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2024年入学 北大ロー 再現答案 憲法

この記事は、全項目を無料で見ることができます。

今回は、北海道大学法科大学院(以下、北大ロー)入試の再現答案を紹介します。

まず、司法試験を目指している方のなかには、北大ローを志望している方がいると思います。そのようなとき、再現答案を見てみようという方もいるはずです。
しかし、SNS上で、北大ローの再現答案が全然出回っていません。そのため、どれくらい書ければよいのかがピンと来てない人もいるかもしれません。
このような方のためも、私の今年受けた際の再現答案を参考にしてもらえたら幸いです。(ちなみには、今年は、「たちでらまさき」さんという方もnoteに北大ロー再現答案を掲載しておりますのでご参考にして頂ければよいかと思います。)


また、春から既習には入学可能なのですが、「条件付き合格」といったもので、全体の合格基準には達しているものの、2科目だけ最低基準に達していないというものでした(後日、単位認定試験を受け合格したので当該2科目も既習者扱いになりました。)。
詳しくは受験要項にも書かれているはずです。

 ※全体順位(全体の得点)としては下のほうだと思います。

点数開示されたときに、別の記事で追記する予定ですので、しばらくお待ちくださいm(_ _)m


1.問題文


再現度90%程

2.再現答案


第1問 (所要時間70分)

1.Xの主張

Xは、本件検索結果は、Xのプライバシー権を侵害するものとして、憲法13条後段に違反すると主張することが考えられる。

(1) まず、個人の人格的利益に必要不可欠な利益が「幸福追求・・・権」として保障されると解する。(13条後段)。そして、個人の私生活をみだりに公開されない自由も伝統的プライバシー権として13条後段により保障される。

(2) Xに関する本件事実は、X にとって過去の犯罪事実であり、一般的に他人に公開されたくない事実である。また、前科に関する情報は最も知られたくない情報といる。(前科照会事件)

(3) したがって、本件事実について公開されない自由もXのプライバシー権として、13条後段により保障される。

(4) そして、本件事実が公開されることにより上記プライバシー権が侵害されている。

2.Yの主張

Yは、Y の営業活動の一環として、本件検索結果を提供することも保障されると反論することが考えられる。(21条1項)。

(1)U R Lを検索結果として当該利用者に提供することを業とする検索事業者であり、当該提供は、Yが有する情報を外部に伝達するものとして、保障されると解する(憲法21条1項)。

そうだとすれば、他人の犯罪歴を利用者に提供することも、営業活動の自由として、保障される。

(2)確かに、Yにとって、U R L等情報を提供することは、自己の人格形成に資するといえ、自己実現としての価値を有する。しかし、他人の犯罪情報を提供することは、本来表現の自由として核となる民主主義社会に資するという自己統治の実現に大きく影響するものとは言い難いように思える。また、犯罪歴は、当該犯罪を犯した者にとって、最も知られたくない情報といえるから、他人の犯罪歴を利用者に提供する権利は、犯罪歴の情報を提供する自己実現としての価値が、当該プライバシー権を大きく侵害するものである場合には、一定程度の制約を認めることが妥当な場合もある。

(3)そして、本件検索結果が削除されることでYの検索結果の提供の自由が侵害されるといえる。

3 そこで、Xの被る不利益の程度が、Yが本件検索結果の削除により被る不利益を比較衡量して、前者が後者を上回る場合には、Xの本件請求は認められることがある。

(1) Xにとって本件事実は、自己の犯罪事実という他人に最も知られたくない犯罪事実である。さらに、インターネットという媒体を介して本検索結果が濫用されるおそれもある。また、Xは罰金刑という罪責からして、殺人や強盗の罪と比較すれば、右犯罪よりも重い犯罪を犯したとはいえない。

(2) Yは、当該削除請求が認められた場合、自己の保有する情報を他者に提供する自由が制約されるが、当該削除請求が認められても本件検索結果以外の多数の情報を提供することは妨げられない。また、Xに関する犯罪の情報提供は、Y の権利のほんの一部しか制約されないということも可能である。

(3) 上記3(1)(2)からすると、Xの被る不利益の程度は、Yが本件検索結果の削除により被る不利益と比べて大きいと言える。そうすれば、Xは、Yに対して本件検索結果の削除請求が認められ得る。   

以上.


【解答】第2問 (所要時間30分)

1. Xは、本件選挙にあたり、候補者名簿の登載順位は第5順位であった。しかし、翌年6月、Xが除名をされたため、A党に所属する者ではなくなった。その後、BとCは、法90条により、参議院議員を辞した者とみなされたため、参議院議員の欠員が生じた。本件選挙の時点では、5位のXが次点であることからXが当選人となるところ、その後に、XはA党に所属する者ではなくなったため、第6順位のFと第7順位のGが当選人となった。そして、上記の当選において、Xは、自己の除名は無効であって、仮に無効であるならばGは当選されず、自己が当選の対象となることを主張していると考えられる。そこで、Xは法208条に基づき当選訴訟を提起することで、自己の除名を無効を主張することができるか。

2.まず、政党は、国民が民主主義社会に関与することができるものとして非常に重要な役割を果たしている。そして、政党に所属している者も、選挙という公平な制度で認められている以上、政党が内部で行う活動全般については、ある程度の裁量を認めるべきといえる。そこで、除名処分についても、当該除名処分が明らかに法に定められた内容に違反するものといえない限り、除名処分が無効にはならないと解する。

3.本件では、公職選挙法の規定するところに従い、Xの除名が適性に行われたこと、当該除名の手続を記載した文書につき、代表者であるBが誓う旨の宣誓書が添えられている。以上から、当該除名処分が明らかに法に定められた内容に違反するものとは言いがたい。

4.よって、Xは、自己の除名処分の無効とGの当選の無効を主張して争うことができない。

3.反省

第1問について
 まず、問題見たときは、何となく見たことある判例だなと感じました。検索事業削除請求という判例名が思いつかなかったので、前科照会事件判例名に触れつつ、当該判例の最も重要である部分を引用する形で書きました。また、Xの権利の主張は概ねよかったと思ってますが、Yの権利主張では、表現の自由(21条1項)で組みたかったのに、本番の緊張感で営業という文言を入れてしまったりと、営業の自由と表現の自由とがゴチャゴチャになってしまった感じがあります。ただ、3で比較衡量の規範ぽいのを立てて、あてはめをそこそこ充実させることで何とか堪えたかもしれないなというふうに思って最後は書きました。

第2問について
 正直、統治は論文のためにはあまり勉強していない分、関連判例を思いつかなかったので、政党の性質を述べて何となくありそうな規範を立てることにしました。三段論法は守ったつもりなので、ある程度は点数が入ったのではないかと思います。後で、調べたところ、おそらく問題のベースは日本新党繰上補充事件だと思います。そもそも統治はロー入試段階で網羅的に学習する優先度はかなり低いので、細かい判例を見ておくとかの必要性はそれほどないと感じました。
 最後に、憲法に時間をかけすぎました。100分も憲法に時間をかけたので、残り60分で刑法を解かなければならなくなった。時間配分には本当に気をつけるべきでした・・・。

 北大ローの憲法は、ほぼ百選から出るのでそのあたりを中心に勉強し、過去問も見つつ対策するといいように思います。





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