【厳罰!?】不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案
本日は、この度国会で審議されることになった「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案」について考えてみたいと思います。
(本稿の対象は2023年第211通常国会で提出された法案です)
不当景品類及び不当表示防止法 とは
わたしたちにとって、景品表示法はあまり意識しない法律かもしれませんね。法律自体あまり身近でないかもしれませんが…。
まず「景品表示」という言葉自体が難しいです。さらに、正式な法名称自体わかりにくい。この法律自体は消費者保護を目的としています。しかし、見様によっては自由競争市場に対していかに規制を設け統制するかに注力しているような印象を受けます。商売をするうえで競争相手よりも多くの売上をあげるために、顧客をいかにして集めるかということは最も重要なことです。しかし、国は「不当な方法により、顧客を集めてはいけないよ」というルールを作り自由競争市場に規制をかけている、それがこの法律です。略称に「不当」が抜けているので、本来規制法であることが分かりにくいです。
今回の法改正にあたり、消費者庁が景品表示法についてまとめた資料がありますので、こちらのリンクで確認していただくことができます。(面倒な方は飛ばしても大丈夫)
「景品」と「表示」
『土用の丑の日』これはウナギ屋さんに客を呼ぶキャッチコピーです。客を集めるために使われています。よく考えてみると『土用の丑の日』は、科学的になんら根拠のない宣伝ですね。あたかも「土用の丑にウナギを食べると夏バテを防止できる」と言っているかのようです。それでも、広告市場に残る金字塔とまで言われるようになった、このコピーは、多くの人に受け入れられています。だまされているかもしれないのに!です。消費者庁は、この広告について、規制しないのでしょうか?
景品表示法は正式な名称の通り「景品」と「表示」に関する規制です。過剰な景品で顧客を誘引する集客をしないようにとか、過剰な広告表現でお客さんが騙されないように規制する働きをしています。奇をてらって顧客を誘引することは『土用の丑の日』の例をまたず、いつの時代にもありました。それを、法律というルールでもって縛る、それが景表法だとも言えるでしょう。上記以外にも景品表示法では主に次のようなことに対する規制があります。
「これを買うとこんなに良いことがあるよ!」を様々な表現で伝えています。この後に続く「だから、今これを買ってね」を言うための修辞というわけです。
景品表示法については『減税新聞』さんのオレンジジュースの表示についての記事が大変わかりやすくまとめられているのでぜひお読みください。
追加された「アメ」と「ムチ」
さて本改正法案の概要を見てみましょう。
専門用語が難しいため、関西弁で意訳すると「繰り返し悪さしたヤツは課徴金増やして懲らしめたるわ。違法な広告見つけたら速攻罰金100万円やで!けど一度の注意でちゃんと反省文出せば許したるわ。あと客に返金する時は電子マネーでもええで。それと海外の業者も見張ることにしたからな。うちらの仲間も加えて監視強化するで!」みたいな感じです。相変わらず上から目線ですね。
上の表は高額な課徴金を課せられた事業者ワースト10です。一位はフィリップモリスジャパンの加熱式タバコで、課徴金はなんと5億円を超えています。過去最高額だそうです。
正直こんなくだらない事で売上から5億円も払わせられるフィリップモリスが気の毒だと思ったのは私だけでしょうか?
