ラジオ「LL教室の試験に出ないJ-POP講座~特集:雨」放送後記座談会(6/13土25:00~O.A)

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▼今週の1曲
M-1 長谷川白紙「LOVEずっきゅん」


森野:(オンラインで聴いていたので)とぎれとぎれっぽく聴こえたけどこんなもの?
ハシノ:鍵盤の弾き方が独特ですね。弾き語りって言うからしっとり歌い上げる系かと思いきや、刻むことでビート感を出してきてて、そうきたかって。
矢野:弾き語りでも長谷川白紙っぽさに満ちていて良いですね。
森野:なんで『LOVEずっきゅん』なんだろう?ってのを聴きながらずっと考えてた。今、改めて思ったんだけど相対性理論が世に出てからもう10年以上経ってるんだよね。で、21歳くらいの人がこれをカバーするってのは、ここへきて掘ってきた感じしない? 継続で聴かれてきたってイメージもそんなにないんだけど。
矢野:「LOVEずっきゅん」が子どもの頃の音楽ということですよね。ただ大きく見ると、近いシーンにいそうな感じもします。共通の知り合いが多くいそうな。実際、長谷川白紙って菊地成孔の塾に行ってたんでしたっけ?
森野:ペンギン音楽大だよね。わりと身近なミュージシャンにも行ってる人多いんだよ。この曲は好きな感じだけど、形容する語彙がないな〜。でもいい!
ハシノ:こういうのに影響うけてそうっていうのはなんとなく見えるけど、それ以上に個性の強さが前に出てる。
矢野:本当に個性とポップさが両立した人ですよね。こういう才能は早くメジャーで活躍して欲しい!
森野:長谷川白紙は去年くらいからかなり多方面で盛り上がってるように見えるんだけど、そう考えると相対性理論にはあった瞬間最大風速みたいな勢いはまだないよね。『LOVEずっきゅん』は最初のアルバムだったっけ?
ハシノ:『シフォン主義』ですよね。
森野:全国流通版が出たのが2008年ね。
ハシノ:もう12年前なのか!怖いな〜。ついこの前みたいな気がしていたけど。
矢野:たしかに、2008年が長谷川白紙の子ども時代であるっていうタイム感で考えないといけないですね。
森野:21歳にとって相対性理論は掘ったものなのかどうなのか。音楽業界的にはヒットしたし、かなりの現象だったと思うけど、お茶の間的に大ヒットてわけではないじゃん。あくまでサブカルチャー界隈というか。
矢野:なるほど。ぼくが大学生のときにオリジナル・ラブとかピチカート・ファイヴを聴いていたような距離感だと思うと、掘ってきた感じとも言えるか。
ハシノ:直接っていうよりは、好きなアーティストが相対性理論に影響を受けてたっていう距離感とかはあるかもですね。
森野:相対性理論のフォロワーってどのあたりなんだろうね。
ハシノ:特定のフォロワーは思い当たらないですけど、方法論として直下の世代に幅広く影響を与えたとは言えそう。
矢野:メンバー自らHEADZレーベルに持ち込んだという経緯を聞いたことあります。
森野:EMIのグレートハンティング(新人発掘部門)でも目をかけていたんだよね。
矢野:HEADZに持ち込んだという話もそうですが、安易にメジャーにいかずインディーでブランディングしていく感じは新鮮だと思いました。真部さんのバンドと一緒のイベントに出たことがあって、そこでMELODY KOGAさんに会いました。そのメロコガさんは長谷川白紙さんと対バンしたことがあるというし、近しいところでつながっていそうな気もします。
森野:戦略としてあえてガツガツ行かない人たちって印象はあったね。同世代の若いバンドともほとんど共演してなかったと思うし。

