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【突撃!隣のプロンプト!】横須賀市役所 デジタル・ガバメント推進室 寒川さん・太田さんに聞くChatGPT全庁導入

本記事は、AI人材リモートアシスタント「ロコアシ」による企画記事です。
生成AIを全庁に展開した横須賀市経営企画部デジタル・ガバメント推進室室長「寒川孝之」様、課長補佐「太田耕平」様のお二人にお話を伺いました。
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人口減でも適正な行政サービスを提供するために、究極の行政効率徹底化を進める

——読者の方に向けて、経営企画部デジタル・ガバメント推進室のご紹介をお願いします。

デジタル・ガバメント推進室のお二人。左が室長の寒川孝之さん、右が課長補佐の太田耕平さん

寒川さん:横須賀市経営企画部デジタル・ガバメント推進室は、2020年4月1日のオリンピックイヤーに設立されました。設立の理由は、人口減少が主な要因です。現状のままでは、20年後には職員数が4分の3に減少します。減少傾向が続けば、市役所の運営は成り立たなくなります。

行政課題は増加することはあっても、減少することはありません。きちんとした行政サービスを提供するためには、行政効率の徹底化、それも究極の行政効率徹底化を進めるしかありません。

そのため、デジタル技術を活用し、市役所の業務改革と行政の構造改革を推進しています。これがデジタルガバメント推進室の立ち上げの背景です。

———お2人はどういうふうに役割分担をされているのでしょうか。

寒川さん:全体の方向や方針は、私が決めて、企画実行を太田がやってくれています。

———寒川さんが後ろにどっしりとひかえていただけることで、太田さんが自由に動ける。

太田さん:そうですね。

寒川さん:何かあったら私が謝ればいいかなと。

——理想の連携像ですね!

衝撃を受けたChatGPTのファーストインプレッション。革命的で、沢山のWebサービスとは一線を画す

——ChatGPTのファーストインプレッションを教えてください。

寒川さん:日本語でプログラミングが実行できる革命的な出来事だと感じました。プログラムやコンピュータは通常、日本語を苦手とするものですが、ChatGPTでは日本語での応答が可能です。このことに大きな衝撃を受けました。

太田さん:インターネットが登場してから、様々なサービスが出てきましたが、ChatGPTはそれらとは一線を画す存在だと感じました。これは単なるツールではなく、電卓やパソコンのように重要な存在になり得るものだと思いました。

期の変わり目に届いた市長からの直接指示でプロジェクトが開始

——ChatGPTの全庁導入に至るまでの過程、経緯を教えてください。

寒川さん:このプロジェクトは、3月29日に市長から私に直接指示があったことから始まりました。市長は「ChatGPTは非常に面白い。行政で活用できることを考えろ」と言われました。

哲学的な問いかけをしてみたり、ChatGPTに横須賀の歌を作らせたり、市長自身がChatGPTを使い込まれていました。

ちなみに、市長は現役のロックミュージシャンでもあり、CDもリリースしています。ChatGPTに作らせた横須賀の歌は、まだ芸術的な面や感情に訴える部分について改善の余地があると感じたそうですが、行政においては大いに活用すべきだと。

市長からは3月29日にすぐにやれと言われたのですが、その数日前に人事異動をやったばかりだったので、辞令をちゃんともらって、ちゃんとチームを作る準備期間をいただきました。

正式な辞令をもって、4月3日に検討チームを立ち上げ、太田がチームリーダーとなって、開発をロケットスタートで始めました。

ChatGPTが得意な文章生成をはじめ、様々な用途でChatGPTを活用


——どのように生成AIを活用されているか、具体的に教えてください。

太田さん:市役所では膨大な量の文書を扱っています。市民向けの文書や内部向けの文書作成の下書きや、観光イベントのキャッチコピー、アンケートの設問作成、エクセルのマクロ作成など、さまざまな用途でChatGPTが利用されています。

文章は、単なる記録用ではなく、わかりやすくすることが重要ですが、ChatGPTはこのような分野が非常に得意です。ただ、最終的なチェックは人間が行うようにしています。

忙しいと言っている人ほど、新しい技術を使って業務を楽にする方法に切り替えてもらいたい

——生成AIの全庁導入推進において、特に重視されているポイントは何ですか?

寒川さん:まず、職員全員が最新のテクノロジーに触れて欲しい、触って欲しいというのが根底にありました。そのため、横須賀市では、職員が最も利用するプラットフォーム上でChatGPTを使えるようにしました。

文章作成が多い市役所の仕事において、ChatGPTは使わなければ損をする技術です。新しい技術に対する不安があるかもしれませんが、効率を大幅に向上させるものを見過ごすわけにはいかないという危機感を感じて欲しい。

忙しいと言っている人ほど、新しい技術を使って業務を楽にする方法に切り替えてもらいたいと考えて進めてきました。

PCが得意でない方でも使えるように、自治体の職員用ビジネスチャットツール上でChatGPTを展開しました。言語を入力すれば、適切な答えが返ってくるような仕組みになっています。

校正、要約、壁打ち、アイディア出しなど積極的にChatGPTを活用

——お二人は、生成AIを業務で活用されていますか?どのように活用されていますか?

