Speedlandのトレイルランニングシューズ

会社や仕事とは全く関係のない、社員の趣味をつぶやきます♪

ダメ元でエントリーした2013年東京マラソンの抽選に初エントリーで当選してしまい、ほぼ仕方なく走り始めたにわかランナーの私。
「忙しい」と言い訳して20km以上走ることもなく、完全に準備不足で臨んだ当日。前半10km下り基調で調子に乗り飛ばした結果、後半撃沈→ほぼ歩きという絵に描いたような初心者パターンながら、初マラソンを5時間25分で「完歩」。
「陸上経験ゼロ、運動不足メタボの自分でも完走」の達成感と、40歳過ぎても練習した分だけ成長を実感できるランニングのとりこになってしまいました。
日々練習してはあちこちのマラソン大会に出かけ、3時間02分まで記録を伸ばした後は足踏みしていた2019年。たまたま正月休みにNHK BSで放送されたトランスジャパン・アルプス・レース(TJAR)に衝撃を受け「トレイルを走ってみたい」と思うようになりました。

トレイルランニング(トレラン)とは、舗装路を走るロードランニングとは違い、山道を走るスポーツ。当然ながらアップダウンがあり、手を使わないと登れない急登や岩場、雨が降る泥の急坂など全くグリップしない路面もあり、ただ走るだけではない多様な走力と判断力が必要。大自然の中で行う以上、天気や路面状態は刻一刻と変わる上、クマやイノシシ、ハチなども襲ってきます。制御できない要素が多い一方で、思わず叫び声を上げたくなるほどの絶景や大きな達成感を味わうことができます。

そんなトレラン大会のなかでもTJARは完全に別格。詳細は上記リンクをご参照頂くとして、その条件として挙がっている「70km以上のトレランレース完走」が目に止まり「まずはこれだな」と、トレラン大会どころかロードでもフルマラソン超の距離を走ったことがない2018年のスパトレイル Shima to Kusatsuにエントリー。近場の里山で練習しただけで臨んだ初トレランレースは、72kmに10時間17分もかかりフラフラになりつつも何とか完走できました。
いつかはTJAR!を夢見ながら、引き続きロードとトレイルを走る日々ですが、今日はお気に入りのトレランシューズを紹介します。すごくいいシューズですが、ほとんどレビューが見当たらないので自分で書きます。

スピードランドというアメリカのガレージブランドが販売するSL HSVです。

スピードランド SL HSV

トレラン人気の近年の高まりから、モントレイルやサロモンといったトレラン寄りのブランドだけでなく、ナイキやアシックスといった大手シューズメーカーや、ラ・スポルティバやスカルパといった登山靴のメーカーも相次いで新作トレランシューズを投入していますが、その中で気を吐くポートランドの小さなブランド。

https://runnerspulse.jp/rufus220714

大きな特徴の一つが、シューレース(ひも)ではなくダイヤルでワイヤーを締め付けるBOAというシステム。

前後に二つのBOA

これによって、締め付けはダイヤルの細かなクリックで微調整できる上に、ひものように緩んだりするリスクがありません。緩めるときはダイヤルを持ち上げれば瞬時に完全フリー。前後のダイヤルは独立したベルトを締めるので、前はゆるゆるで後ろはガッチリ、という締め方も可能。レース後半でむくんできたら緩める、下りは両方ガッチリ締めたい、なども瞬時に行えます。
さらに、トレランシューズではまだ少数派のカーボンプレートも装備していて、この固定方法が実にユニーク。

インソール裏側。かかとだけが固定されるカーボンプレート。

プレートは世界初の取り外し式で、取り付けもかかとのゴム支柱にはまっているだけ。これによって、シューズが屈曲してもプレートとインソールは独立して動くため横方向の干渉を受けず、屈曲によるプレートの反発力を最大限に活かせる設計です。もちろん、好みに応じてプレートを外したままで走ることも可能。

このシューズはミッドソールが露出しておらず、インソールがミッドソールを兼ねる形になっているので、へたってきたらインソールだけを交換することでクッションを復活させられます。(インソールだけ購入可能かどうか確認中。)Pebaxという弾性とクッション性に優れたエラストマーを使用したインソールとカーボンプレートの組み合わせは、強烈なのに自然という不思議なクッション感覚を生んでいます。

インソール上にファブリックがほとんどないので、汗をかいたり雨や渡渉で水が入ったりすると足とインソールの間がベチャベチャしやすい難点がありますが、そこもちゃんと考えてあります。

インソールに二つの穴。

インソールに水を吐き出すドレンホールが開けてあり、これがアウトソールのドレンホールに直結。濡れてもすぐに排水されるため、中に水がたまることはありません。

アウトソールにも二つのドレンホール。ニッパーで突起を切ると穴が開きます。

ミシュラン製アウトソールは7mmのラグを備えています。グリップは強烈で、泥沼トレイルで何度も使ったinov-8のマッドクローに匹敵。岩場などでもズルっと来ることはほとんどありません。(濡れた粘土質の急坂などではやはり滑りますが、それはビブラムメガグリップでも同じ。)段差の部分をカットしてグリップを調節できることも謳っていますが、正直必要性を感じません。

問題は価格。趣味はお金がかかるものとはいえ、59800円という価格はランニングシューズとしてはおそらく現在もっとも高価なレベル。ただ、登山靴には6万円台もざらにありますので、価値が見いだせて長持ちするなら正当化できる、かも?

すでに実践投入を済ませており、9月初めの白馬国際クラシック50kmでは完走者286人中22位とまずまずの結果でした。

八方尾根・岩岳・旧ハイランドスキー場が舞台。
スタート前。まだ靴はきれいです。
前回より10位上がりました。

難点がもう一つ。このシューズの前足部はかなり上下が薄く指にもフィットする形状なのですが、一方でインソールは外縁部が鋭く立ち上がっており、下りで押し付けられたのか、足の薬指が両方とも黒爪になってしまいました。
対策として外側の突起をカッターでそぎ落としたところ、当たることもなく非常に快適なフィッティングになりました。

加工後のインソール。

BOAによる完璧なフィッティング、強力なグリップ、高い反発力。味をしめた結果、もう一つのスピードランドにも手を出してしまいました。完全に中毒です。
こちらのレビューは後ほど。ぜひ楽しみにお待ちください。

左がSL HSV、右がGS TAM。


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