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ロロ放談(番外編):井上みなみと油井文寧と石原朋香の場合

いよいよ明日12日(火)より『BGM』東京公演開始!!の前に読むようなものではない気もしますが、今回オーディションで選ばれた俳優3名の雑談をどうぞ。3人の意外な共通点とは? そして、若き俳優の目にロロはどう映っているのか?(構成&写真:もてスリム)

徐々に小屋入りが迫り緊張感が高まってゆくなか、『BGM』と全然関係ないこの企画もいよいよ最後のグループへ。ルールは変わらず、行きたいところに行って、適当に話すこと。井上さん、油井さん、石原さんの3人は上野公園でボートに乗ることを選んだが、残念なことに当日は雨。仕方なく3人は国立科学博物館に入ったが、展示を見ながら話せるはずもなく……。

こうして3人のトークは博物館を出て、稽古場のある森下へと向かいながら始まる。まず最初はオーディションのこと。昨年末に行われたオーディションで3人は選ばれたわけだが、オーディションで「自分の好きなもの」について語る際に油井さんが自分の「妹」について語ったときの熱さはロロ内でも話題になっていたという。

井上:オーディションっていつだったっけ……?

油井:12月じゃなかったっけ。

石原:そっか、二つに分かれてたのか。私は1月でした。

油井:で、1月末に結果が出たのか。

石原:みなみさんと文寧さんはオーディションで何がよかったのか稽古見てるとはっきりわかるんだけど……。

油井:でも多分違うよ。そうじゃない。なんかね、そうではないと思う。

井上:どういうこと?

油井:あったじゃん、テキスト読むみたいな。あれのみだったら私は絶対落ちてるもん。

井上:でもそれを見てるわけじゃなくてそれをやってる文寧ちゃんを見てるから。

石原:何がよかったのかすごいわかるんですよ、二人は。

井上:でもオーディションで何がよかったとかわかんないよね……。

油井:やっぱ人柄じゃない?

井上:文寧さんの場合は、多分すごく話が面白かったのが大きいんだと思うけどね。

油井:あれはほんとにその時期妹が大好きだったんだと思う。今妹の話をしてって言われてもあの時のキラキラ感は出ない気がする。

石原:あの時、三浦さんが「たとえばぼくだったらサウナが好きだから」って言ってたから、すごいサウナ好きなんだなと思った。

油井:それ私のときも言ってた。みんなに言ってたんだ。

井上:同じこと繰り返してたんだ。

油井:あのテンションはすごかったけどね。「ぼくはサウナなんだけど」って。全員に言ってたんだ……。

石原:前の人のやつがちょっと聞こえて、そのときもサウナって聞こえてたから。みんなに言ってるんだと思う。三浦さんの繰り返す能力すごいよね。

井上:私覚えてないかも……。

油井:みんみん(※井上さんはそう呼ばれている)は逆に三浦さんから質問されてたって聞いたし、サウナってワードが出なかったんじゃない? でもそっか、何十回も言ってたんだ。

オーディションにはいくつか課題があったが、『BGM』は音楽をテーマにしていることもあってそこには歌の課題も含まれていた。この3人が選ばれたのはそれぞれの「声」に魅力があったからでもあるのだという。

油井:でも私、妹の話して、次いきましょーって言って、その時ほんと楽しくてオーディションのこと忘れちゃって。そのテンションのまま歌ったら最高じゃん!って思ったんだけど、一音も合わなくて。そこからテンションが落ちていった。

石原:みなみさんは何歌った?

井上:私はね、合唱曲の『明日へ』っていうのを歌った。

石原:めっちゃいいなあ。

油井:どんな曲? 聞いたことあるかなあ。

井上:青い風に吹かれて──。

油井:えっ、知らない……。

井上:オーディションして人いっぱい呼んで、音楽劇ってことは、合唱の話だって思ったの。これは合唱の話だって思って、自由曲と課題曲があるってことは、違う声を聞かせないと意味ないなって思ったから。ポップなやつと合唱っぽいやつで。

油井:プレ稽古のとき二人が来れなかったからずっとひとりで。それで何回かご飯行こうみたいになったときに、(島田)桃子さんが「なんでこの子とったの?」って三浦さんに聞いてて。聞いていいのかなあって思ったんだけど、そしたらみんみんは声のこと言ってたの。だからそれか。声の幅ね。でも、結局思ったよりみんな歌ってない気がするよね。

井上:あなた一番歌ってない?

油井:でも歌恥ずかしいね。

井上:歌うのは好きでしょ?

油井:うーん。でもやっぱあんま目立ちたくないから。声だけならいいけど。お芝居好きだけど、なるべく出番少ない方がね。不安になっちゃうから。

石原:いやいやいや……。

駅についた3人は電車に乗って森下を目指す。上野御徒町から森下までは大江戸線で1本。今年3月に行われたロロ「いつ高」シリーズの上演の際にはすでにオーディション結果が出ていたため、そこで油井さんと石原さんはロロメンバーに改めて挨拶をしていた。

油井:その時ちょうどもかちゃん(※石原さんはそう呼ばれている)と一緒だったんだけど、挨拶しましょうってことになって。ひとりずつ挨拶しにいったんだけど、桃子さんの印象が超悪くて。

石原:怖かった。

油井:この女絶対怖いって思って。お願いします!って言ったら「ふーん」て感じだったから。マジかーって。もうダメだと思って。殺されてしまうと思ってこの人に。その日からずっと怖かったんだけど、プレ稽古で会ったらまるっきり違ったんだよね。

井上:桃子さんそれすごい緊張してたんじゃない?

