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トロントの持続可能な都市ハブが間もなくオープン

case | 事例

  • トロントのダウンタウン中心部に建設された広大な複合施設「ザ・ウェル」は、都心に1,700戸の住宅と約120万平米のオフィスに約32万平米の商業空間からなる巨大な開発で、エリア近隣含む1万1,000人の居住者と就業者なども合わせて、1日あたり約2万2,000人の来訪者を見込む、活気ある都心の複合開発である。

  • ザ・ウェルはカナダ最大のハブ駅であるユニオン駅の徒歩圏にあり、公共交通機関・電車のアクセスが至便で、2つの空港へも近い。持続可能な開発の要となっているのは、その革新的な熱エネルギー・システムであるが、施設内にプール3杯分に相当する巨大なタンクがあり、温度調節された水が貯蔵され、敷地内と近隣コミュニティの持続可能な冷暖房の選択肢を広げている

  • 地区のデザインは歩行者を優先し、エリア内外をスムーズ行き来できるよう、移動しやすく使い勝手がいいことに重点を置いて設計が行われている。また、再開発前の建造物のレンガや材料から再生された素材が選択され、にぎやかな地区に合わせて建築デザインされている。ガラスのキャノピーが東西の主要通路の60%を覆っていおり、オープンエアの体験を可能にしながら、年間を通して風雨から通行人を守ってくれる。ザ・ウェルは、トロントが望む「歩きやすさ」、「コミュニティ形成」、「つながり」を提供する都市型の新しいストリートスケープである。

insight | 知見

  • こんな都心に住める世帯は相当な富裕層だろうなとか、固定資産税高いだろうなとか、学校は近隣にあるのか、子どもたちどうやって学校に通うのか、気になってしまうことは多々ありますが、住民が増えていくと確かにまちの景色が変わるだろうし、住民コミュニティに合わせてまちの機能も変わっていくのだと思います。

  • 都心部の複合開発の中に住宅を含めることについては、過去からの都心居住空洞化の経緯で小中学校を整理統合してきた流れがあるので、行政的には「今更学校を増やすわけにはいかない」という理屈があり、都心に世帯向け住宅は増やさない方向、という話を聞いたことがあります。現代の多様なニーズを持つ市民の居住場所の選択や、都心全体のエネルギー・交通の最適化などの視点から、都心をより良い地区にするための政策を考える事例になりそうです。