言いたいことがあると思ってたけど、実はなくて詰んだ。

何が「自由に書いて下さいね」だ。とてもムシャクシャする。歯痒いとも言う。自分で自分にイライラしている。
常日頃から話したいことがある。言いたいことがある。でも、こうしていざ「さぁ、思いの丈をご自由にどうぞ!」とやられると途端に何も書けなくなる。正確には書き出せはする。書き出せはするが、いくらか書いたところで書きたい気持ちがどんどんと失せてくる。で、そこで止めてしまう。だから永遠に文章が完成しない。書きかけの文章がずらずらと保存されている。あのなんか小説家が原稿用紙をグシャグシャに丸めて捨ててるみたいな様だ。
今少し表現が凝った。他人から見てどうかは分からないが、少なくとも俺の中では明確に、意識的に凝った文章を考えてしまった。こういうことになるともうなんか筆が進まない。
上手く書こうとするから完成しないんじゃないか。そんな気がしてくる。何で上手く書こうなんて思うのか。文才なんて全く持ち合わせていないのに。上手く書けたら誰かが読んでくれるから?そもそも読んでほしいから文章を書くのか?聞いてほしくて話をするのか?独り言じゃダメなのか?
そもそも、なぜ何か言いたいと思うのだろうか。やっぱり誰かに聞いてほしいという欲があるんだろうな。そういう欲を邪念と呼ぶんだろうな。邪念……それがあるから文章が書けないんじゃないかと思った。要するに誰かに読まれたい→読まれるには上手い文章じゃないとダメだ→上手い文章を書くぞ!→書けない!→もう、やめよう……。やはり、これではいつまでたっても文章が完成しない。
文章を完成させるにはとりあえず、邪念を捨てなくてはならないと思う。いや、誰かに読んでほしいのは事実なのだが。でも、それは一旦端に除けておく。一旦端に除けておいて、まずは文章を書くこと。書いて書いて、完成を目指す。読まれるというのは完成したという結果があってこそなのだ。だから、同じ欲なら読まれたい欲より書きたい欲を優先しなくてはならないと思う。書きたいから書く。話したいから話す。そういう純粋な狂気が何事においても多分一番強い。

という訳で、書く。書いていく。言いたいこと、書きたいことがあったはずだ。ダメだ。書けない。なんとも書けない。おかしい。書きたくなかったのか?違う。多分、言いたいことがなかったのだ。初めから何も。何も主張がない。主張がないから何も言えない。書けない。文章が完成しない。
という事態にも頻繁に陥る。文章を書いていて詰まると「結局、俺が言いたいことなんて大して無かったんじゃないか?」という疑念に襲われる。そして、大抵そこで負けて紙を丸めて投げ捨ててしまう。おかしい。何で書き始める前はあんなに強かった「俺の話を聞いてくれ」という気持ちが書き始めた途端、シナシナと萎んでいってしまうのか。不思議でならない。
で、結局前述の通り「自分には真に書きたい(主張したい)ことなんて無かった」という結論に達してしまう。で、また寝て起きて次の日になると「言いたい、言いたい」という感情が湧き上がってくる。これを繰り返した結果「自分はなんてダメなんだ……」という自覚だけが残される。

「書けないのは書きたいことが頭の中でまとまってないからじゃないか」という分析もできる。なるほど。確かにいっぱしの物書きは書く前の段階で文章の構成をある程度組み上げているという話はよく聞く。起承転結、あるいは序論本論結論。それらをしっかり組んでから筆を取るから傍目ではスラスラと文章を書いていけるのだ。つまり、「後は書くだけ」の状態にしている。
対して自分はどうか。いつも次に書く文章に悩んでいる。書きながらあれこれ考えている。だから中々文章を書き進められず、挙げ句の果てに途中で書くのを止めてしまうのか。なるほど、すごく納得がいった。


いやでも、違うやん。「俺の話を聞いてくれ!」って時にわざわざ文章の構成を考えたりはしないやん。そんなもっと余裕のない感じで、詰りながら、考えながら、でも感情をそのままぶつけるように喋ると思う。理路整然の対義語がスッと出て来ないあたりに俺の知識の無さが現れてるが、とにかくそんな感じだ。詰りながら、なんて言えばいいのか迷いながら、一言ずつ口にしていく。伝わってないかもしれないけど、とにかく、言いたいことを言っていく。
文章も同じ。迷いながら、一文一文書いていく。そして、どれだけ時間がかかってもいいから俺はこの文章を完成させる_____。



いや、無理だわ。そんなん、俺自身が待てないわ。早く完成させて「完成したぞ!ふはははは!」っていう気分になりたくてたまらないんだわ。というか、それでもやっぱり、「真に書きたいこと、言いたいことなんてなかった」という問題からは逃げられないのだ。逃げられないとうか、解決できていない。俺が言いたいこととはなんだったんだろう……?
そもそも、文章を完成させるには落とし所が必要な訳です。落とし所とは、まぁ要するに結論、あるいはオチ。オチと言える程面白いものである必要は多分ないのだけれど、一先ず文章を片付けられる区切りみたいなのは必要だ。で、何かを主張する文章の場合はそこでもう一度それを繰り返す。主張すること……やっぱり、俺にはそんなものないのかもしれない。

何かいいたくてたまらないのだけれど、いざ書き始めると言葉に詰まる。詰まったら「いや、やっぱり言いたいことなんてなかったな」と自分で自分を納得させる。しかし、しばらく経つとまた何か言いたくなってくる。そんな状況を日常の中でぐるぐると繰り返す。そんな状況。俺はどうすれば救われるというのか。教えてほしい。

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