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心の砂地第40回『仄暗い水の底からは、かなしい』

■概要説明
・仄暗い水の底から

2002年に公開された中田秀夫監督によるホラー映画。原作は、鈴木光司の同タイトルのホラー短編集。水と閉鎖空間をテーマとした7編の物語が収録され、本作は、そのうちの1編「浮遊する水」を映画化したもの。

監督:中田秀夫
日本の映画監督。1985年に、にっかつ撮影所に入社。
助監督を経て、1992年に『本当にあった怖い話』で監督デビュー。
1998年に発表した『リング』が大ヒットし、現在では黒沢清や清水崇らと並ぶ、Jホラー(ジャパニーズホラー)の代表の一人と目されている。

・途中で話している作品、
傑作『女優霊』(配信、現在見当たらず…DVDで観るしかないかも)

原作:鈴木光司
日本の小説家、エッセイスト。
1990年に「楽園」でデビュー。
翌年発表した『リング』は映像化され、ホラーブームの火付け役となった。

■ストーリー
離婚調停中であり、娘・郁子の親権を夫と争っている淑美(黒木瞳)は生活を立て直そうと、郁子と一緒に新しいマンションに引っ越す。しかし、そこは雨漏りが酷い、水道水が不味い、上階の子供の足音がよく響くなど不具合が多く、また彼女は何か不穏なものを感じていた。次第に淑美は、この不可解な現象に、2年前から行方不明になっている河合美津子という少女の存在が関係していることに気付き始める。

・年代設定では平成11年 → シャークさん(8才) 、 T-lad (5才)は まさに郁子と同年代ということもあり、この1990年代後半のアパートの湿っぽさ、幼稚園の雰囲気等、当時の雰囲気も含めてダイレクトに楽しめる世代である。

■印象的なシーン
・ラストのエレベーターのシーン
 扉を開けて出てくるのが郁子であるという肩透かし、からの美津子のホラーシーン、淑美との別れ。ホラー映画において表現し辛い、大切な人を失うことの悲しさを描写したことの偉大さ。

・現実感、生活感の描写
 離婚調停、就職面接、幼稚園等、ホラー要素のない生活シーンが丁寧に描写されており、一部のシーンを切り取れば、ホラー映画と気付かない。また、これらの現実的な問題も淑美を追いつめる要因となっている。

・何度も出てくる赤いバッグ
 最初は何とも思わないが、話が進むにつれ、とてつもなく気持ち悪く見えてくる不思議さ。

・個人的な恐怖シーン(T-lad) 最後に赤いバッグが郁子の鞄から出てくるシーンで、郁子がバッグを開けようとする時の顔が死ぬほど怖い(本編1:10:16あたり)

・10年後の母との再会

■本編に出て来た用語集

アンビリーバボー…『奇跡体験!アンビリバボー』。フジテレビ系列で1997年10月25日から放送されているドキュメンタリー系バラエティ番組(木曜20時台)。番組開始当初から2002年頃までは「恐怖のアンビリバボー」と題して、季節を問わず恐怖関係の特集をやっていた。心霊写真を放映するなど、シャーク世代(91年生まれ)の人々のトラウマになっていることも多い。

学校の怪談…95年〜99年に公開された日本の映画シリーズ。常光徹の小説『学校の怪談』(講談社)及び日本民話の会のコミック『学校の怪談シリーズ』(ポプラ社)が原作だが、内容はほぼオリジナルである。
学校で起こる怪奇現象、いわゆる学校の怪談を題材とした作品。
怪談ものではあるが、ホラーというよりはファンタジー要素が含まれた冒険ジュブナイルものといった子供向けを意識した趣きとなっている(wikipediaより

シャーク世代(91年生まれ)のグーニーズであり、ストレンジャーシングスである。

グーニーズ…スティーブン・スピルバーグ製作総指揮による映画(1985年公開)。伝説の海賊が隠した財宝を探す少年たちの冒険を描いており、ジュブナイルものの傑作として現在まで愛されている。日本ではファミリーコンピュータ版のゲームがヒットしたこともあり、ある世代にとっては特別な想いが込められている一作。

『童夢』… 大友克洋の漫画作品。「アクションデラックス」などに1980年から1981年にかけて4回に分けて発表された。1983年8月18日単行本発行、第4回日本SF大賞受賞。小説以外の作品での同賞初受賞作品。
舞台の団地のモデルは埼玉県川口市の芝園団地。(wikipediaより
現在ではさまざまな漫画で見られる表現であるが、アクションシーンにおいて、人間が殴り飛ばされてコンクリートの壁がヘコんで『ズン』と放射状にひび割れる、という表現はこの漫画において初めて描かれた。

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リバーズ・エッジ … 岡崎京子による漫画作品。1993年から1994年にかけて雑誌『CUTiE』(宝島社)で連載、1994年6月に宝島社ワンダーランドコミックスより刊行された。
岡崎京子の作品の中でもとりわけ語られ、『最高傑作』と評されることも多い。問答無用の傑作。


黒沢清…映画監督。『CURE』(97)、『回路』(00)、『クリーピー 偽りの隣人』(16)、『散歩する侵略者』(17)など代表作多数。
高校在学中より8ミリ映画の制作をはじめ、立教大学では、蓮實重彦の映画学の授業を受講。世界の『クロサワ』。
Jホラー黎明期より、様々な種類の恐怖映画を監督。空っぽな人間がだいたい怖い。シャークくんのフェイバリット映画監督。

小中理論…Jホラーブームの立役者である黒沢清、高橋洋らが、小中千昭が構成した『邪眼霊』(88)『ほんとにあった怖い話』などのオリジナルビデオ作品においての恐怖演出を「小中理論」として定義づけた。
この理論については、後に小中自身が著書『ホラー映画の魅力』の中で詳細に語っている。

シャイニング… 1980年に制作されたホラー映画。スティーヴン・キング原作の同名小説をスタンリー・キューブリックが映画化した。キューブリックならではの恐怖演出と映像美で高い賞賛を受け、数多くの作品でオマージュが行われている。

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■最後に紹介したおすすめホラー映画

・ヘレディタリー 継承 / アリ・アスター 監督

・ミッドサマー / アリ・アスター 監督

・ゲットアウト / ジョーダン・ピール 監督

・ブレア・ウィッチ・プロジェクト

・オーディション / 三池崇史 監督

・イット・フォローズ / デヴィッド・ロバート・ミッチェル 監督


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