一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA) 事務局次長 小村 亮様に聞く「生成AIパスポート」【突撃!隣のプロンプト!】
本記事は、AI人材リモートアシスタント「ロコアシ」による企画記事です。
今回は「一般社団法人生成AI活用普及協会(通称、GUGA)」事務局次長の小村 亮様から「生成AIパスポート」についてお話を伺いました。
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生成AIを社会に実装し、産業の再構築を目指す一般社団法人生成AI活用普及協会
―—読者の方に向けて、一般社団法人生成AI活用普及協会(以下、GUGA)と小村様の自己紹介をお願いします。
「一般社団法人生成AI活用普及協会」事務局次長の小村 亮と申します。GUGAは、生成AIを社会に実装し、産業の再構築を目指しています。
社会実装という言葉にはさまざまな捉え方があります。GUGAは昨年の5月に設立された組織で、当時を振り返ると、ChatGPTを筆頭に、生成AIが個人レベルでどんどん活用されている状況でした。
ただ、社会実装を考えると、企業への導入は欠かせないと考えており、調査結果等を見ると、リスクに対する不安や、どうやって一歩を踏み出せばいいのかわからないといった課題が顕在化していた時期でした。
私たちは、社会実装の一歩目として、人材育成という切り口、企業導入を推進するための指標作りが必要だと考え、生成AIパスポートという資格試験から歩みを進めています。
一方で、この社会実装という先に描いているビジョンとしては、産業の再構築を忘れずに持ち続けたいと思っています。
このビジョンについては、生成AIが既存のAI業界やIT業界だけでなく、各産業に入り込んで、既存産業との掛け算が起きて初めて価値を発揮すると考えています。これが目指すべき姿だと私たちはビジョンに掲げています。
私自身については、この協会の立ち上げのタイミングから参画している一員ですが、元々はデジタルマーケティングの会社に新卒で入社し、そこでPRやコミュニケーションデザイン、ブランドクリエイティブといった領域でプランナーとして働いていました。
その後、出向や独立を経て、経営の立場で動くようになりました。生成AIの台頭を受けて、産業や職業における大きな変革が起きるだろうと感じるとともに、その可能性とリスク、懸念は表裏一体であることを実感し、健全なAIとの付き合い方をしっかりと普及していくことが必要だと考え、この協会に参画しました。
特にマーケティング分野において、生成AIの相性が良いと感じたChatGPT
―—ChatGPTのファーストインプレッションを教えてください。
ChatGPTを最初に触ったのは、ローンチしてすぐのタイミングでした。
最初の印象としては、特にマーケティング分野において、生成AIの相性が良いと感じました。コンテンツ作成をアウトソーシングできる企業なら、外注が可能な状態で、実務を自社で行う部分は既に限定的ですが、中小企業においては、いかに低コストで効果的に活動できるかが重要になります。
事前の期待は非常に高く、使ってみた感触としても非常に有用だと感じました。ただ、クリエイターの仕事がAIに置き換わるという懸念に対しては、「負けないな」と感じる部分もありました。今となっては「人 vs AI」で考えること自体が健全ではないとも感じています。
私の感覚としては、AIを活用することで80点のパフォーマンスを出しやすくなると思いますが、AIに100点を求めるのはナンセンスです。人とAIをどう融合させるかが重要であり、AIを活用して叩き台を作ることは適切な付き合い方だと思います。
また、その人が持つスキルや経験、指示をどう出すかによって、AIのパフォーマンスは変わってきます。ですから、自分ありきでAIをどう使うかが重要であり、自分次第で自分を超えるアウトプットが出せるかどうか、これが今後の課題だと思います。
生成AIリスクを予防する資格試験「生成AIパスポート」
——資格試験「生成AIパスポート」について、詳しく聞かせてください。
「生成AIパスポート」は、生成AIリスクを予防する資格試験です。この試験で学べるポイントは大きく四つあります。
まず、AIと生成AIの基本的な違いや仕組みについての基礎知識、次に、生成AIの現在の動向、さらに、生成AIを取り扱う際の注意点について学びます。
これには企業のコンプライアンスの観点として重要な権利侵害、商用での利用可否、個人情報の取り扱いなどが含まれます。
最後のポイントとして、実践的な活用方法に関するセクションがあります。
この資格試験は、特にAIの初心者に向けて設計されており、入門編としての役割を果たしつつ、技術が進化するにつれて定期的に内容の更新が行われることで、最新の知識が提供されます。
生成AI技術が日々進化する中で、知らないうちにトラブルを招いてしまう、そんなリスクを予防するためのAIリテラシーは全てのビジネスパーソンに求められ、社会の変化に応じた教育が必要です。
資格取得者は、生成AIの安全な活用方法だけでなく、その社会的、法的側面についても深く理解することができます。
特に重視されているのは、生成AIを取り扱う際の注意点
——資格試験「生成AIパスポート」において、特に重視されているポイントは何ですか?
