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ギリギリ100点くらいを目指すTOEFL対策について

前回の記事で「TOEFLのスコアリングは早期に終了できるとベスト」と述べたわけですが、一方で純ドメの日本人にとってTOEFLが一番のハードルとなり得るのも事実です。本記事では、筆者の実際のスコア推移と具体的にどう対策をしていたかを書いてみたいと思います。

本記事はLLM留学を目指す社会人の方向けの内容であり、かつ「ギリギリでも良いからTOEFLで100点以上を目指す」という方には適している内容だと思います。IELTSについては受けていない&対策もしてないので分かりません。

なお、本記事の前提条件(もとい、筆者のスペック)は以下のとおりです。

  • これまでに留学経験が一切なく、生まれも育ちも日本のいわゆる純ドメ。大学受験のために英語を勉強し、大学入学後も語学の必修科目等で英語は勉強していたが、特に力を入れて英語をやっていたわけでもない。

  • 10年ほど前に受けたTOEICの点数は800点前半くらい。

  • 仕事で英文の書面を見る機会はそれなりにある。たまに英語でメールを書いたりもするが、話す必要があるシチュエーションは稀。

条件が近い方にはある程度参考になるかもしれませんが、あくまでも一事例に過ぎない点はご留意ください。

また、本文中で紹介している各種書籍・サービス等は実際に私が使ったもののただの紹介ですので、アフィリエイト等は全く設定していません。PRではない、純粋な紹介です。


TOEFLのスコア推移

2023年4月中旬(初受験):Total 81点(R26・L19・S16・W20)
2023年6月下旬(2回目):Total 95点(R25・L29・S18・W23)
2023年9月上旬(3回目):Total 100点(R26・L28・S22・W24)
2023年9月中旬(4回目):Total 95点(R26・L28・S21・W20)

対策期間は半年ほど。合計で4回受け、最高点は100点、My Bestは101点です。欲を言えばもう少し点を取りたかったのは事実ですが、後述するとおり個人的には「100点を超えていればそれ以上はあまりTOEFLの点数では差がつかないのでは?」と考えていたので、出願校の足切りラインを超えていれば良いと思い、それ以上は受けませんでした。


TOEFL対策の初期ステップ

①:目標とすべき点数を知る

少なくとも筆者が調べた限り、ColumbiaやChicagoを除く大半の大学では、English Proficiencyに関する基準を(公表されている一応の基準として)TOEFL100点以上に設定しています。従って、LLMへの出願においては、ひとまずTOEFLでTotal 100点以上を取ることが一つの目標となります。

もっとも、実際の基準は大学によってかなり異なるようです。例えば、TOEFL100点以上が必要、と言いながら80点台でも受かる大学もあるようですし、逆に110点以上ないとなかなか受からない、というケースもあるようです。

また、項目ごとの必要点数を定めている大学もあり、単に合計点が100点を越していれば良い、ということではない場合もあります(どこまで厳密に運用されているかは分かりませんが)。

このあたりの相場感を知るには、留学予備校のAGOS Japanが公表している出願結果参考データが非常に有用です。無料のアカウントを作成すれば誰でも閲覧できます。

まずは過去数年分のデータを閲覧し、出願する可能性のある大学に合格した方がどの程度のTOEFLの点数で合格しているかについて、少なくとも最低点は確認しておいた方が良いと思われます。

例えば、「TOEFL100点以上が必要」と公表している大学のうち、100点以下の方の合格実績がない大学はほぼ確実にTOEFLの点数で足切りを行っているものと推察できます。従って、そのような大学へ出願を予定している場合には、必然的に目指すスコアが100点以上になります。


②:TOEFLの傾向を知ってスコア戦略を立てる

色々なサイトで言われていますが、TOEFLは純粋なListeningの問題以外にも、Speaking・WritingともにListeningの能力が必要となる問題が含まれますので、リスニングの能力が高ければ高いほど点数は伸びやすい、と言えます。

出願予定の大学が項目ごとの必要点数を定めている場合は別として、読む・聞く・話す・書くの4技能をバランスよく練習し、均等に点数を取るのはあまり現実的ではありません。リスニング能力の向上を中心に対策を進めつつ、どの項目で高得点を取りに行くかを決めたうえで、スコア戦略に応じて効率的に学習を進める必要があります。

この点、純ドメの日本人がSpeakingで高得点を取ることはほとんど期待できないので、多くの場合、Speakingが足を引っ張らない程度に点数を取りつつ、その他の部分で点数を埋めることになると思います。私はReadingとListeningで合計55点程度、Speaking・Writingで合計45点程度を目標にしていました。


③:TOEFL向け単語のインプット

実際にTOEFL対策を進めるにあたり、初期的に一番重要となるのがTOEFL向け単語のインプットです。

TOEFLではアカデミックな語彙が非常に多く用いられるため、最初からReadingの文章を読んだりListeningの音声を聞いてもほとんど理解できずに確実に心が折れます

