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塗膜調査あるある6 ポリ塩化ビフェニル含有塗膜 調査実施要領(第2版)にツッコミをいれてみる

本調査実施要領とは

以下の2点を押さえておけば良いと思います。(ほぼ原文のまま)

①「PCB 特別措置法」に基づき、その保管事業者は処分期間内の処分等が義務付けられていることから、PCB 廃棄物となる塗膜について早急に対応を進めるため、本調査実施要領により、調査を進めていただくようお願いします。

②環境省において、関係業界団体や行政機関が保有する情報を収集・精査の上作成し平成30 年11 月にお示しした初版を改訂したものであり、今後、更なる情報が得られた場合には、更に改訂を行う可能性がある。

本調査要領は、環境省から発せられた令和2年3月30日付けのものですが、本内容は経産省の令和2年4月15日付けの「ポリ塩化ビフェニル含有塗膜の把握について(第2版)」と同一となっています。

調査対象とするPCB含有塗料

①PCB 含有塗料の製造期間は、昭和41 年(1966 年)から、通商産業省(当時)から製造中止の通達が出された昭和47 年(1972 年)1月までとされていることから、以下の塗料のうち、これらの期間に製造されたものに限りPCB を含有しているものとする。

②これらPCB 含有塗料のPCB 含有率は、1%(10,000mg/kg)から10%
(100,000mg/kg)程度とされている。

③PCB 含有塗料の使用等が正式に中止されたのは、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令(昭和49 年政令第202 号)の施行日である昭和49 年(1974 年)6月10 日であることから、昭和41 年(1966 年)から昭和49 年(1974 年)までに建設又は塗装された施設等に使用された可能性がある。

①~③をまとめると、

「昭和42年~昭和49年までに建設または塗装された1%~10%程度のPCBを含有している塗料が対象」と読み取れます。

え~、と思いませんか?

現在、PCB汚染物か否かを判定する調査が多いので、0.5mg/kgを超えるかどうかが重要視されています(0.5mg/kg=0.000005%)。

つまり、本調査実施要領は現在主流となっている塗膜調査の適用図書として適当ではない、ということになります。

ですから、現状の塗膜調査で本調査実施要領を適用図書とすると様々な弊害があり、本調査実施要領を頑なに遂行しようとする発注者を説得するために時間を費やし、現場入りが1か月半も遅れてしまった実例もあります。

こうなると、発注者側の不勉強を嘆くしかありません(泣)

注意点

本調査実施要領の注釈に、以下のような記述があります。

昭和41 年(1966 年)から昭和47 年(1972 年)1月までに製造されたものに限る。(中略)それ以外の時期に製造された塗料にPCB は添加されていないことに十分留意されたい。

これだけを読むと、昭和41年~昭和47年製造以外の塗料にはPCBは含まれていない、と錯覚してしまいます。

この記述は、あくまでも1%~10%程度のPCB含有率がある塗料のことだけを言っているので、該当製造期間外の塗料にも0.5mg/kgを超えるPCBが含有している可能性があるのです。

これまでのあるある話でお話しした通り、塗料生成時の非意図的な副生成物としてのPCB含有が認められていることから、塗料の製造期間に関わらずPCB分析を実施することが一般的となっているのです。


次に、本調査実施要領の「問い合わせについて」において以下の記述があります。

(中略)PCB 含有塗料に関しては、各塗料メーカーに直接連絡を行うことのないよう厳に留意されたい。

これ、本調査実施要領を適用図書とした発注側担当者と、その指示を真に受けた受注側担当者がやっちゃいました。直接メーカーに聞き取り調査を実施してしまったのです(汗)。

不勉強さにも程がある!

私が指摘してようやく両者は気づくわけですが、おかげでその後の協議が滞りなく進みました(笑)。

皆さん!

特に塗膜調査で指定される適用図書は色々ありますが、必ず矛盾点が見つかります。適用図書を頑なに守ろうとすると首を自ら絞めることになります。

まずは情報を収集し、現場にマッチした手法を構築しましょう!

訳わかんね~、という方は是非ご相談を!

格安でレポートを作成しますよ(笑)