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Local Craft Market / Online β 無事開催終了しました!

Local Craft Market 運営事務局の澤田です。

2020年5月16日、17日
「場所を超えて作り手の想いにふれるローカルがつながる​ Local Craft Market」の第一回が無事開催終了しました!
 
初の試みにもかかわらず出展していただき熱いデモンストレーションにトライしてくださった24社の出展者の皆さん。

濃密で面白いトークを展開してくれたトークイベント登壇者の皆さん。

来場して思い思いに楽しんでくださった皆さん。

残念ながら予定が合わず参加できなかったけれど「興味があるよ」と応援してくれた皆さん。

目まぐるしく駆け抜けた準備期間と本番の運営を楽しみながら支えてくれた運営の皆さん。

本当に本当に、ありがとうございました!

332名の方にご来場いただきました

参照する前例が少なくて、
「本当に来場者は来てくれるんやろか?」
「一方でたくさん人が来すぎてもそれはそれでどうなってしまうんやろか?」
という不安を目一杯抱えながらの当日。

結果的に想定をはるかに超えて、332名(1日目162名、2日目170名 *事務局・出展者除く)の方が来場してくださいました。

大きな事故もなく、無事終了することができたのも、関わってくれたみなさんが、暖かい気持ちで今回のチャレンジに一緒に取り組んでくれたからこそ。本当に感謝してもしきれません。
 
もちろん、ブラッシュアップしたいところは山程あります。そこら辺はそう遠くないタイミングで開催する第二回に、乞うご期待ください。
  
そして公言していた通り、今後同様のトライをしていく人たちに使ってもらえるよう、この開催プロセスや今回のプロジェクトで蓄積した知見・ノウハウを公開していきます。早速、その準備に取り掛かっていています。ということで、詳細はまた追って、というところですが、一旦、昨日・一昨日で特に感じたことを3つほどしたためておきます。

1)画面越しでも、熱は伝わる

地域に根ざしてものづくりに取り組まれている人たちの静かで確かな熱気や空気感を、どうしたらより多くの人に伝えられるんだろうか?
デザイナーでも、コピーライターでもない、そんな自分だからこそ果たせる役割とは一体なんだろうか?

色々な産地をめぐりながら、ずっと頭のどこかに引っ掛かり続けていた問いがありました。今回、LCMを具体的に設計・開催するにあたって、ずっと宿題になっていたこれらの問いに、自分なりに一つの解を見出そう。そんな想いで準備をしてきました。

そして当日。

ある出展者は、普段は安全性を優先して公開することのない工房からその工程をデモンストレーションしていました。
ある出展者は、自社ブランドの素材仕入れ先である畑(農場)から自分たちがどんな想いでそのブランドを作っているかを語っていました。
ある出展者は、なかなか遠方の人は訪れることのできない自分たちの店舗を歩きながら、その一つ一つがどんな暮らしの提案に繋がるのかを語っていました。
ある出展者は、自分たちがものづくりを通して残したいと思っている風景を紹介していました。
そしてある出展者は、自分たちがものづくりをしている街そのものをめぐりながら、プレゼンテーションをしていました。

出展者のみなさんは、慣れないオンラインでのプレゼンテーションにのぞむにあたり、試行錯誤を重ねながら、「何を見せるのか」「どこを見せるのか」を模索していました。そんな試行錯誤の果てに選択したシーンそのものが、そのブランドが大切にしている想いや価値観を表していました。そして、その想いや価値観は、来場した一人一人にしっかりと画面越しに伝わっていました。

ECサイトや店舗で商品を眺めているだけでは伝わらない想いや価値観といった作り手や産地の熱は、画面越しでも伝えることができる。そんな確信を得ることができたのは、僕にとって最大の収穫の一つでした。