本格的なTOEFL対策を進める基礎として、TOEFLの問題を解くための語彙力の増強は必須ですので、最初の1ヶ月程度は単語学習に全学習リソースを投下することでも良いように思います。

単語帳については、旺文社が出している以下のもの1冊にのみ集中して取り組めばOKと言われており、実際私も単語帳はこれしか回していません。Rank 3の単語まで全て覚えれば、ある程度読める・聞けるようになります。

なお、私は書籍のほか、mikanというアプリも併用していました。上記の単語帳についても収録されており、電車に乗っている間やちょっとしたスキマ時間でも取り組めるので、単語に触れる機会を増やすツールとして有用でした。


TOEFL100点超えを目指すためにやったこと

ステップ①:まずは1回実際の試験を受けてみて、合計で65点以上を目指す

私は、2023年2月末頃からTOEFLの対策を本格的に開始しました。まずはTOEFLで100点以上のスコアを獲得された方の記事やYouTube動画を参照しつつ、TOEFL向け単語のインプットから始め、試験の形式を知るためにTOEFLのオフィシャルガイドブックを購入して練習問題に取り組みました。

オフィシャルガイドブックは日本語つきのものと英語版のものがありますが、どちらでも良いです。ただし、Writingのみ、2023年7月変更の新形式で導入されたAcademic Discussion(AD)に対応していないようです。ADについては、TOEFLの公式サイトで公開されている練習問題を解いてみて、本番の形式を知るのが良いと思います。

ステップ②で記載するAndy先生の勉強会に参加するためにはTOEFLで合計65点以上を取得している必要があったため、とりあえず4月に一度実際の試験を受けてみることに。結果は上述のとおりで、ひとまずAndy先生の勉強会に参加するための最低点数は超えたので、第1ステップは無事クリアできました。

とにかく本番の試験を受けてみないことには自分が何点取れるか分かりませんし、スコア戦略を立てるためにも自分の実力を把握することは重要ですので、早めに1回受けてみることが良いと思います。

実際、SpeakingとWritingはほぼ無対策で臨み、本番はボロボロだったのですが、思っていた以上に点数が取れていたのでびっくりした記憶があります。


ステップ②:Andy先生の勉強会に参加し、ひたすら教えてもらった方法でReading・Listening対策に取り組む

個人的に、TOEFL対策は、正しい方法でトレーニングすれば点数は伸びるし、逆に適切でないアプローチを続けていても伸びにくい、という印象を持ちました。時間が限られている社会人であればなおさらです。

その観点から最もオススメできるのは、Andy先生の勉強会に参加し、先生から教わった方法でひたすら時間をかけて勉強する、という方法です。

詳細は実際に勉強会に参加していただくほかありませんが、私自身、この勉強会に参加して購入できる教材を入手し、ひたすら勉強会で習う勉強法を繰り返したことで、比較的短い期間で100点に到達できたのは事実です。

実際、この勉強会で習った方法でひたすら2ヶ月くらい地道にトレーニングを続けたことで、2回目に受けたTOEFLでは初回のListeningの点数から10点伸びていますし、Listening力が影響するSpeaking・Writingについても、それらしい対策は全くしなかったにも関わらず点数が上がりました。

勉強会に参加したから即点数が上がる、という魔法のようなものではなく、地道に時間をかけてトレーニングを続ける必要はありますが、これまでの受講生の感想等を見ても、比較的再現性の高い方法論だと思われます。

なお、TOEFL対策に直接の関係はありませんが、時間があるときにはABC Newsのポッドキャストを聞くようにしていました。

World News Tonight with David Muirは今でもほぼ毎日聞いており、毎日更新されるうえ、アメリカの生のニュース音声が聞けること+TOEFLのListening問題よりよっぽど喋るスピードが早いので、Listeningの底力を上げるのには最適だと思います。

最初は全く聞き取れませんでしたが、めげずにTOEFLの勉強を続けながら聞きまくっているとある日突然聞き取れるようになってきました。


ステップ③:SpeakingとWriting対策に注力する

はじめは私もそうでしたが、純ドメの日本人の場合、これまで大学入試やTOEIC等であまり必要とされてこなかったSpeakingとWritingの対策が必要と思い込んでしまう気がします。一方で、少なくともTOEFLに関しては、まずはReading・Listeningでちゃんと点が取れるようになってからSpeakingとWriting対策に注力した方が懸命と思われます。

というのも、既述のとおり、SpeakingとWritingもListeningの力が問われる問題が含まれるので、Listeningの力がちゃんと備わっていない状態からSpeakingとWritingの対策を始めても、音声部分が聞き取れないので点数が伸びません。

私の場合、6月末に受けたTOEFLの時点でListeningは30点満点中の29点が取れていたこと、またその時点で練習問題を1セット解いても安定して似たような点数が取れるようになっていたので、TOEFLで必要なListeningの能力はある程度養われたものと考え、Reading・Listening対策の時間を減らし、Speaking・Writingの対策に集中するようにしました。