生成AIパスポートで特に重視しているのは、生成AIを取り扱う際の注意点です。この部分は、弁理士の方々の協力を得ながら、リテラシーを高めるためのカリキュラムを仕上げています。
リスキリングという大きなテーマの中で、リテラシーとスキルの二つのアプローチを重視しており、生成AIパスポートでは、特にAIリテラシーの肝要なところに注力しています。
2024年4月には、総務省と経済産業省が共同で「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」を発表しましたが、こういった日本社会全体の動きと足並みを揃えるため、シラバスのアップデートは今後も継続的に行われる予定です。
多角的な視点からのアドバイスを得たり、守りの広報で積極的に生成AIを活用
——小村様は生成AIを業務で活用されていますか?どのように活用されていますか?
私の立ち位置は、経営と広報の側面が強いため、経営においては情報や頭の整理をする相談相手として、また新しい事業の構想を考える際にアイデアを相談するなど、多角的な視点からのアドバイスを得るために使用しています。
また、広報には、攻めの要素と守りの要素がありますが、特に守りの側面で、何かトラブルがあった際には、世の中でどのように表現されているかを把握した上で、自分たちなりの言葉に置き換えていく際にもAIを活用しています。
生成AI普及推進の上で感じる課題は、活用度の二極化
——生成AI普及における課題や難しさを感じるところがあれば、教えてください。
活用普及の観点から見ると、まだまだこれからだと捉えていますので、課題があって当然と思っています。
現在、我々が普及を推進する中で感じている課題は、活用度の二極化です。調査データを見ても、生成AIを積極的に使っている人々は、知的好奇心を持ってどんどん活用しています。
これは素晴らしいことで、スキルと併せてリテラシーを習得してもらい、安全に活用できるようサポートすることが重要です。
一方で、使わない人々の中には、そもそも必要としていないと答える人が多いという調査結果があります。これは、興味関心を持ちながらも、自分の意思で使わない選択をしているわけではなく、活用の検討すらできていないことが推測できます。このような状況は、社会がますます二極化していく可能性があり、非常に危険だと思います。
NVIDIAのCEOの言葉で「生成AIが人の仕事を奪うのではなく、AIを活用できる人材が活用できない人材の仕事を奪っていく」というものがありますが、これが現実に起こり得ると考えています。
そのため、我々としては、ただ二極化を放置するのではなく、AIを活用できる部分があることに気づいてもらうための普及活動が必要だと感じています。
生成AIは業務課題ではなくて、経営課題として捉えるべき
——この記事を読んでいる方に生成AIをお勧めしていただけますか?
