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法律家/投資家/修験者

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最近の記事

六波羅蜜×経営 その6「持戒波羅蜜と企業」

持戒波羅蜜~法令遵守現代社会では,自然人である人の他に,「法人」という概念を作り出しました。法律によって認められた法人そのものが,人と同じように権利や義務の主体となり,契約をし,納税もし,経済活動その他種々の活動を行っています。 法人は,人が集まって形成されますことから,法人のメンバーがそれぞれ戒を守れば,企業は道を踏み外すことはなくなります。あくまで理想は。 しかし,思想信条・信教の自由が保障された現代社会において,人の考え方を強制することはできません。「菩薩の生き方」な

    • 六波羅蜜×経営 その5「持戒波羅蜜とは」

      持戒波羅蜜~十善戒 持戒波羅蜜は,戒律を守りましょうということです。そもそも,波羅蜜は仏となるための,つまり仏陀の悟りに到達するための菩薩の修行です。菩薩の修行は自発的に行うものです。 戒律と言っても,犯罪になることは別にして,誰かに何かを強制されるものではありません。昔校則とか何やらで上から理不尽に押し付けられたと感じて反発したくなった性質の方(?)でも大丈夫ですので(?),安心して読み進めてくださいませ。 それでは,現代の社会通念から考えても,人として守るべきこととし

      • 六波羅蜜×経営 その4「布施と投資」

        投資家の観点から~古い投資家モデル 前回布施波羅蜜を経営者の視点から見てみました。そこで想定していた経営者は主に企業の実質的支配者であり,かつ経営者である方々でした。 しかし,資本主義社会は,もう少し複雑です。企業規模が大きくなればなるほど,所有と経営は分離される傾向にあります。 株主は,より利益を上げる経営者を選んで,会社のかじ取りを任せることになります。現場を預かる経営者は,どうしても株主の意向というものを無視することはできなくなります。 従来,資本主義社会における

        • 六波羅蜜×経営 その3「自分自身を布施する」

          布施波羅蜜~自分自身を布施する 引き続き執着の観点から,布施を見てみましょう。人が最も執着をするものは何かと考えてみれば,それは自らの肉体や生命ではないかと思います。 皆さん,小中学校のときの歴史の授業で習われているので名前はご存知だと思いますが,奈良法隆寺が所蔵する玉虫厨子(たまむしのずし),その側面には「捨身飼虎図」(しゃしんしこず)が描かれています。 お釈迦様の前世のお話ということで,前世のお釈迦様が断崖から飛び降り,自らの身体を食べ物として飢えた虎の親子のために差

        六波羅蜜×経営 その6「持戒波羅蜜と企業」

          六波羅蜜×経営 その2「布施波羅蜜と執着」

          布施波羅蜜~執着を捨てる まず①布施波羅蜜からご紹介します。 布施波羅蜜は,非常に大事な波羅蜜(仏になるための菩薩の修行)だと考えています。 つまり,悟りの智慧を得る智慧波羅蜜(般若波羅蜜)という大きな目標があって,それに至るまでの過程として,布施,持戒,忍辱,精進,禅定と種々の波羅蜜があります。 布施には,他者に対して見返りを求めず何かを与えることで功徳を積むという意味がある一方,与えてしまうことでモノゴトに対する執着を捨てるという意味があります。仏教では,この世の苦しみ

          六波羅蜜×経営 その2「布施波羅蜜と執着」

          六波羅蜜×経営 その1「六波羅蜜とは」

          はじめに 先日(2021年9月某日),と言っても数年前になりますが,とある経営者の集まる団体のとある研修会にて新進気鋭の浄土宗のご住職と一緒に「六波羅蜜と経営」をテーマにお話をさせていただく機会がありました。 これまで講演とかセミナーというと,職業柄,法律関係の話ばかりで,正直少々倦んでいたところ,新たな切り口での依頼だったため嬉々としてお引き受けした次第です。 しかし,このテーマ,大上段に構えてしまうと,「仏教と経営が関係あるか」という話から,「経営哲学とは何ぞや」と

          六波羅蜜×経営 その1「六波羅蜜とは」