寒川さん:私がChatGPTを最も頻繁に使用しているシーンは、自分が作成した文章の校正です。正しい日本語の文法に沿っているか検証したり、文章の構成を改善する作業です。例えば、400文字の文章において、接続詞の使い方が適切かどうかを確認するなどでしょうか。書き手だけでは見落としがちな点を、ChatGPTでチェックできますし、異なる表現方法を発見することもあります。

また、記事の作成依頼を受けた際に、所定の文字数以内に要約するような作業にもChatGPTを活用しています。さらに、難解な文章や堅苦しい文章をChatGPTに読み込ませ、理解しやすい形に簡略化することも。

太田さん:様々な事業を進める際、私はよくアイデアを整理するためにChatGPTを使用しています。自分の考えに漏れがないかChatGPTに確認したり、相談相手としての役割を果たしてもらっています。壁打ち相手のような、文句を言わない部下のような存在と言えるでしょう。

また、講演会で話す機会が多いため、30分の講演で取り扱うテーマやその構成についてもChatGPTに相談しています。これにより、講演の内容をより効果的にまとめることができています。

文章作成が苦手な職員にも大きな助けとなっている

——生成AIを活用して驚いたことや、思わぬ成果が出た事例はありますか?

寒川さん:質問力が全てであるという点が特に印象的でした。ChatGPTに対して、役割、背景、条件などを明確にした質問をすると、適切な答えが返ってくることが素晴らしいと感じています。

太田さん:横須賀市では全庁的にChatGPTを展開をしています。他の自治体では特定の部署限定で使用されていることが多い中、横須賀市はあえて全庁的に展開しました。当初は、既にテクノロジーを使い慣れている人たちがさらに利用することを想定していましたが、実際には、文章作成が苦手な職員にも大きな助けとなっています。

例えば、消防局の職員のように、日常的に火災現場に出動する職員が異動して、消防法に基づいた指導や文書作成を行う必要が生じた時、ChatGPTが大いに役立っています。

文書作成技術や法文の解釈において、一定レベルまでのサポートが可能であり、これが底上げに役立っているとの声が上がっています。これは、テクノロジーが苦手な人々にも大いに役立つことを示しており、その点が意外であり、驚きでもありました。

導入を考えていないと人の中には、実際には使った経験がない人も多い。まずは使ってみるべき

——この記事を読んでいる方に生成AIをお勧めしていただけますか?

寒川さん:それは、火を起こす際に火打ち石を使うのとライターを使うのとの違いに似ています。まずは使ってみて、合わなければやめれば良いのです。利用可能な環境が整っている企業であれば、積極的に新しい技術に触れることをお勧めします。

ChatGPTを使うことで生産性が変わることは確かです。横須賀市役所で、文書生成の時間が大幅に削減されたことが実証されています。民間企業では市場での生き残りをかけて戦っているため、このような新しいツールの活用は非常に有効だと思います。

まずはChatGPTを体験をしていただくことをお勧めします。それが最初の一歩になるでしょう。

太田さん:使ってみて合わなければやめるのは全く問題ありません。しかし、導入を考えていないと言っている人の中には、実際には使った経験がない人も多いです。「危ないかもしれない」という理由だけで敬遠する声もあります。

まずは一度ChatGPTを試してみることです。それを自分の事業に適用してみて、本当に使えないと判断するならそれで良いと思います。ただ、「何かわからないから怖い」という理由だけで触らないのは避けるべきだと考えます。

将来的には市民向けにも導入したいが慎重に進めていく。また、生成AIを使って日本全体の行政を底上げしていきたい

——生成AI活用の将来展望について、聞かせてください。

寒川さん:より多くの職員にChatGPTを使ってもらい、生成AIの機能を活用して問い合わせに自動で対応できるようにすることを目指しています。しかし、市民向けのサービスとしていきなり導入することはハードルが高いため、十分な見極めを行いながら、慎重かつ着実に進めていきたいと考えています。

太田さん:横須賀市が全国で一番最初にChatGPTを全庁で展開したのですが、その知見がストックされています。他の自治体や企業が導入を検討している中で、私たちはこれまでの知見を展開していくために、今回のようなインタビューでお話させていただいたり、「自治体AI活用マガジン」というポータルサイトを作成したりしています。

このサイトは、生成AI導入時の悩みや、我々が考えてきたことを共有することで、導入のハードルを下げることを目指しています。

ちょっと大きなことを申しますと、目標は、生成AIを使って日本全体の行政を底上げすることです。この目的のためにポータルサイトを立ち上げました。

インタビューありがとうございました

1月22日・23日には合宿型研修「横須賀生成AI合宿」を開催

横須賀市AI戦略アドバイザー深津さん&豪華講師陣による研修を2日間にわたって体験できる合宿型研修を1月22日・23日に開催。

こんな人におすすめ

  • 生成AIの活用をこれから進めていこうとしている(進めろと上層部から圧力をかけられている)、自治体、企業の皆様

  • 生成AIを既に活用しているが、更に一歩先へ進めていこうとしている、自治体、企業の皆様

  • 生成AIを既に活用しているが、その運営や、組織内への浸透等に悩みを抱えている、自治体、企業の皆様

  • 自治体業務に関連する生成AIサービスの提供を、虎視眈々と狙っている企業の皆様

合宿の詳細

日程
DAY1 2024年1月22日(月)13:30〜17:00
DAY2 2024年1月23日(火) 9:00〜12:00
※片方のみの参加はできません。必ず両方ご参加下さい

場所
横須賀市役所正庁
横須賀市小川町11 本庁舎5階

参加費
無料

詳細は以下の公式告知をご覧ください。

お話を聞いた方

  • 横須賀市役所

  • 経営企画部デジタル・ガバメント推進室室長「寒川孝之」様

  • 課長補佐「太田耕平」様

(聞き手:ロコアシ事業部長 あさい

ロコアシ:AI活用人材にデスクワークを委託!

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