見出し画像

現代社会が抱える「障がい者の社会復帰」と鳥海フォスの試み 学生インターンが実際に訪問してみた!


画像4

左から、鈴木勇也(学生)、高橋新汰さん(LocalQuest)、秋山萌菜(学生)、佐々木清勝さん(鳥海フォス社長)、竹田藍(学生)、斎藤さん(鳥海フォス社員)、佐藤佑介さん(秋田マテリアル社長)

 こんにちは!4月から3か月間、秋田マテリアル株式会社で活動しているインターン学生です。先月インターンの活動の一環として、秋田県にかほ市にある鳥海フォスに訪問しました。そこで鳥海フォス社長の佐々木清勝さんと従業員の方にインタビューをしました。他にも施設見学や作業体験をしたり皆さんとご飯を食べたりなど充実した一日でした!今回は、その様子を記事を通してお届けしますね!!

画像7

↑学生インターンが訪問している様子

◇にかほ市にある障がい者雇用施設"鳥海フォス"とは?

 株式会社鳥海フォスは秋田県にかほ市に位置する障がい者雇用施設です。廃校になった小学校の校舎を再利用しており、とても懐かしさを感じる場所です。事業を始めた当初はお米、ネギ、ジャガイモなどたくさんの農作物を無農薬で育てると言った農業事業を主に行っていました。現在ではリサイクル事業にも着手し、リサイクル資源を収集・再利用を行うことで社会に貢献しています。こういった活動を障がい者の方たちが行っています。
 現在、ここ鳥海フォスで働いている障がい者を持った従業員の方は20人ほどいます。障がい者といっても一概に皆同じ障がいを持っているわけではありません。過去に特別支援学校に通っていた方や手足を思うように動かせない方など様々な方がいらっしゃいます。そのような方たちが実際どのような活動を行っているか取材しました。

画像14

↑廃校になった校舎を再利用

◇ただの”リサイクル”ではない 

 多種多様な活動をされている鳥海フォスですが、私たちはその中でもリサイクル事業の一環であるパソコンの解体・分別を実際に見学してきました。使われなくなったパソコンや電子機器が鳥海フォスに送られ、それらを従業員さんがいちから解体し、分別作業をします。月に600台ほどが解体されるそうです!分別されたパソコン部品はリユースやリサイクルに回されます。できるだけパーツを細かく解体し分別することでリサイクル還元率が高く回収できるのです。これらの作業は一人一人の能力に合わせ、誰もが働けるように分担されていました。ちなみに私たち学生インターンも障がい者の方たちと一緒に作業体験してきました♪

画像8

↑解体されたパソコン部品

画像7

↑棚に細かく分別されたパソコン部品

画像3

↑作業体験している学生インターン

◇普段聞かない障がい者の「生の声」

 代表して鳥海フォスで働いてる鈴木さんにお話を伺いました。

画像8

↑鈴木さんへのインタビューの様子

ー以前の仕事から鳥海フォスに就くまで

学生:どのようにして鳥海フォスを知りましたか?きっかけを教えてください!

鈴木さん:以前はスーパーの店長をやっていたのですが、年を重ねるにつれて体が思うように動かず満足な仕事ができない状態になり。。。
スーパーのお客さんに満足に働ける場所を紹介してもらい、ここにたどり着きました。

画像13

学生:そうだったんですね。移動したときはどんな気持ちでしたか?

鈴木さん:最初は体調面的にもこんな状態でも働いて良いのか?と不安になることもありました。。でも、ここの人に大丈夫だよっ!て言われ、快く引き受けれてくれたことに感謝してます。

画像11

ーここでのやりがいと気持ちの変化

学生:活動内容を教えてください!

鈴木さん:ここには自家用車で出勤していて、朝みんなとラジオ体操してから仕事にうつります。仕事内容は主にパソコンの解体です。最初は何もわからなかったけど、みんなに聞いて一つ一つ覚えて、何とか自分で作業できるようになりました!
 コロナ以前はよくみんなとお昼たべながらお話しする時間も取れたのですが、最近は感染対策で会話出来なくなってきてさびしいですね…15時ごろには作業切り上げて帰る準備してますね。平日はこんな感じで活動してます。休日は趣味であるドライブに行くことが多いです♪

画像12

学生:コロナ禍ではあるけれども趣味とお仕事を両立できる環境ですね!ここでのやりがいはどんなところで感じられますか?

鈴木さん:以前働いていた環境とはまた違っていて、慣れない作業に手こずることが多いけど、スムーズに進むとたのしいですね。この年になってね、家に毎日閉じこもっていても仕方ないからね、、こうやって他の利用者達と仲間意識もって活動できるところにやりがいを感じています!

学生:私たちも実際に作業体験させていただいたのですが、慣れなくて手こずりました(笑)
インタビューに応えてくれてありがとうございます!

◇なぜ、この事業を?

 次に、鳥海フォスを立ち上げた佐々木さんに鳥海フォスに対しての想いや設立背景を語っていただきました。

画像9

↑佐々木さんへのインタビューの様子

ー従来の福祉について”違和感”と自分にできること

学生:まずは、鳥海フォスへの設立背景をお聞きしてもよろしいですか?

