遠くに潜むご近所さん
大学一年の冬、東京で一人暮らししていた。
アルバイトをしてお小遣いを稼ぎ、
長期連休に友達と沖縄に旅行することにした。
はじめての沖縄。
学生向けのパッケージツアー。
いろんな大学から参加者がくるのも交流が楽しみだった。
ツアーについていたダイビング体験。
慣れないウェットスーツに水中マスク、酸素ボンベを背負って講習を受けた。
ものの30分くらい。
いざ、海へGO。
太陽の光がクリアに届く海の中、
目の前に広がる珊瑚礁、熱帯魚群。
インストラクターとは小さい電子黒板みたいなやつでコミュニケーションをとった。
この人が面白くて、いちいちツッコミに吹き出してしまう。
海から上がってからも、のんびりまったりおしゃべりしたりご飯食べたり。
学生相手に同じノリで笑ってくれるとっても親しみやすい人だった。
「どっから来たの?」
「東京です。」
「東京のどこ?」
「HDです。」
「HD?HDのどこ?おれ東京の事務所HDだよ。」
「えー!?HDの◯◯ら辺です。」
「マジで?おれの事務所その裏だよ。」
マジか。
地図見たら、本当にほぼ真裏だった。歩いて30秒くらい。
「今度遊びにおいでよ。
水中で撮った写真とか見に来なよ。」
***
東京に戻ってから数日後。
地図で見た場所はたしかに事務所だった。本当だった。
こんなことあるのか。
「こんにちはー。」
「おぉーーー!写真見てきなよ。」
***
さらに言うと、インストラクターはたくさんの興味や得意分野を持っていて、
バンドやってたり
水中カメラマンやってたり
航空写真もプロとして撮ってたりで、
バンド見に行ったり
池袋のダイビングフェアに遊びに行ったり
今もよくメディアでその活躍を見たりしている。
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