Play the Dance Music:江本祐介・北尾亘・中村蓉鼎談
いよいよ週明けに控えた『BGM』東京公演に向け、音楽を担当するばかりか俳優としても出演する江本祐介と振り付けを担当する北尾亘&中村蓉の鼎談を敢行。昔からロロを知る北尾、昨年友達としてロロと知り合った江本、今回初めてロロと会った中村──立場の異なる3人がロロを通じて考えた、踊ることと演じること。(構成&写真:もてスリム)
ロロと北尾/江本/中村
中村:私はロロにかかわるのは今回が初めてなんです。
江本:北尾さんはいつからですか?
北尾:ぼくは「ロミジュリ」(『ロミオとジュリエットのこどもたち』)のときに振り付けで入らせてもらったのが初めて。でも、本公演にかかわるのはこれが初めてなんですよ。
中村:いつからロロとは知り合いなの?
北尾:ロロは結構前から観ていて、一番最初に観たのは2011年の『ボーイ・ミーツ・ガール』の再演かな。この前、昔のツイートが出てくるアプリを見たら6年前に「ロロってなんだ?やべー!」って書いていたことがわかって(笑)。当時、大学の同期に「絶対観に行った方がいい」って言われたんだよね。江本さんは?
江本:前から友達にはオススメされてたんですけど、ロロがえるえふるで「ロロ居酒屋」をやったときに初めて会いましたね。まだ作品も観たことなかったとき。それも最初から行こうとしてたわけじゃなくて、その日みんなで「ポケモンGO」をやってて。えるえふるの隣の串カツ屋で飲んでたら、隣でロロがなんかやってるぞってなって行ったんですよ。そこで三浦さんと話したときに「ライトブルー」を『魔法』っていう作品で使ってくれることになって、それから『魔法』を観に行って仲良くなった感じです。
中村:超仲いいよね、三浦さんと。
江本:先に友達になっちゃったから(笑)。『魔法』のあとも『ひらひらの』とか『デリバリーお姉さんNEO』っていうドラマで一緒に曲をつくったから、だいぶやり取りのコツは掴んだかな。
中村:いやー、コツ掴んでるわ。
江本:人柄もだいぶわかったんでね。
中村:亘さんも掴んでる?三浦さんを。
北尾:ある程度理解してるつもりだけどね。
江本:でも、三浦さんと北尾さんは真逆ですもんね。普通交わることなさそうだから意外で。ずっと「いい人がいるんだよ」って三浦さんから聞いてたから、会ったときにビックリしました。全然違う世界にいそうな人じゃんって。
北尾:大学で出会ってたら友達になれてなかったかもしれない(笑)。私生活がだらしないって噂は聞いてたんだけど、作品づくりに関しては律儀だなって。その律儀さが好きだから気が合う気がする。でも、あんなに劇団員にディスられる演出家いるんだっていうのが衝撃だったなあ。
江本:ハハハ(笑)
中村:でも、みんなで一緒に考える態勢ができてる感じがするよね。それはロロでしか見たことないかも。ジッとしてる三浦さんにみんなが集まってくるっていうのはすごい関係だなって。
江本:みんなでつくってる感じはしますね。
中村:この感じはロロ特有な気がする。
北尾:どうしても演出家主導だとヒエラルキーみたいなのができちゃうからね。「王子」って呼ばれてるとか、演出家に対するリスペクトが生まれやすいから。
中村:Baobab(北尾が主宰するダンスカンパニー)はマイペースな感じがするよね。
北尾:うちは5人中4人が同期で、大学から一緒だったっていうのが大きいかも。団体として始まる前から大学のダンス公演に出たり作品づくりをしていたし。
中村:EMC(江本がメンバーのラップグループ)はどうなんですか?
江本:ひとりは小学校一年生からの幼馴染で(笑)。もうひとりがそいつの大学の友達。俺以外の二人は映像系の仕事をやってて、EMCはいまだに遊びの感じでやってますけどね。
中村:そういうノリがいいんだよね〜。
ダンスとどこで出会うのか?
江本:ダンスは二人ともいつからやってるんですか?
中村:私は3歳からクラシックバレエをやってて。でもバレリーナになるコースじゃなくて週2〜3回行くお楽しみコースみたいな。そのあと大学でコンテンポラリーダンスに出会って、ズブズブと抜けられなくなっちゃった。
北尾:ぼくも3歳からやってたんですけど、元々ミュージカルをやっていたから、舞台に立つための養成所のレッスンみたいなのが始まり。体づくりの基礎から始まって、ジャズダンスっぽいことをやったり。でもちゃんと始めたのは高校からですかね。ストリートダンス出身でしょってよく言われるけど、一応バレエも3年間みっちりやってたんですよ。
中村:すごい!私よりやってるじゃん。
北尾:そんなことないでしょ(笑)。コンテンポラリーダンスとはぼくも大学で出会って、ズブズブと。
江本:コンテンポラリーダンスってどういうタイミングで出会うんですか? 俺人生でまだ出会ってないんですけど。
中村:今出会ってるよ(笑)。ようこそ!
北尾:でも大学とかじゃない?
中村:私は大学のサークル。美術系サークルに入ってたんだけど、踊りたいなと思って。モダンダンスクラブっていうのがあったから観に行ったら、男の人がミノムシみたいな格好でずっと寝てて。「間違えた」と思った(笑)。でも文化祭の練習しなきゃいけないからって言われて出ることになっちゃって。そこからかな。
江本:マンガみたいな出会い方(笑)
北尾:ザ・大学の部活みたいな出会い方だよね。
江本:コンテンポラリーダンスって何やってもいいんですか?