次なるチャレンジは、生活者の感動や驚きを作り手・産地側に伝えることができるか?その解を見出すべく、僕たちの挑戦はまだまだ続きます。

2)作り手と生活者の関係は、今後ゆっくりと質的に変化していく

この気づきについては、運営メンバーの一人である小林くんのブログが非常に的を得た表現をしてくれているので、引用します。

これは自明ですが、オンラインになればなるほど情報をデジタル処理するわけなので、ぼくらが生きているこの豊富な情報を持つリアルと比較して、情報量が落ちてしまいます。
(中略)
だからこそ、オンラインで会えば会うほど、リアルに出会いたくなる。これによってリアルの希少性が上がるため、リアルは「聖地」になっていく。こんな特徴がオンラインの場にはあると感じました。

また、一緒にLCMを立ち上げた柳瀬くんも、

「今回、友人たちに個別に連絡をして誘ったりもしていた中で、「参加する」とか「視聴する」ではなくて「遊びにいくね」と言ってもらえたのがめちゃくちゃ印象的だった

と頻りに言っていたのも印象に残っています。

実際、今回のLCMに参加した来場者の感想で、圧倒的に多かった声は「現地にいきたくなった」「工房を見学しにいきたくなった」というものでした。

逆に、来場者からは「テーブルに参加して話をするのは、少しハードルを感じた(緊張した)」という声もありました。

「現地に行きたくなる」感覚も、「緊張する」感覚も、例えばECサイトで商品を眺めていたり、WEBメディアの写真や映像をみているだけでは中々感じにくい感覚なのではないでしょうか。

一体この感覚はどこから湧き上がってきているのか。それはやはり「会う」ということから生まれてきているのではないかと僕は思っています。あの場所は、作り手と来場者が「会う」場所だった。だからこそ、会って話をして、話に共感したり興味を持ったからこそ、オンラインでは体感できなかったことを体感するために「現地にいきたい」と思った。逆に会って話をする場所だからこそ、いきなり見知らぬ人と会うことにハードルを感じた人もいた。

個人的に興味深いところとしては、今回のLCMで会った作り手と来場者(生活者)が、今後どのような関係を築いていくのか?というところです。会うという行為が質的に変化した結果として、作り手と生活者の関係も質的に変化していくのかもしれません。

ちょっと抽象的な表現になったので、より具体的な事象に言及しておきます。プレゼンテーションを観察していて、オンラインの商談はリアルのそれに比べると、その場で即決させることの難しさがあると感じています。

なぜなら、オンラインでは実物を見ていないから。食品であれば、ストーリーも大事だけれど味も大事です。ファッションであれば、ストーリーも大事だけれど自分に合っているかどうか、素材や肌触りが心地よいかどうかも大事です。人が商品を購入するかどうかを決める上で求める判断材料に対して、オンラインのプレゼンテーションはその一部しか伝えることができません。逆に、その判断材料の大部分をオンラインで伝えることができる「健康訴求」の商品などは販売できていました。
*余談ですが、テレビショッピングなどはその判断材料を映像で伝えることに特化しています。今後そういった伝え方の知見は、より多くの人に必要になるかもしれませんね

一方で、今回のオンライン・マーケットでは、その場で販売することをゴールとせず、顧客との関係をしっかりと構築しようとする出展者が何人かいました。例えば、しっかりブランドの考え方や想いを理解してもらった上で、Instagramをフォローしてもらう、noteをフォローしてもらうなど。こういったフォロワーを獲得することは、ただなんとなくフォローをしてくれたフォロワーとは、初めからエンゲージメント度合いが全く異なります。

これまで作り手と顧客との関係は、作ったものを買ってもらうことで生まれ、完結するものがほとんどでした。これに対して、今回のLocal Craft Marketを通して「会った」作り手と来場者(生活者)の関係は、SNSなどでの継続的な関係を経て、従来の作り手と顧客以上の関係になったところで購買行動が生まれる、という変化が起こり得るかもしれないし、是非、このような変化を引き起こしていきたい、と僕は思っています。