生成AIの活用を強くお勧めします。各業務においてミッションを持たれている現場の従業員の方々にも関心を持っていただきたいというところはもちろんですが、生成AI導入が進んでいる企業は、トップダウンでのメッセージが組織全体の変革を促す強い原動力になっています。
つまり、業務課題ではなくて、経営課題として捉えるべきだと考えています。業務課題で言うと、業務の負荷が重たい部分や外注依存が高いマーケティング活動を内製化することで、生産性を向上させるなどの効果が期待できます。
しかし、これを一歩進めて、企業理念やビジネスモデル、将来の事業構想を見直すことが、生成AIによるゲームチェンジの真の節目になると考えています。
生成AIがわからないという理由で、それを自分たちとは関係ないものとして扱うことは、経営課題を無視していることに等しいとも言えます。もちろん、しっかりと検討した上で、今は必要ないと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、将来を見据えた場合、生成AI活用のレベルを証明できるかどうかが、取引や採用において重要なファクターになるでしょう。
したがって、企業のトップの皆様は、経営課題として生成AIを捉え、トップ自らの言葉で、社内にメッセージを発して積極的に推進していただきたいです。
2025年に卒業予定の大学生・大学院生向けのアンケート調査で、DX推進や生成AIの活用度が就職先選定に影響するか調査を実施したところ、「影響する」という回答が多数を占めました。
転職市場においても、生成AIの高い利用率を誇る企業で働く従業員は、転職先を選ぶ際に生成AIの活用への積極性が重要な決定因子となっていることが示されています。これらの傾向は、生成AIが採用市場においても重要な役割を果たしていることを示しています。
生成AIの普及はインターネットやSNSの普及に匹敵する影響を持つでしょう。例えば、Googleカレンダーなどのスケジュールアプリが普及した今、手帳でスケジュールを調整したり、管理したりすることは手間に感じられやすく、アプリを使えない環境はビジネスにおいてビハインドになるでしょう。
生成AIが普及することで、AI同士がスケジュール調整を行うことが当たり前になるかもしれません。こう考えると、生成AIが与える影響の大きさが想像でき、現状維持のスタンスでいることがどれだけリスクを抱えているかが理解できるでしょう。
生成AIレベルの証明が、個人単位や企業単位で求められていく
—生成AIパスポートとGUGAの将来の展望について、聞かせてください。
我々GUGAとしては、生成AIのリスキリングを推進していくことが短期的には重要だと捉えています。
生成AIパスポートは、AIリテラシーの底上げが主な目的です。AI初心者が多い現在で、私たちが取り組むべき一歩だと認識しています。生成AIパスポートの受験者数を増やし、合格者を増やすことが私たちの努力すべきポイントです。
また、今後は生成AIレベルの証明が、個人単位や企業単位で求められていくでしょう。これをどのように可視化していくか、我々がインフラとしてどのような用意ができるのかが、私たちの目指す方向性です。
フリーランスの方のプロフィールに生成AIパスポートをバッジとして付与することで、その資格の意味と価値を拡大していくランサーズさんとの取り組みは、良いモデルケースです。このような取り組みをさらに横展開していくことは、資格を取得する方々にとって大きなメリットとなります。
資格を取得した結果、あるいはリスキリングに取り組んだ結果として得られるベネフィットを増やしていきたいですね。
生成AIパスポートの次回受験申込期間は6月1日から9月30日
はじめに
生成AIパスポートは、AI初心者のために誕生した、生成AIリスクを予防する資格試験です。AIを活用したコンテンツ生成の具体的な方法や事例に加え、企業のコンプライアンスに関わる個人情報保護、著作権侵害、商用利用可否といった注意点などを学ぶことができます。本資格の提供を通じて生成AIリスキリングを促し、生成AIを安全に活用するためのリテラシーを有する企業・人材の可視化を推進しています。
試験の対象者
AI、生成AIに興味関心のある方
生成AIを正しく活用したい方
ビジネスでの生成AI活用に不安のある方
受験資格
学歴、年齢、実務経験等の制限は一切ありません。
どなたでも受験していただけます。
試験概要
名称生成AIパスポート試験開催形式オンラインでの実施 ( IBT方式※1)試験時間60分間問題数60問出題範囲シラバスより出題受験費用11,000円(税込)※2
※1:IBT方式とは、Internet Based Testingの略称で、インターネットを経由して実施する試験やeラーニングの総称です。
パソコンやスマートフォン、タブレット等から受験することができます。
※2:受験者が「学生」の場合、受験料は5,500円(税込)で受験できます。なお学生であることを証明できない場合はその定めではありません。
2024年 第3回試験スケジュール
申込期間:6月1日0:00〜9月30日23:59
受験期間:10月1日0:00〜10月31日23:59
詳細案内ページ
お話を聞いた方
事務局次長 小村 亮様
(聞き手:ロコアシ事業部長 あさい)
ロコアシ:AI活用人材にデスクワークを委託!
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