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第12回『やっぱり、推しという言葉に』

【今日、アイドルは広く普遍的な人気を獲得し、多様なスタイルや可能性をもつジャンルとしても注目されている。しかし、同時に多くの難点を抱え込んでいることも見過ごせない。暗黙の「恋愛禁止」ルールとその背景にある異性愛主義、「年齢いじり」や一定の年齢での「卒業」という慣習に表れるエイジズム、あからさまに可視化されるルッキズム、SNSを通じて四六時中切り売りされるパーソナリティ……。
アイドルというジャンルは、現実にアイドルとして生きる人に抑圧を強いる構造的な問題を抱え続けている。スキャンダルやトラブルが発生して、旧態依然ともいえるアイドル界の「常識」のあり方が浮き彫りになるたび、ファンの間では答えが出ない議論が繰り返されている。
その一方で、自らの表現を模索しながら主体的にステージに立ち、ときに演者同士で連帯して目標を達成しようとするアイドルたちの実践は、人々をエンパワーメントするものでもある。そして、ファンのなかでも、アイドル本人に身勝手な欲望や規範を押し付けることと裏表でもある「推す」(≒消費する)ことに対して、後ろめたさを抱く人が増えている。
本書では、「推している」がゆえにジャンルが抱える問題から目をそらすのではなく、かといって、現に日々活動を続ける一人ひとりのアイドルの存在を無視して「アイドル」そのものを「悪しき文化」として非難するのでもなく、「アイドルを好きでいること」と問題点の批判的な検討との両立を目指す。】

・AKB48 team B『チームB推し』(2010)


・「推し活」
…2021年の流行語大賞にノミネート。
【「推し」とは、自分にとってイチオシの人のこと。そんな推しに情熱を注ぐ活動のことを「推し活」と言います。推しが出ているライブに行ったり、グッズを買ったり作ったり。推しについてSNSで語ったり……など、推しへの愛情に関わるあらゆる活動が推し活に当たります。また、推し活で推す対象は、アイドルや俳優、YouTuberなど実在の人物を指す場合や、アニメ・ゲームの登場人物など2次元のキャラクターを指す場合も。他にも、建築物や鉄道なども推し活の対象になることがあり、推す対象の幅が広いことが分かります。】(本ウェブサイトより引用

●参考記事、書籍



三島由紀夫『実は私は「愛国心」という言葉があまり好きではない。』
(68年、朝日新聞への寄稿より引用)

…【実は私は「愛国心」という言葉があまり好きではない。
何となく「愛妻家」という言葉に似た、背中のゾッとするような感じをおぼえる。この、好かない、といふ意味は、
一部の神経質な人たちが愛国心という言葉から感じる政治的アレルギーの症状とは、また少しちがつてゐる。
ただ何となく虫が好かず、さういふ言葉には、できることならソッポを向いてゐたいのである。
この言葉には官製のにほひがある。また、言葉としての由緒ややさしさがない。どことなく押しつけがましい。
反感を買うのももつともだと思はれるものが、その底に揺曳(ようえい)してゐる。
では、どういう言葉が好きなのかときかれると、去就に迷ふのである。愛国心の「愛」の字が私はきらいである。
自分がのがれやうもなく国の内部にゐて、国の一員であるにもかかはらず、その国といふものを向う側に
対象に置いて、わざわざそれを愛するといふのが、わざとらしくてきらいである。】

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