表の項目「違反類型」にある「有利誤認」と「優良誤認」の違いはコチラに詳しく解説が載っています。
これまでは消費者庁が不適切な広告を見つけたら、一応、弁解の余地は与えられていましたが、せっかく会社側が根拠資料を提出しても消費者庁は厳しく、上の図のように会社名が公表され「指導したで」「罰金払わせたで」と見せしめが行われていました。ですが今回の法改正では、そのルールが厳しすぎると言うことで少し緩和をし「一度の注意でちゃんと効果のある対処をすると約束することと、反省文出せば許したるわ」となりました。
また、課徴金が課される場合であっても、消費者へ返金を行ったときなど、課徴金が減免されるそうです。これらが事業者への「アメ」となっています。
反対に「ムチ」は、概要図2「違反行為に対する抑止力の強化」で、課徴金の増額が追加されたことと、100万円以下の罰金を課す罰則規定ができたことです。
概要図3「円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等」は海外の事業者への執⾏のあり方や、「適格消費者団体」に権限を与え民間事業者に開示要請できる旨が記されています。
以上のように、景表法は事業者に対し「アメとムチ」を使い、自由競争市場を統制する、事業者への支配、懐柔策であると考えます。
ですが、パブリックコメントでも意見が出ていましたが「真面目な業者は規制に従っているが、悪質な業者は規制の目をかいくぐった事をやり、行政指導を免れている」ということがあるそうで、ただ規制を増やすことが良い結果につながっているのかは、非常に疑問が残ります。
またもや天下り先の確保へ
また、これらの監視体制を強化するために「適格消費者団体」や都道府県による法執行制度を整えることは、地方自治体への委任事務がさらに増えることと、「団体」という官僚の天下り先の確保に他ならないと考えられます。
例えば、適格消費者団体との連携においては「景表法検討会」の第8回『関係者ヒアリングまとめと今後の方向性』という資料の中に以下のように記載されています。
このヒアリングの結果、法案にはしっかりと適格消費者団体が事業者に対して情報公開を求めることができることが盛り込まれています。
適格消費者団体は消費者庁のホームページに一覧表があります。20を超える団体が登録されていますが、理事長の多くは、生活協同組合の関係者のようです。上記『意見』で意見を述べた「消費者支援機構関西」も生協の関連組織です。生協は消費者保護に熱心であることは確かですが、これほど特定の団体にしか適格消費者団体の認定が与えられていないことは問題ではないのでしょうか?
「買取サービス」は何を提供しているのか?
検討会第4回に国民生活センターの資料から「買取サービス」のトラブル事例が景表法問題として取り上げられるようになりました。これをきっかけに以後の検討会でも様々な事例が挙げられることになった問題です。国民生活センターのホームページで確認してみました。「買取サービス」や「不用品回収サービス」が消費者からのトラブルとして掲載されています。
検討会において問題になったのは実は「消費者がだまされた」という点ではなく、買取・回収業者が「役務」として何を提供しているのか、という些末な定義に関する事でした。
問題とされた表示
「○○という条件で買い取ります」
検討会では「表示は当然規制の対象に含まれる」という考えでした。しかし、委員の間でも業者が買取る行為について「商行為としての仕入れ」「不要な物を引き取ってもらうことで消費者が対価として得られる精神衛生を与えるサービス(役務)」との違いをどのように定義するかが難しいとのことでした。と言うことで、この件は「今後の議論」へ持ち越しとなりました。
こちらに「買取りサービスに係る考え方の整理」の部分を抜き出しておきますので、皆さんもぜひ考えてみてください。
法改正とは官僚統制
法律が改正される前に、さまざまな「検討会」「小委員会」というものが作られ、議論されます。しかし、すべて政府の主催であり、まず官僚がレールを敷きます。それと供に学識経験者という官僚お気に入りの学者、各種団体の関係者が集められ議論が始まります。当然、出席者は官僚の敷いたレールを外れることはないため、最初に決めた結論ありきの検討会となります。この「買取サービス」のような、判断に困る事例が起きると「今後の議論」へと持ち越されたりして、結構面白いと言えば、面白いです。
ですが、新しいサービスや商品が開発されるたびに、このような規制をとめどなく増やし続けていては、まともな民間業者からすれば営業妨害ですし、管理を任される行政のマンパワーも限りなく増大してゆくだけでしょう。義務的経費の肥大化の行く先は増税です。国民を守ると言いつつ、実際は国民の商売を縛るルールを増やし、それを管理するためさらに増税を課すなど、到底許すことはできません。それこそ不当表示です。
さて、不当表示と不当景品についての法改正案をザックリと解説しましたが、「これって誰かがよくやっている事と同じじゃない?」とお気づきになりませんでしたか?
そう、『減税』を謳って当選した議員が、一向に減税に対して政官を巻き込んだ実現への行動と起こさないことは「虚偽広告」ですし、根拠がまったく示されない『異次元の』少子化政策は、まさに「誇大広告」ではないでしょうか。では陰謀論で党員を集める党などはいったい…?
ということで、
私たちはすべての増税、規制強化に反対します!
番外編:浜田参議院議員に質問してほしい!
減税と規制緩和に賛成で、国会でも政府に鋭い質問をしてくださる政治家女子48党の浜田議員に、ぜひとも国会で質問して欲しいな〜と思うことを番外編として掲載します。(^_^)