▼今週のテーマ「雨」
M-2 今井美樹「雨にキッスの花束を」

ハシノ:YAWARAですね。
森野:これは1990年のアルバムに入ってる曲。
矢野:YAWARAで言うと「ミラクル・ガール」の後ってことですかね。
森野:KANがまだ売れてない頃に提供したって話は有名でしたけど。
ハシノ:「愛は勝つ」がバカ売れする前夜ってことですね。
森野:この曲は大サビがあるよね。まだそういうのあんまりなかった時代だと思うんだけど。
ハシノ:大サビってミスチル以降やたら増えましたけど、この時期はまだそんなになかったですよね。
森野:この当時の”J-POP感”っていうか、こういうワンコーラス終えた後のひとひねり展開があるとか、基本は8ビートなのに、16のリズムが入ってくるっていうのも多かったね。
ハシノ:J-POPっていうもののフォーマットができ始めた頃ですよね。
森野:そのちょっと前のソウルやファンク系のハネてたものって、もっとはっきりジャンルを特定できるくらいハネてたけどね。
矢野:一方でハイエナジーとかユーロビートの要素も感じます。シンセの感じとか80年代末から90年代前半っぽいですね。
森野:ドリカムとかもそうだよね。
矢野:ドリカムもファンクですよね。アース・ウインド&ファイアの80年代とか絶妙な時期を参照していました。
森野:日本だとスゥイング・アウト・シスターの影響とかのほうがありそう。ドリカムとかPSY・Sとか。岡村ちゃんは歌い方が独特すぎるけど、ソウル・ファンクでありつつもやっぱりポップスだよね。エピック・ソニー感だよね。
ハシノ:もっと黒いほうだと久保田利伸ってことになりますよね、同時代のブラックミュージックだとブラコンとかニュージャックとかあったけど、そういうのはリアルタイムではお茶の間のJ-POPにそんなに入ってなくて、ただ久保田利伸が独占してたイメージ。
森野:この頃はストリートにダンスカルチャーも入ってきてたし、バンド感はなかったからね。
ハシノ:シンセベースだしドラムも打ち込みだし。
森野:この時期くらいからPCM音源を使ったオールインワンシンセが出るんだよね。KORGのM1とか。実際の現場ではどうだったかわからないけど、これ1台あれば出来るって思わせられるような感じのサウンドではあったと思うな。
矢野:小室哲哉がテンション上がっていた時代ですね。この時期の小室の対談はいつもシンセサイザーの話をしています。

M-3 タモリ「雨降り午後」

矢野:いいですね! 『ラジカル・ヒステリー・ツアー』収録のタモリの曲。
ハシノ:これ作曲と演奏がTHE SQUAREなんです。
森野:これは80年ぐらいかな?
ハシノ:そうですね。
矢野:これ、持っているけどあまり聴いていないんですよね。
ハシノ:タモリの他のアルバムと違って、これはふつうに歌もの。よく聞くと歌詞がナンセンスだったりはするけど、コミックソング的な文脈からは外れるので、タモリを語るときにスルーされがちな一枚ではあります。
森野:これ、タモリ3の後なのかな?そういえば、「タモリ3」はCD化されてないんだっけ?
ハシノ:されてないですね。
矢野:日本の歌謡曲をネタにしたアルバムだったので権利関係で難しかったみたいですね。
ハシノ:あまりにもそのまんますぎるレベルだったので、リリース後すぐ回収され、後に新星堂かなんかの通販で再発されたとか。なので世の中に実はそれなりの枚数出回ってたりしますね。
矢野:『3』のLPは一時期かなり高かったですけど、最近は落ち着いてきましたね。

M-4 滝沢朋恵「傘」

矢野:シンガーソングライターの滝沢朋恵さん。最初聴いたとき金延幸子を思い出して、一発で好きになりました。これもHEADZレーベルです。金延幸子とカエターノ・ヴェローゾを足したようで本当に良い。美しいけど不穏な感じもあります。
ハシノ:歌の中でリズムがけっこうめまぐるしくかわるよね、刻むとこと語りっぽくなるとことか。
矢野:そこにブラジルっぽさを感じたのかな。
森野:言葉の意味とかで歌詞を置いてる感じがしないよね
矢野:ある程度は意味性を意識してるかもしれないけど、それでも独特な言語感覚です。
森野:アクセント重視で言葉を淡々と置いていくような感じだなあ。
ハシノ:他の曲もギター一本な感じ?
矢野:ギターだけとは限りませんが、基本的にはアコースティックです。
ハシノ:ライブも弾き語り?
矢野:ライブはアコースティックなバンド編成。ドラムもいて、なつやすみバンドの人とかが入っていました。
ハシノ:なるほど。
矢野:とりあえず、いい曲!

