸術音源が毎日のように掘り起こされ、深ーくてチーープな聴取体験が「音楽」を特権視する生物群の日々に埋め込まれている、と言った事象もまた、幅を利かせまくっている。

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LOCUSTコンテンツガイド (書籍2) 『銀河の片隅で科学夜話』 谷 美里

理論物理学者が語る、現代科学の様々な分野の成果と、それをめぐる人間の物語。天空編、原子編、数理社会編、倫理編、生命編の5編から成る、全22話。

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LOCUSTコンテンツガイド(映像2)『ブルータル・ジャスティス』 イトウモ

その映画はひっそりと公開されている。ミニシアター系ではない。中間映画。アクションやセックスに満ちて、娯楽映画のはずだがアニメやコミックのようにファミリー向きではない。『ブルータル・ジャスティス』は本街のシネコンや地方のイオンモールで、TV-CMもパンフレット販売もなく本編とは似て非なる勧善懲悪風の予告編が流れ、誰にも目につかない場所でひっそりと楽しまれる。

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LOCUSTコンテンツガイド(美術2) ー「購入した作品」評(星川あさこ「壁」) 伏見 瞬

先日、相模原のパープルームギャラリーで開催された、星川あさこ個展『ファンタジー・ホスピタル』に伺った。  「星川あさこ」はアーティスト然とした自意識を感じさせない存在だ。今回の展示も、外側に自己を誇示するというより(自己顕示が必ずしも悪い心性だとは思わないが)、ユーモアと病とかわいらしさと息苦しさが渾然と同居する内側へ、訪れた人を自然に誘うものだった。ファンタジー・ホスピタルという言葉が、その世界の在り方を巧みに捉えている。どの作品にも自分の感受体を刺激するものがあったし、

終わる世界の終わりなき日常――#6 強くて優しくてかわいくて最後にはこの世界から愛される人に 灰ミちゃん

わたしは好きになった人の前以外で誰かのとなりで涙を流すことができない。 前の前に好きだった人は、関係の中でわたしにたった一度しか好きだと言ってくれなかった。 彼とは何度も身体を重ねていた。わたしは何度も彼に好きだと伝えていた。運命の人だと思っていると伝えていた。とても魅力的な人だった。わたしがわたしのことを偽物だと言うとそんなことないと言った。彼は自身の考えていることをよく話した。わたしはその話を聞くのが好きだった。彼は自身の感じていることを話さない人だった。わたしは彼のこ

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