佐々木さん:自分がかつてお世話になったにかほ市に(地元)恩返ししたいという思いから、何かしら社会に貢献できる活動がしたいと思いました。私はそこで障がい者の社会復帰というところに着目しこの事業を始めたのです。特に、従来の福祉について違和感を持ったことから、障害者社会参画の充実を目指しました。

画像10

学生:なるほど.…その「従来の福祉についての違和感」というのは具体的にどのような事ですか?

佐々木さん:従来の福祉っていうのは、国や県の補助金により運営している消費型福祉なんですよ。それって生産性がないじゃないですか、、?お金がなくなったら福祉が終わってしまう、そこに違和感を感じました。福祉を利用する障がい者の方が自分自身で生活できる形態を作る必要があるんですよ。私はそのような生産型福祉を作っていきたいんです。実際、一般の方と障がい者が同じ社会を歩むことはまだまだ達成できていないでこれから鳥海フォスような施設はもっと増えていくと思いますよ。

画像14

学生:佐々木さんは障がい者の方も参画可能な社会を目指しているのですね!

佐々木さん:そうですね。農業を基軸にした福祉を提供し、障がいのある方が自立を目指し社会に出て働くことで、生きる喜びや充実感を感じてもらいたいんです。今では秋田マテリアル株式会社とリサイクル事業を連携しているため、農業よりもパソコン解体の方が主軸になってますけどね(笑)

学生:そうなんですね!教えていただきありがとうございます。

◇障がい者雇用率100%を目指すために。

 私たちインターン生は今回のインタビューを通して、障がい者の社会参画の現状と課題について詳しく調べてみました。厚生労働省の調査によると、障害者の数は現在936.6万人であり、人口の約7.4%に該当しています。とてもたくさんの障がい者の方が世の中にいることが分かります。その全員が職に就くことができているわけではありません。「障がい者に適した業務がないから」「職場に馴染むのが難しいから」「施設・設備が対応していないから」など様々な理由により雇用が未達成であると考えられます。
 私たちが訪問したここ鳥海フォスでも課題があります。リサイクル事業の一環であるパソコン解体において、人手に対してパソコンの数が足りていないということです。障がい者の方たち個人にあったスキルを活かす機会・施設が設けられているなか、そのタスクとなる材料が少ないという課題です。現在は秋田マテリアル株式会社と連携して持ち込まれたリサイクル品からパソコンを送ってもらい、解体する機会を増やそうとしていますが十分ではないのが現状です。
 そこでこの記事をここまで読んでくれたあなたにお願いがあります!鳥海フォスの障がい者の方たちが社会参画できる環境を私たちと一緒に作りませんか?あなたが処分を考えているそのパソコンや電子機器が障がい者の方たちの生活を救います。

◇子供に戻ったインターン生

◎秋山萌菜(あきやまもえな)
 鳥海フォスには、広い玄関、黒板付きの教室、手洗い場など、元々小学校だった名残がたくさんあり、「うわぁ、懐かしい」と何度も口に出してしまうほど子供心を思い出させてくれる素敵な場所でした。また、利用者さんが手際良くデスクトップパソコンを分解しているのを見学した後、実際に自分で分解してみると「あれ?全然上手くいかないな...」と、戸惑うことだらけでした。利用者さん達がパソコンをリサイクルする為に毎日この作業をこなしていると考えると、何気なく手に取っていたPC部品のありがたみが増しましたね。

画像16

◎鈴木勇也(すずきゆうや)
 パソコンの解体、すごく楽しかったです!気がついたら夢中になっていて、一通り解体を終えると達成感と快感に浸っている自分がいました。そして、この「解体」があるおかげで、経済的にも環境的にもプラスになっているというお話を聞き、さらに「解体」に夢中になる自分がいました(笑)。今回、実際に手を動かしてみることで、鳥海フォスさんの取り組みに共感することができました。

画像17

◎竹田藍(たけだらん)
 もともと小学校であった校舎をそのまま会社として使っているということにすごく驚きました!最近では廃校になった校舎を道の駅や宿泊施設など様々な活用方法がされてる中、実際に企業が利用しているのは初めて知ったのでワクワクしましたね♪また施設内の方たちと実際にパソコンの解体作業を経験出来たのは非常に貴重でした。私たちが普段利用している電子機器が、このように人の手によってリサイクルできる形に分別され、資源の循環がなされていることを身を持って体験できた一日でした。皆さん本当にありがとうございました!!

画像15

◇不要になったパソコンは秋田マテリアルへ!

 「パソコンを処分したいけど、どうしよう…」とお困りのあなた!!秋田マテリアルにお持ち込みください!!持ち込まれたパソコンは鳥海フォスに送られ、今回の記事でも取り上げたように障がい者の方々によって解体分別し、リサイクルにつなげます。お問い合わせ先はこちら

不要になった パソコン引き取ります (1)

画像8

↑秋田マテリアル株式会社でリサイクルの説明を受けるインターン生

▼鳥海フォス
https://chokai-foth.amebaownd.com/
▼秋田マテリアル 
https://akita-material.com/
▼Local Quest
https://local-q.com/html/

この記事を書いた人:竹田藍(たけだらん)

画像18

秋田大学国際資源学部2年次の竹田藍です!
今回、インターンの活動の一環で記事を書いてみました。記事作成は私自身初挑戦であったため、みなさんにきちんと伝えられる文章を書けたかどうか不安ではありますがこの記事に興味をもってくれたら嬉しいです♪
これからも様々なインターン生が記事投稿をするので他の方のも是非読んでみてくださいね😊


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?