M-5 稲垣潤一「ドラマティック・レイン」

森野:いい曲でしょ!
矢野:これもラジオで聴きたい曲ですね!
森野:「雨のリグレット」っていうデビュー曲もあるんだけど、今回はこっちで。
矢野:春のときにも稲垣潤一をかけましたよね
森野:これ作曲が筒美京平、編曲が船山基紀、で、作詞家・秋元康の出世作ですね。
矢野:そう言われれば、船山アレンジという感じ! 少年隊の布陣ですね。
森野:歌い出し、歌い終わり、AOR独特の解決しない感じのままひっぱってる。で、それがこの声とすごく合ってるよね。
ハシノ:この曲、サビのコード進行とか、来生たかお作曲の「シルエット・ロマンス」に似てて、筒美京平って言われてもピンとこない。来生っぽい。
森野:そうなんだよね、パクったのかな…?
ハシノ:筒美京平お得意の、最新のトレンドを「勉強」しちゃったパターンかも。
森野:クリスマスも稲垣潤一かけようかな。夏の曲もあるしな…迷ってしまう!
ハシノ:年中!
森野:稲垣潤一はなんか気になって聴いてしまう。で、気になってずっと聴いてたら好きになってしまった。
矢野:それはリアルタイムの話ですか?
森野:ドラマティック・レインの頃は知らなくて、その少し後からかな、CMソングとかたくさん歌ってたから。あとエアコンのCMもあったよね。
ハシノ:ありそう。エアコンのCMといえば徳永英明ですか。
森野:あ、そうだ。それは徳永英明だ。完全に勘違いしてた(笑)

M-6 思い出野郎Aチーム「雨の街 feat.小林うてな」

矢野:いやあ、とにかくスティールパンが良いですね!
森野:いいね〜!
矢野:スティールパンが良すぎて、ヴォーカルがなくてもいいなとすら思ってしまいました(笑)。
ハシノ:この曲、歌とスティールパンが同じ分量で出てくるよね。
森野:これがもしか細い声だったら成り立ってないんじゃないかな?
矢野:そうかもしれないですね
森野:ライブも良いんだよね。
ハシノ:フジの苗場食堂でみたけどよかったな〜!
森野:朝霧でみたな。Yoggy New Wavesの裏でやってて、モテそうとモテなさそうなバンドのコントラストがよかったな〜っていう記憶がある。
矢野:思い出野郎Aチームはカクバリズムですよね。
森野:ユアソンとかの流れも感じるよね。歌ものだけど、ジャムバンドぽいし。
ハシノ:ダサくはないけどシュッとしてるわけでもない路線ですよね。
矢野:ユアソンはファンクに特化しているわけではないですが、ホーンが入ったバンドです。僕としてはクラブで演奏するバンドっていうくくりに入れたい。バンバンバザールとか奇妙礼太郎バンドとかと並べて。JET SETでめっちゃ売れる印象。
森野:SCOOBIE DOとかちょっとファンキーなロックバンド、ウルフルズなんかの男臭い系譜でもあるよね。
ハシノ:そうですね、男臭い。

M-7 キリンジ「雨をみくびるな(NOBUKAZU TAKEMURA REMIX)」

矢野:原曲ではなくリミックスです。竹村延和ワークでエレクトロニカになってますね。途中でヴォコーダーになる展開が素晴らしいです。個人的には原曲より好きかな。
ハシノ:フォークトロニカって言葉もあったよね、最終的に音数が増えてきたらそうでもなくなったけど曲の出だしのところはそんな感じ。
矢野:そうですねえ。リミックスのほうがいい曲ってありますよね。
ハシノ:たしかにキリンジのこのリミックスアルバムは他の収録曲もよかったよね。でもキリンジの場合原曲もすごいから、どっちもいいなーって印象。たしかに原曲よりもリミックスが勝ってしまってるパターンもあるよね。
矢野:それにしても、「雨」というテーマだとしっとりした曲ばかりになりそうかと思ったけどそうでもなかったですね。
ハシノ:今回もカオス。時代もぐちゃぐちゃだし。
矢野:一言に「雨」と言ってもいろいろなイメージを喚起させるんですね。
ハシノ:もう1曲用意してたかせきさいだぁもしっとりしてないし。
森野:雨ってAORと相性がいいよね、青っていうかマリンブルー、コバルトブルーってかんじかなあ。

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それでは、次回も土曜日の深夜1時です。市川うららFMでチャイム着席をお願いします!(以下のリンクからも聴けます。)

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