油井:うん、そう言ってた。桃子さんにも直接言ったの。超印象悪かったですって言って。めっちゃ怖くて。嫌な女感が出ててめっちゃ怖くてって話をしたら、あれはお姉さんぽくしなきゃいけないと思ってたからキメすぎちゃってって言ってて。それで、素敵だなって思ったの。

石原:私も桃子さんと初対面の日は「すーん」て感じで。でもそこからミュージカルの話をしたら、何が好きなの?ってなって打ち解けられた。

油井:よかったよ怖い人じゃなくて。あと亀島さんは「木ノ下歌舞伎」と「デリバリーお姉さんNEO」を観てめっちゃ素敵だなと思って。この人と仲良くなりたいなと思って、プレ稽古行ったら、この人は多分誰にも興味がないから、私がいくら歩み寄っても返事してはくれるけど私が思ってるほどの感情はないんだろうなって。

石原:私は亀さんは「いつ高」の時のキャラとイメージが被ってて、プレ稽古の時に壁際で座って軽食をとってたときがあって、亀島さんはすごい向こうに座ってるのにこっちが話してることに対して「あーあれね」とか「それいいよね」とか言ってくれて。

油井:亀島さんはめっちゃ聞いてるよね。色々な人の会話を。

石原:それがなんか「いつ高」のときのクラス中の人と分け隔てなく接するキャラと重なって見えて、バランスのいい当て書きなんだなと思って感動した記憶はあります。

油井:綾乃さんは亀島さんを「プログラミングされたロボットだから」って言ってて。だから崖で「助けてー!」って言ってても亀島さんは見て見ぬ振りして行っちゃうんだって綾乃さんは言ってたよ。

石原:そうなのか……。

森下にある稽古場に到着し、稽古着に着替える3人。稽古は13時から始まる予定だったが最初は3人とは関係のないシーンの稽古を行うことになり、折角だからと稽古場のラウンジでさらにもう少し話すことになった。

井上:そうだ、今日鼎談収録するってなって、みんなに聞きたかったことがあってさ。ロロってポップカルチャーとか結構流行りものとかそういうのが出てくることが多いじゃん。私流行りもの全くわかんないの。でもロロは面白いなと思ってるんだけど。二人は流行りもの結構わかる?

油井:わかんない。

石原:わたしもわかんない。

井上:ロロ観てても何のこと言ってるのかよくわからないこと結構あるのよ私は。固有名詞がパッとわかんないんだけど、でも面白いんですよ。それが不思議だなと思っていて。ちょっとずつ何となく理由はわかってきてて、好みの問題ではあるんですけど、潔さかなと思って。開き直るとかじゃなくて、最後までやりきりすぎないというか、あっさり終わる瞬間があって。もっとコッテリやろうと思えばできることをあっさり行くところが好みのポイントのひとつだなと思ってて。でも、それ以外にも理由はたくさんあると思うんですけど、それはまだわかんない。

石原:私がロロ好きなのは語感に対する執着みたいなのがあるところで。『朝日を抱きしめてトゥナイト』を観たときに、割れてる腹筋にひとつずつ名前をつけてるシーンがあって。それにめっちゃ感動して、「一個ずつ名前つけてるー!!」って(笑)。

油井:その感覚全然わかんない!

井上:私も全然わかんない。

油井:もかちゃんはロロに対する愛が深いからね。深すぎて、台本読んでるときも「見てください」って。「これロロっぽくないですか?」みたいな。私は本公演観たことないから全然わかんないのに。もうなんでも「これロロっぽくないですか?」って言うから(笑)。

石原:今私ディスられてない?

油井:ディスってないディスってない!

井上:ディスってるように聞こえるよ(笑)

油井:違う違う、すごい愛が深いんだなって。よく台本からロロを連想できるなって。ちゃんと観てるってことでしょ。

井上:笑いながら言わないでよ(笑)

石原:稽古場来るようになってから色々なものがロロっぽいって感じるんですけど。対談の記事もロロっぽいなと思って。亀島さんが「ちゃんと行ってちゃんとがっかりしようよ」とか「ヤバい家は揺るぎなくあるから」とか言ってるの読んで、その時桃子さんの声で再生されたんですよ。

油井:それは愛がないとわかんないからね。桃子さんの声で再生されるとか、そんな考えに至らないから(笑)。稽古してると、ほんとに好きなんだなっていうのが、もかちゃんの言葉とか姿勢ですごい感じるから。何も観てない私は何も言えないから。だから、みんな幸せそうだなって思うよね(笑)。

石原:あとさっき桃子さんにも見せたんですけど、俵万智の短歌で──。

井上:台本じゃないんだ!

石原:「落ち葉踏む音をおまえと比べあうしゃかしゃかはりりしゅかしゅかぱりり」っていうのがあるんですけど、めっちゃロロっぽくないですか?

油井:ちょっとわかんないわ(笑)。

石原:あれ? ちょっと三浦さんに言って検証しないと──。

井上さんと油井さんにちょっとした困惑が訪れたところで、いつの間にか稽古の時間になってしまった。果たして3人は公演初日までに「ロロっぽさ」の感覚を共有できるのだろうか……?

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