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塗膜調査あるある5.1 鋼構造物塗膜調査マニュアルにツッコミをいれてみる

マニュアル第7章7.3.1 重金属類の分析

前回の続き。

ここで言う、重金属類とは「鉛・クロム」を意味します。

本項は、1次判定として含有量試験、2次判定として溶出試験を掲げ、それぞれに分析試験方法を定めています。

また、注釈として分析塗膜の量を以下のように明記しています。

「注:分析塗膜の量は、含有分析20g以上、溶出50g以上が好ましい」(原文のまま)

はい!ようやく含有量試験の採取量が記述されました(鉛・クロムのみ)。

それと、溶出は50g以上と明記されました。

皆さん分かりましたか?ここがツッコミどころ第2弾です!

まず、含有分析20gの意図を読み解きましょう。

鉛・クロムを1回分析するためにはそれぞれ5gずつ、計10gが最低必要量となります。従って、20gは鉛・クロム分析2回分の試料量となります。

次に、溶出は50g以上(溶出試験1回分は50g)と記述されています。これは、前記事でお話しした7.2項に記された目安100gを無視した記述となっています。

含有試験用試料量を分析2回分としているのに、なぜか溶出試験分は1回分の試料量となっています。本来ならば、含有試験と同様の考えで試料量を定めるならば、溶出試験分の試料量は分析2回分の100g以上とすべきなのです。

このように、せっかく100gと前振りしていたにもかかわらず、後述で50gと記述してしまい、読み手の混乱を招く結果となっています。

マニュアルといっても、そのまま鵜呑みにできないことがお分かりになりますよね(笑)

次回は、7.3.2「PCB分析」の項を取り上げます。