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2週間でリリースするボイロゲームの裏側

▼はじめに

この記事は、ボイゲ Advent Calendar 2019 9日目の記事です。
"2週間でリリースするボイロゲーム"と題しまして、
VOICEゲームジャム3に提出した拙作「あかりステップ」をふりかえった制作記録を記事にいたしました。
同志のゲームクリエイターたちの何かの糧になれたらいいなぁ...

↑「あかりステップて何?」という方や「もう忘れちゃったよ」という方はぜひこちらから遊んでみてください!

▼リリースまでの道のり

それでは開発の各工程をふりかえりましょう。

テーマ決め

まずは作る上でのテーマを決めておきます。
無くてもゲームは作れますが、仕様や作る機能、難易度調整などに迷った際、「テーマを達成するためにはこっち!」という判断材料にすることができます。

あかりステップでは「自分がゲーム上手くなっていくのって楽しいよね!」
という『成長感』をテーマとしています。

大まかなゲームシステムの実装

テーマに合わせて大まかなゲームシステムを実装していきます。
当時の状況はこんな感じでした。

仕様としては昔からよくあるジャンプ系のゲームですね。

実現が簡単なシステムにしておくと短期間で仕上げることができます。
このゲームシステムは、

* 落ちるプレイヤーキャラクター
* 触ると上に跳ねる足場
* 左右入力して動くプレイヤー

の3つを開発すればゲームとして成り立ってしまいます。
とてもゲームジャム向きですね!

試作版リリース

ある程度動くようになったら試作版を非公開でリリースします。
提出場所がitch.ioという知らないサイトのため、使い方が何も分からないからです。

この作業により、ゲーム作り以外の作業やプレイヤーが遊ぶ際の問題点などが判明します。
「作ったけど提出が間に合わない!」といった事故の発生を防ぎましょう。

ゲーム作成

さて、リリースに必要な作業も洗い出せた所で、ゲームの完成を目指します。(ここが一番しんどい)
なるべく早くゲームとして動く状態までたどり着くのがよく、作り込むのは後回しがよいかなーと思いました。

* ゲームクリア、ゲームオーバー、スコア計測などのシステム部分を作っておく。
* ゲーム本編のクリアまでのコンテンツを揃える。
* 忘れないうちにBGMや効果音をつける。
* 細かいゲームバランス調整、見た目や音の微調整などは後回しにする

と、書いたはいいものの、その日その時にやる気の出る作業を進めるのが一番進捗が出るような気がします(性格: きまぐれ)

完成版テストプレイ & 作り込み

完成したら非公開リリースしてテストプレイです。
実際に動かして調整やバグ取り、時間が許せば作り込んでいきましょう。

iPhoneを持っていなかったのでiOS環境でテストプレイできなかったのですが、見事にiPhone起因のバグを踏み抜いてつらい気持ちになりました。

リリース & 宣伝

テストプレイも終われば無事リリースです。皆に遊んでもらいましょう。
ボイゲDiscordの皆様はすぐ遊んでくれる上に、フィードバックももらえるのでありがたい限りです。

動画をつけて宣伝ツイートを複数回流したりもしていました。
やはり1ツイート内で面白さが伝わるのが動画の良い所ですね。
おかげさまで多くの人に遊んでいただけました。


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そんなこんなであかりステップは完成しました。
多くの方がハイスコア競争に挑まれたようで、「上手くなるの楽しい!」という気持ちに無事刺さったのかなと思っています。

▼こだわりポイント

ここからはささやかなこだわりポイントをふりかえりましょう。

操作性

プレイヤーキャラのあかりちゃんの挙動は、慣性つきの左右移動を採用しました。慣れるまで難しいですが徐々にコツが掴んでいける操作性を目指しています(成長感!)

また、ゲーム画面の左右には黒い帯がついているのですが、
これはスマートフォンでプレイした際に画面外をタッチして操作不能にならないよう指を検知できる範囲を広げるためにつけています。
これはテストプレイ中に気がついて付与した機能です。

スクリーンショット 2019-12-08 21.28.59

背景

青空から徐々に徐々に宇宙に向かっていくイメージの背景を作っています。
また、遠くのものほどスクロールを遅くすることで立体感を演出しています。パララックス(視差効果)と言うそうですね。

スクリーンショット 2019-12-08 21.32.33

各ステージの難易度調整

「繰り返すと徐々に点数が上がる難易度」を目指して調整しています。
このゲームはプレイヤーを叩き潰すためではなく、プレイヤーにクリアされるためにあるのです。

きずなステージ(食器・おにぎり)
ゲームに慣れるためにごくごく簡単に。
連続プレイ時には邪魔なエリアなので、なるべく足場がバラつかないようになっています。

ことのはステージ(エビフライ・チョコミントアイス)
足場の間隔が広くなり落ちやすくなるステージに。
次ステージで驚かないように「足場は動くことがある」仕様を教えるエビフライ回転ギミックが搭載されています。

実はゆっくり回転するエビフライステージも作ったのですが、足を滑らせて落ちる可能性が高い理不尽ステージになってしまったのでお蔵入りしました。

東北ステージ(きりたんぽ・ずんだ餅))
この辺からグッと難しく。特にきりたんぽが動き出すのは東北のクソガキさん表現ですね。
きりたんぽの配置は乱数次第ですが、運ゲーを防ぐために最後の3たんぽは確定で動くようになっています。

ゆづきずステージ(星・ゆかりさん)
ここまで到達したプレイヤーにはぜひクリアしてほしい!逆に足場を広くして簡単めに。
ちょうど20000点で感動のゆかりさんとの再会が!

クリア後ステージ
ここからはスコアアタックです。
もう作り込む時間がないので、過去ステージの難易度上げたバージョンでお茶を濁すことに。背景もひたすらまっくろ。
結果きりたんステージが容赦なくなりました。クリアできたひとはすごい!

これらの調整の他にも「見た目より小さい判定にはしない」など、
なるべく「理不尽な死」を減らすよう努力しています。

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また、裏目標として「作者スコア30000点」をTwitterで公開しています。
実際にはもう少し先まで通しプレイしていますが、プレイヤー達の丁度良い目標になれていたらよいなと思っています。

ブラウザ対応+モバイル対応

本ゲームは、UnityをWebGLビルドして提出しているためウェブブラウザ上で動作させることが可能です。また、方向キー入力だけでなくタップ入力にも対応させているため理論上はモバイル端末のブラウザからもプレイ可能となっています(難易度は上がりますが...)

これは、「Twitterで宣伝動画を見る」→「試しにプレイしてみる」というユーザーがメインユーザーであると仮定すると、「ダウンロードする」という動作を挟まないブラウザプレイは必須であると考えた結果です。

ブラウザ対応/モバイル対応にすることで動作スペックの制限や操作方法の制限、テスト難易度の上昇などの問題が発生するため、全ゲームが対応すべきことではありませんが、このゲームは上記の思想を元に対応していました。

▼おわりに

意外とたくさん書くネタがあった!!!!!(いろいろと削りました...)
短い開発期間でしたが、たくさんの想いが詰まっていたようですね...
ここまでお付き合いいだたきありがとうございました。

ボイゲアドベントカレンダー2019 明日はかいふさんの担当になります!

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