Speakingについてはオンライン英会話を続けつつ、ひたすら練習問題を使って練習し、制限時間内で話す感覚を養う戦略を取りました。

DMM英会話にはTOEFLのSpeaking対策用の教材も入っているのでオススメです(ただし、Listeningの音声については本番より少し遅めな印象)。

もっとも、TOEFLの受験経験があるTutorにあたるかどうかは運ですので、基本的にはどのようにレッスンを進めたいかをきちんとレッスン前に伝える必要があります。

私はできるだけ過去にレッスンを受けたTutorの予約を取るようにし、本番同様に時間を測って回答し、それに対してTutorからフィードバックをもらう、という流れで受講していました。なお、サンプル回答が存在しますが、Tutorにリクエストしてチャットに貼り付けてもらう必要があります。

Writingについては、IDIYというサービスで日々100語以内の簡単な文章を書き、ネイティブの講師に添削してもらっていました。

また、7月にAcademic Discussionに変更されたため、先に挙げたTOEFL公式サイトの練習問題をひととおり解き、形式に慣れるようにしていました。

とはいえ、Writingについてはあまり点数が伸びなかったのもあり、もう少し良い勉強方法があったのでは、という気がしています。


補足

TOEFLの点数が高ければ高いほど有利に働くのか?という疑問

日本の入試的な感覚から言えば、TOEFLの点数が高ければ高いほど有利になる気はするのですが、こと米国LLMへの出願に関して言うと、個人的には疑問を持っていました。

理由として、①色々な大学のAdmissionに関する情報を調べてみると、大半の大学において「出願書類を総合考慮して合格者を決める」と記載されていること、②100点以上のスコアを要求している大学の過去の合格実績を調べても、TOEFLの点数が100点・101点ほどで合格しているケースがそれなりにあること、の2点です。

憶測に過ぎませんが、私がTOEFL100点ちょうどで受験を終えたのは、「多くの場合、TOEFLの点数は足切りの基準で用いられているに過ぎないのではないか?だとすれば、TOEFL100点が必要とされている大学において、TOEFLの点数が100点だろうと105点だろうとAdmission側からすればあまり変わりないので、むしろ他の出願書類で自己PRに注力する方が良いのでは?」と考えていたからです(もちろん、金銭面や時間的な問題もありましたが)。

とはいえ、点数が高いことに越したことはないですし、精神衛生的にも100点ちょうどよりもっと高いスコアを持っていた方が安心できるのは事実です。このあたりはTOEFLに割ける時間的&金銭的余裕を踏まえつつ、余裕がある限り、ご自身が納得できる点数が出るまで受け続けることになるのかと思います。

なお、私の判断が正しかったのかどうかについては、後日合否の結果が出揃ったタイミングで出願した全校の合否を公開したいと思いますので、その記事も参考にしていただければと思います。


Speakingの心構えについて

恐らくTOEFL対策で一番気になるのがSpeaking対策だと思うので、もうちょっと詳細に書いてみたいと思います。

一説には、純ドメの日本人がSpeakingで取れる点数の限界値は23点ほどと言われています。しかし、個人的な感覚として、コツを押さえてある程度対策をすれば20点くらいには到達できるように思いました。

私がSpeakingで意識していたのは、①ごく簡単な英文を繋いでいく、②喋りすぎないようにして必ず時間内に収める、③設問1(いわゆるIndependent Task)以外を頑張る、の3点です。

まず①ですが、TOEFL対策で初めてまともにSpeaking対策を始めた私のようなケースだと、綺麗な文法で長い文章を話すのは無理です。いかにして文章を簡素化し、自分が喋れる範囲に落とし込むかに全集中していました。

②については、特に設問2~4は情報量が多いこともあり、ついついたくさんのことを喋りたくなります。が、一部のポイントの説明に時間をかけて他のポイントに全く触れられない&時間内に喋りきれないより、簡単な英語で時間内に全てのポイントに触れる方がスコアは出ると思います。
欲張らずに余分な情報を削ぎ落としまくるのがコツであり、そのためにオンライン英会話等で時間の感覚を養うことが重要だと思います。

最後に③ですが、設問1ではごく短い問いに対して自分の意見を述べる必要があるところ、たまに日本語でも回答に困るような問いが出てくるので、それに英語で答えるのは至難の業です。
一方、設問2・3は「読んで聞いてまとめる」、設問4は「聞いてまとめる」というものですので、自分の意見を作る必要もなく、毎回同じことをするわけなので、トレーニングすればするほど慣れる気がします。

個人的には、設問2~4の対策に注力したことでSpeakingでもある程度点数が確保できたように思います。


おわりに

TOEFL対策を進めるなかで、私も多くの受験体験記やTOEFL対策の動画を参考にしました。本記事が、留学に向けてTOEFLを頑張るどなたかの参考になれば幸いです。


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