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『サノバウィッチ』完走感想(ネタバレ無/有)

●はじめに

前からゆずソフトさんの作品の中で『千恋*万花』と『サノバウィッチ』は絶対やろうと心に決めていたのでやりました。拙い箇条書きのような文章体ですがお手柔らかに

●感想(ネタバレ無)

キャラクター中心のキャラゲーなんですが、ちゃんとキャラクターを引き立てて、しっかりとそのキャラの背景を掘り下げてくれるシナリオになっててキャラゲーとしての完成度がとても高かった。いわゆるシナリオゲーの良いシナリオとは少しベクトルの違う、ちゃんと主役がキャラクターでそしてシナリオがあるという感じですかね。


周囲の感情を五感で感じ取ってしまう能力のせいで無意識に周囲の感情に気を割き続けてしまう主人公と、自分の願いのために代償を背負いながら人の心が不安定になった際に生じる"心の欠片"を集める"魔女"たちとの関わりが主軸のお話になっている。


物語は至って一般的な普通の学園ものの始まり方をミスリードしてとんでもない導入から始まるのが面白い。人との関係に一線を引き、能力を疎ましく思っている主人公が母親の生き方をなぞるように、部活に入って、人の相談を聞いたり解決することに関わることで、自身の能力を受け入れながら人に自ら関わっていこうとして成長していく描写がとても良い。こういうヒロインだけでなく、主人公の心の成長の描写がしっかりと多いのは珍しい気がする。

むりりんさん・こぶいちさん・こもわた遙華さんの絵柄がやはりかわいすぎる。キャラクターの魅力が余すことなく発揮されている。各魔女の背負う代償が魔女の服に表現されてて良い。

bgmの『恋せよ!乙女(Guitar Ver.)』かかると泣きそうになる。めっちゃいい。

UIも2015年のゲームに関わらず、癖がなく見やすいし、使いやすい。強いて言えば、シナリオのフローチャート的な機能がほしかった(強欲)。

攻略順は
紬→戸隠→因幡→和奏→寧々
でした。
血涙を流しながらグランドルートっぽい綾地さんを最後に回しました。

おすすめの攻略順は
因幡→戸隠→紬→綾地
で、最後を綾地√にするなら和奏√はいつでもいいと思います。


ーーネタバレ注意ーー



●感想(ネタバレ有)

・共通

友達キャラの海道がイケメンで(しかもドラムできる)、裏表ない単純な性格で、好感持てるしだがドMである、保科・仮屋・海道の3人の日常掛け合いがテンポよくて面白い。でも、主人公の友達付き合い悪すぎないかな、というかこの友達二人ほんとに良い子すぎないか。

担任の先生と保科のやり取りがちょっと時代を感じてキツイ 2015年のゲームだから仕方ない
戸隠先輩の下ネタ振りがいらなすぎる、無くてもキャラ立ってるのに (追記 : 戸隠√めちゃくちゃよくて納得しました。撤回するので許してくださいごめんなさい。というか戸隠√の伏線の一部でした。)

相馬さんの猫形態かわいい。綾地さんが自爆しまくったりヘラったりして面白すぎるし、かわいい。クラスメイトとか関心のないことに対してクールなのがギャップで良すぎる。因幡の私服の立ち絵で目がチカチカする、CGの方はしない。

保科が生徒会長候補の問題を解決しようと一人で動き始めるあたりから本当にテンポよくシナリオの緩急がよかった。人に感情を向けられることを恐れていた保科がバンドでイベントを盛り上げるために舞台に立てたのがめっちゃ良い。自分の能力を少しずつ受け入れていき、他人に積極的に関わるようになる過程がちゃんとあってよかった。ちょっとどこぞの漫画みたいにラッキースケベしまくりではある。なんか最近のゲームにないくらい選択肢多くて新鮮でおもろかったけど、選んだ先の予測しようがない2択はやめてほしい。あとヒロイン陣のハロウィンのコスプレがきわどい。特に戸隠先輩と因幡やばすぎだろ。


