心の砂地第45回『ふたりしてひとりで、娚の一生』

2021年2月18日 00:21

●『娚の一生』

・あらすじ
東京の大手電機メーカーに勤める堂薗（どうぞの）つぐみは、
長期休暇を田舎の祖母の家で過ごすことにした。まもなく入院していた祖母が亡くなり、つぐみは仕事を在宅勤務に切り替え、そのまま祖母の家で暮らすことにする。
翌朝、家にいたのは、見知らぬ壮年男性の海江田醇（かいえだじゅん)。
祖母の教え子で、祖母から離れの鍵をもらっていたという。
醇と祖母との関係がよく分からないまま、つぐみとの奇妙な同居生活が始まる。

・タイトルについて
『おとこのいっしょう』、というタイトルの音が先に決まった、そのあと『娚』と字を当てた。

・舞台
　劇中では、「角島県」の田舎町。作者の故郷、鹿児島県がモデル。

●月刊flowers
1980年創刊の『プチフラワー』を引き継ぐ形で2001年に創刊（リニューアル）。

『プチフラワー』は竹宮惠子、萩尾望都を中心に24年組の主要作多数。
竹宮惠子『風と木の詩』萩尾望都『メッシュ』『半神』などが掲載。
木原敏江、大島弓子も作品を発表。
※『別冊少女コミック』連載作も一部『月刊フラワーズ』へ

●月刊flowersの傑作群

　萩尾望都　　『バルバラ異界』（02〜05）『ポーの一族春の夢 / ユニコーン / 秘密の花園』（16〜）

　吉田秋生　　『海街Diary』（06〜18）

　小玉ユキ　　『坂道のアポロン』（07〜12）

　水城せとな　『失恋ショコラティエ』（09〜15）

　岩本ナオ　　『町でうわさの天狗の子』（07〜13）

　田村由美　　『7SEEDS』（01〜17）

●西炯子
1966年生
高校在学時、『JUNE』(サン出版 *伝説の耽美雑誌）

「竹宮惠子のお絵かき教室」に投稿。
大学在学中にデビューの後、小学校教員として就職。退職後、専業作家となる。
小学館では『プチフラワー』→『月刊flowers』で連載。
新書館『ウィングス』では、高河ゆん、CLAMPなどと並び人気作家であった。

また、近年は講談社『なかよし』でも連載。

・同い年の漫画家

冨樫義博　　　　　『幽遊白書』（WJ:90~94）
『HUNTER×HUNTER』(WJ:98〜）
タナカカツキ　　　『バカドリル』（94〜）『サ道』（16〜）
鬼頭莫宏　　　　『なるたる』（アフタヌーン:98〜03)
　　　　　　　　　『ぼくらの』（IKKI:03〜09）

三浦建太郎　　　　『ベルセルク』（ヤングアニマル:89〜)
森川ジョージ　　　『はじめの一歩』（週刊マガジン:89〜）
森田まさのり　　　『ろくでなしBLUES』（WJ:88〜)
　　　　　　　　　『ROOKIES』(WJ:98〜）
山田玲司　　　　　『Bバージン』（YS:91〜）
　　　　　　　　　『絶望に効くクスリ』（YS:03〜08）

◯西炯子作品

・初期（デビュー、嶽野義人シリーズなど短編、『STAY』以前 88~99）

『天使にならなきゃ』　　　　　（88 PFコミックス） *単行本デビュー作　
『水が氷になるとき』　　　　; （90 PFコミックス） *04 小学館文庫化

『三番町萩原屋の美人』　　　　（91-00 Wingsコミックス全15巻）*04 ウィングス文庫化

『ローズメリーホテル空室有り』（95-98 PFコミックス全4巻）
『学生と恥』　　　　　　　（98 小学館キャンバス文庫特別版、上下巻）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
『真夜中のMidnight』　　　　（99 PFコミックス） *15 小学館文庫化

・中期（『STAY』シリーズ執筆〜『娚の一生』以前 00〜08）

『薔薇姫』　　　　（02 PFコミックス） *15 小学館文庫化

〜01年、『プチフラワー』から『月刊flowers』へリニューアル〜

『STAY ああ今年の夏も何もなかったな』 02 月刊flowers）

*演劇部の女子高生たちを主人公にした、『STAY』シリーズ第1作。
『STAYプラス』〜『STAYネクスト』まで刊行。
（06までで全7巻、文庫は全4巻）
吉田秋生『櫻の園』、後の志村貴子諸作などのような雰囲気の傑作！
（10 小学館文庫化）

『電波の男よ』 （07 fsコミックス） *男は（ひと）と読む

『ひらひらひゅ〜ん』 （06-10 Wingsコミックス）
*弓道部の男子高校生たちを主人公にした作品。第4巻あたりからBL色あり。

・『娚の一生』〜現在

『娚の一生』（08-10、フラワーコミックスα、全3巻）
*スピンオフ→4巻として収録
『姉の結婚』（10-14、フラワーコミックスα、全8巻）

『恋と軍艦』（11-15、KCなかよし、全8巻）
『初恋の世界』（15- フラワーコミックスα、既刊8巻)

●西炯子キャラの特徴
　①とにかくメガネ男子、年上男子、そして手フェチ。
　天使的な優しさを持った大人な男キャラ（※存在はもはやファンタジー！）

　②何かを喪失しているキャラクター
　　※薔薇姫　文庫版の解説、サンキュータツオ氏の文より引用
　　中編、長編になると喪失感のその先、が描かれる
　
　③「強い」自立した女性

●用語集

『リストランテ・パラディーゾ』 … オノ・ナツメによる漫画作品。
2005年5月から2006年3月まで『マンガ・エロティクス・エフ』（太田出版）に連載。従業員全員が老紳士というローマの小さなリストランテを舞台に、従業員や客たちが織り成す群像劇を描いた作品。番外編ともいうべき『GENTE〜リストランテの人々〜』が同誌にて連載された。
2009年4月から6月までテレビアニメが放送された。（wikipediaより引用）。

Wu-Tang Clan … アメリカのヒップホップ・グループ。90年代において特に日本語ラップグループたちに最も大きな影響を及ぼした。グループとしての1stアルバム『ENTER THE WU-TANG』発表後、メンバーがそれぞれソロアルバムを発表。リーダーのRZAがトータルプロデュースをしているが、どれもがラッパーの特性を活かしたサウンドで趣向が異なり、どの作品もヒットした。