中村:そこに説得力があればいいと思う。
北尾:美学もスタイルもみんなバラバラだからね。友達にニューヨークでバレエをやってる子がいて「コンテンポラリーやってるんでしょ?すごい人気あるから強いよね」って言われたんだけど、ニューヨークのダンスとぼくがやってるダンスも全然違うと思うし。全然ハマらないのもたくさんあるから(笑)。
江本:音楽でいうとフリージャズみたいな感じなんですかね? フリージャズもあんま決まりがないし、サックス叩いてる人いるしみたいな。現代音楽とかみたいな感じ?
中村:ジョン・ケージみたいなね。
江本:俺も音楽でそういうのやってみたいですけどね。ノイズ出し続けるのとかすごいやりたいんですけど、きっかけがないと全然やらないなと思って。
北尾:相性めっちゃいいですからね、ダンスと。きっかけが必要だったら是非(笑)
江本:やりたいっすね。全然ポップじゃないやつをやりたい。
中村:いまのところポップな江本さんの曲しか聴いてないからねー。
北尾:今日着てる服みたいに、爽やかなイメージだよね。
江本祐介の“鮮度”
江本:やっぱダンス難しいですね。見てる分にはいいんだけど、自分が動こうとすると何もできなくて。
中村:でも、江本さん超いい味出てますよ。コンテンポラリー(笑)
北尾:鮮度落ちないもん、江本さん。
中村:江本さんはズルい生き物だよ〜、ズルい。
北尾:自分がつくった曲で自分が踊るってどんな感じなんですか?
江本:それもすごい変な気分ですけどね。家で曲つくるときとか、踊れる曲つくるときは立ちながらリズムとってつくったりするんですけど。人からもらった振り付けでやることはないんでワケわかんないですね。
中村:でも、全然江本さんは踊ることに抵抗ないですよね。
江本:腹を決めてきましたからね。今回は全裸になってもいいって気分で来てますから(笑)。そうじゃないとできないと思って。何でもやりますよ。
北尾:お芝居はどうなんですか?
江本:こんなこと言ったら怒られるけど、ほんとやりたくないんですよ。普段は写真撮られるのも嫌だし、あんまり人前に出たくないし。裏で見ていたいタイプ。でも、三浦さんが面白がって出すから(笑)。
北尾:抵抗あるように見えないけどね全然。取り組み具合が。
中村:腹くくってる感じはほんとにする(笑)。
江本:まわりのみんなは堂々としててすごいから、俺もやらないとって。
北尾:そういうときって、ぼくの感覚だとケガする人が多い感じするんですよ。飛び込み方間違えてイタくなったり、周りの人がヤケドしたり。でも、江本さんはそういうのないから、上手いんだなって。
中村:センスだなー。
江本:ライブとかでステージには立ってるから、その辺りの感覚はわかってるのかもしれないですね。昔はギターぶん投げちゃったり、イタいこともやってたから(笑)
中村:やんちゃ!
江本:痛々しくて見ていられないみたいな時期もあったから、その辺りの線引きはできてるのかもしれないですね。
中村:いま見てるのが江本さんのA面だとしたら、B面が知りたいね。
江本:昔はモヒカンに革ジャンでバンドやってましたから。金髪のときもあったし。
中村:それだとロロと巡り合わなかったかもしれないね。
江本:でも、亀島さんも昔はそんな感じだって聞いてたから、気が合いそうだなと思う。
体の“輪郭”を知ること
中村:今回江本さんがつくった曲でアルバムつくってほしいねー。
北尾:そういうふうに曲が残るのはいいよね。演劇もダンスも消えていっちゃうから。
江本:そうですよね。ダンスって音楽でいうところの譜面みたいな、紙に残ったりもしないんですか?
中村:メモくらいかな。舞踏とかあと舞踏譜っていうのがあるけど。
北尾:でも、蓉ちゃんのこのメモ見てほしい。振付家の鑑ですよ。
中村:でも、これは北尾先生の振り付けだから。自分の振り付けじゃないから書かないとわかんなくなっちゃうんだよね。
江本:振り付け考えるときってどうやって考えるんですか?頭の中で考えてから動くみたいな?
中村:映像撮ったりしますね。あとは代わりに踊ってもらってみたりとか。亘さんはどうやってる?
北尾:カンパニーだと稽古場でどんどん試してる。演劇のときは、ぼくはあんま録画しないから、見え方のシミュレーションと踊る側のシミュレーションで2回頭の中でシミュレーションする。それでちょっと動いてみて、こうした方が馴染みがいいかなとか試してみたり。
中村:亘さんの振り付けは演劇と馴染みがいいんだよね。
江本:稽古を始める前にストレッチやってるのを見てると、二人は体のことめちゃくちゃ研究してるなと思って、それがすげえプロフェッショナルだなと。でも、体のこと分からないとできないですもんね。俺、自分の体の動きわかってないですもん。
北尾:江本さんはそれがまた面白いんだよなあ。
中村:体のことわかりすぎてないから、「そうくる!?」みたいなのが面白いんだよね。
江本:みんなでストレッチやったとき、体の輪郭がわかったのがすげえビックリしましたね。自分の体、ここにあるんだ!って。普段まったく体動かさないから。
北尾:「体の輪郭がわかった」って言い方がいいですよね。そう言われるのはめっちゃ嬉しい。
江本:でも、今回踊れてよかったですよ。踊りたい気持ちはあったけど、こういう機会がないと踊れないから。だからちょっと嬉しかったですね。
中村:もうちょっと踊りましょうよー。
江本:じゃあ3人でなんかやります?
中村:でも、江本さんが踊るんですよ。わたしたちじゃなくて。踊るのは江本さん(笑)
江本:俺がつくったノイズミュージックに合わせてね(笑)。やりたいなあ、それ。
北尾:どっかのフェスに出しましょうか。三浦くんにユニット名つけてもらおうよ(笑)
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