・紬√

裏表のない純粋な紬の性格が、保科の能力のせいで味わった過去のトラウマというかその能力自体に対して救いになっててよかった。

アカギの話マジで泣ける、ちゃんと再会できてよかった。紬との日常と本筋のシナリオのシリアスさとの行ったり来たりの温度差がすごいけど、最後の展開が熱かったし、アカギ消滅しなくて本当によかった。遊園地の告白シーンのCGマジで最高でした。
紬の女の子らしさと男子学生服を着ているということから来るギャップがめちゃめちゃよい。母性がありつつ、同級生というか同い年の彼女としてしっかり甘えてもくるから絶妙なバランスが保たれていて素晴らしい。あとマジでほんわかしてて乙女でかわいい。焦ってる時とか特にめっちゃかわいい。


・因幡√

非魔女組のせいで、あんまり共通のメインのお話に絡んでこないから、保科との絡みがなかった反動で個別入ってからわちゃわちゃしててめっちゃかわいい。綾地さんのレアなジト目良すぎる。なんかこのルート綾地さんめっちゃ感情豊かでおもろい。気がついたら保科と因幡がア○ジャッシュしてて笑った。

因幡の過去の親友の失踪の話がすごい重い魔法少女ものみたいで辛すぎる。魔女って相当強い願望がないとなれないから基本利己的な願望になるけど、他人のための献身的な願望で魔女になるのでもすごいのに、しかも代償で記憶がなくなっても魔法完成させたのすごすぎる。アカギめちゃくちゃ重要なキャラだったのか。保科が因幡に自分の能力のことを告白するシーンのCGめっちゃ良い。やっぱり先輩呼び最高ですね。
なんか付き合い始める手前くらいから保科が保科っぽくない気がしてちょっともやもやした。

【寧々】「爆発してください」
【紬】「あ、欠片は残してね?」


・戸隠√

学院の時の触覚みたいな髪型やめてデフォルトを部屋着の時のポニテか結ばないロングにしませんか???

個別√のシナリオ読んでからめちゃくちゃ好きになった

ルート入ってすぐに共通で張られてた伏線に気づけなかったのが悔しい。振り返ると確かに戸隠先輩から感情が読み取れた描写がなかった。保科が今まで無意識に能力に頼ってたことに気づかされて一から頑張ろうとするの良いよね。戸隠先輩の寝巻き良すぎる、ポニテ良い…。
急に日記つけ始めた時に、全てを察してしまったが、やはり記憶が消えちゃってて泣いた。保科が自分の能力のことを告白するところ熱かったけど、その後の展開がちょっと重すぎる。。。魔法壊すところで普通に泣いた。
なんか感情が薄いというか情緒がおかしかったというか人間っぽくなかったのが全部魔法のせいだったのがめっちゃ納得できた、シナリオすごい。記憶戻るところガチでかわいい。あと憧子のSDマジでかわいかった、こもわた遙華さんに感謝しかない。


・和奏√

まさかの幼馴染枠だった。友達関係から進展していくのめっちゃ好き。このちっちゃいギター少女かわいすぎる。結構積極的なのなんか普段の態度とのギャップが感じられて良い。保科が和奏の喉の調子の変化に気づいて、指摘して生姜湯渡したりしたお陰で、他の√と違って当日の和奏の喉の調子が良くて歌えたのが、和奏の個別ルートに入ったのが感じられてすごく良い。他の√でライブ演奏省かれてたのが当たり前になってたからライブ演出出てきてびびった。保科がステージ上で振られるのクソおもろい。「ねぇ、ブレイブマン」「仮屋、オレたち別れよう」の掛け合いおもろすぎる。名前呼び捨て好き。和奏の保科に持ってた過去の後ろめたさもちゃんと言えたし、保科も能力のことを受け入れてもらえたし両方救われてよかった。思ったより短かったからもうちょっと和奏√見たかった。