3)作り手は「生活者とコミュニケーションをとること」に圧倒的に投資できるようになっていく

今回のLocal Craft Marketは4月30日、ある着想をトランクデザインの堀内さんから伝えられたことをきっかけに開催されました。

4月30日着想、5月6日企画公開、5月16日-17日開催という、従来であればあり得ないスピードで実現することができたのは、もちろん、協力してくれた方々の支えがあってのことですが、一方で、この場の設計から準備の全てをオンライン(デジタル)で完結できたからという側面も無視できません。

これがリアルの展示会・商談会であれば、絶対にこんなスピード感では進められません。会場も手配しなくてはならない、什器も手配しなくてはならない、必要なものを取り寄せなければならない、その一つ一つに時間とコストがかかります。それが今回の場合は、オンライン上で設定だけすれば会場も什器も全てが用意できる。そして誰も移動する必要がありません。

もちろんオンラインであっても初期設定のコストはかかります。しかしそれも繰り返し開催していけば、ほぼ全ての設定コストはコピー&ペーストで事足りるようになるでしょう。もちろん、運営にかかったマンパワーはそれなりのものですが、それを鑑みたとしても、開催にかかるコストは極小化していきます。

このような開催コストの極小化がもたらす変化は大きく分けて2つあるのではないかと思います。

1つ目は、コミュニケーションの頻度が激増する、ということです。元来、展示会や商談会の多くは半年に1度のペースで行われるものがほとんどでした。これは頻度を上げることによる成果に対して場の開催コストが見合わないというのが合理的な理由だと思います。しかし、その開催コストが極小化すれば世界は一変します。伝えられるチャンスがいくらでも(ほぼコストもかけずに)作れるのに、従来の慣習にとらわれ、半年間伝える機会を持たないというのはナンセンスになるでしょう。

2つ目は、つながり合える場・伝える場を設ける主体がシフトしうるということです。リアルな場で展示会や商談会を開くことは決して容易ではありません。コスト負担の問題もさることながら、場(空間)の設計、運用など効果的な場を生み出すには、高度なノウハウと実行能力が求められるからです。しかし、デジタルであれば、その設計も運用ノウハウも(ある程度は)コピー&ペーストで量産可能です。これはつまり、作り手自身がつながり合える場・伝える場をコストをほとんどかけずに設けることができるようになる、ということです。

これまで作り手にとって、自分たちの商品やプロジェクトを紹介するためには、<半年に1回程度>の<誰かに設けてもらった場に>(対価を支払って)参加する必要がありました。しかしながら、今後はもう一つの選択肢として自分たちが望む回数と頻度で自分たちの手で生活者や地域外の専門家とつながり合える場・伝える場を生み出していくことが可能になるかもしれません。

このような選択肢が増えることは歓迎すべきものだと僕は考えています。なぜなら、作り手・産地の人たちが「場に参加すること」にコストをかけるのではなく、「顧客(生活者)とコミュニケーションをとること」に圧倒的に投資できるようになるからです。

とはいえ、「(技術的に)可能である」ということと「実際に実現する・生まれる」ということは全くの別物です。当面、僕たちは、その溝を埋めていくための様々な挑戦に取り組んでいくことになります。

Local Craft Marketの挑戦は始まったばかりです

単純に、今回開催したLocal Craft Marketの運営をブラッシュアップして、「売り場」として成長させていくこともできるでしょう。しかし、そうしてブラッシュアップしていったところで、リアルの場で開催されている商談会・展示会をオンラインに代替したものにしかなりません。そして、リアルを真似たところで最終的には「リアルの方がいい」ということになるのは自明です。

では、僕らはどんな役割を担っていくべきなのか?そんな問いを持ちながら、実際にLCMの1回目を開催してみたからこそみえてきた次なる大きなテーマを胸に、Local Craft Marketならではの「場所を超えて、作り手の想いにふれる、ローカルがつながる」場所を生み出していきます。

Local Craft Marketの今後に、ぜひご期待ください。

Local Craft Market 運営事務局 
澤田哲也

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