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柑橘系精油の光毒性


①光毒性とは?

柑橘系精油を皮膚に塗布し、紫外線を浴びると、赤く腫れたり、色素沈着を起こす場合がある。このような性質を光毒性という。

特に、フロクマリンの一種であるベルガプテンは、柑橘系精油の光毒性の主な原因とされる。

ソラレン、キサントトキシン、イソピムピネリン等のフロクマリンも、光毒性のある物質として知られる。

疑問点?


リモネン酸化物が光毒性物質という話をネットで散見するが、これは本当だろうか? Pubmedで調べてみたが、そのような論文は一見見当たらなかった。誰か、詳しい人がいればコメントお願いします。


参考文献
精油中のフロクマリン類分析


②ベルガプテンを多く含む柑橘類

精油中のベルガプテン濃度

精油中のフロクマリン類分析を引用し作成

国際香粧品香料協会(IFRA)の基準では、ベルガプテン濃度は、15 mg/kg以下であれば安全とされる。

参考文献
柑橘精油に含まれるベルガプテン量の比較


③光毒性の症例報告

Pubmedで "Phototoxicity Citrus" のFree full textを検索すると20件の論文がヒットした。

図1 脚の発疹

Phytophotodermatitisより引用
図2 経過観察3ヵ月後の色素沈着した皮膚(膝を除く)

Phytophotodermatitisより引用

上の2枚の写真は、レモンやライムの汁をかけたタコスを食べるときに、こぼした汁を体に塗りたくった方の症例報告。

図1 末梢性炎症を伴う出血性水疱

Challenging cause of bullous eruption of the hands in the Arcticより引用

上の写真は、別の症例報告。原因は、ライム果汁への曝露と、北極圏の白夜による長時間の日光曝露の組み合わせ。

参考
Phytophotodermatitis
Challenging cause of bullous eruption of the hands in the Arctic


④考察

IFRAによると、精油中のベルガプテン濃度が15 mg/kg以下であれば安全とされる。それに該当しないレモンやライムへの暴露でも光毒性が見られる。

上の症例の原因がベルガプテンでないとすると、ベルガプテン以外の光毒性物質によるものか、光毒性を受けやすい遺伝的、環境的な要因があるのではないかと思う。もちろん、ベルガプテンが原因の可能性もある。

トップ画はベルガモットの写真です。

Image by วรพจน์ พนาปวุฒิกุล from Pixabay


⑤ヤードム使用上の注意

黄色 レモン × レモングラス
橙色 オレンジ × メイチャン

は光毒性を持つ潜在的な危険性があります。気になる方は、ヤードムを皮膚に付けないように使用してください。また、皮膚に付着した場合は洗ってください。

これら黄色と橙色のヤードムのベルガプテン濃度は、理論上15 mg/kg以下であり、安全と考えられます。

ヤードムを使った感想としては、鼻やその周辺の皮膚に、炎症・色素沈着が起こる様子はありません。しかし、全ての人に光毒性が起こらないとは約束できません。そのため、注意喚起となるような記事を書きました。


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