・綾地√

普段クールなのに結構抜けてるところがあったり、子供っぽいところがあって良いっすね。綾地さんなんでラーメン食べ切れたんや…。綾地さんの動揺した時のクソ長3点リーダーほんまにすき。やっぱりこの個別√が一番、共通√の保科のままな感じがする。一人で家で悶えてる綾地さんかわいい。幼い時に離婚した両親を見てきたせいでいつまでも気持ちが変わらない関係でないといけないという強迫観念と、自分の気持ちを確認しようとするも分からなくて怖いという綾地さんの葛藤がしっかりと描写されてた。ヒロイン力がやばい、嫉妬する綾地さんかわいすぎる。綾地さんの横顔美人すぎない??

契約内容の"やり直す"がまずそうだし、綾地さんの目がちょっと赤いっていう描写でうわーってなった。保科に辛いことを隠していつも通りに振る舞ってるのがもう……。契約完了のパラドックスを解消するために存在消すのやばすぎる…。どうしようもねぇ…。初デートの後にお別れになるの切なすぎる……。しばらく寧々の消えた世界の描写があるのいいね。と思ったらなんか綾地さんいるし。EDがsweet tresure(Quiet Ver.)なのが良すぎる。タイトル画面の演出の飛んでくるやつめっちゃすき。


・RESTART
同じように辿らないと、もしかしたら些細な事の影響で保科に会えないかもしれないのに、他の人の幸せを邪魔するのは違うって言える綾地さん素敵すぎる。同じ未来に辿り着くために何年も毎日毎日意識して過ごすのつらいし寂しすぎる。。。

よく読んだら同じクラスになってないやんけ。保科の能力のせいでちょっと不気味がられてるの怖い、無理ゲーすぎる。と思ってたら本探さずにすぐに帰ってしまったけど、手紙を出すことで、次の日同じ状況に持っていくのすごいな。最初の出会いがアレだったから仕方ないけど、綾地さんが再現しようとしてるのがおもしろすぎる、めちゃくちゃ笑った。保科、能力があるとはいえ、初対面なのにこんなわけわからん状況に対応できててすごいな。2周目の保科の心の穴に、1周目の保科から砕いた心の欠片が埋まるのえもすぎる。相馬さんとの会話省かれてたの全然気がつかなかった。保科が綾地さんの膝枕で目を覚ますところのCGめっっちゃいいな。

学院サボってデート行くのなんか2人のキャラに反してて意外やったけど、非日常感あって良い。綾地さんの信条というか過去の両親の離婚のせいで、変わらない気持ちが大事というものが1周目で付き合う前に出てきていたが、魔法でタイムリープしてから何年も保科を思い続けて諦めずに保科に出会ったことで、その信条を達成していてすごい。魔女の代償が無くなっても綾地さんはオナ地さんでした。むくれてる綾地さんかわいいけど、和奏と保科が二人でスタジオ練してるの普通にもやもやするな…。綾地さんの自分の願いで時間をやり直した罪悪感というか、過去に戻ってから、より良い結果になるように行動しないといけないという義務感や失敗を過度に恐れてしまうような枷と再婚した両親との関係のもつれが和らいでよかった。欲を言えば、1周目の繰り返しじゃ無い2周目の日常パートをもっと見たかった。でも、RESTARTは長い寧々Afterだと考えるとこのボリュームで適切な気がする。最後の魔女服洗濯出してお母さんに見つかるのくそ笑った。


●さいごに

設定の一人が契約できる魔法は1つまでというのがヒロインの抱えているものに説得力をもたせていたりして非常に良かった。キャラゲーとしての完成度が単純に高い。ゆずソフトの作品だとこれ超えてくるものないんじゃないかってぐらい。寧々と和奏と紬が本当に刺さりました、かわいい。

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