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持続可能な都市開発の原動力としてのツーリズム

case | 事例

  • 都市はイノベーションと経済発展を育む場である。世界が豊かになり、技術が進歩するにつれ、経済における都市の重要性はさらに高まっている。今後、世界の成長は新興市場からもたらされるが、人口の大半が農村部に居住するアジア・アフリカでは、2040年までに新たに20億人の都市市民が増えると予測されている。これらの地域全体で近代的な都市を建設することで、成長に必要な資源やインフラが整うことから企業が集積し、優秀な人材が集い、経済が活性化され、失業率が低下することが期待される。

  • ドバイは、観光が持続可能な都市づくりに貢献できることを示す事例を提供している。20年ほどの間で、ドバイは観光業界で最も影響力と人気のある目的地として変貌してきた。ブルジュ・ハリファやブルジュ・アル・アラブのようなランドマーク建築に加え、豪華なビーチ、高級ホテル、整った交通システムなど、ドバイはより多くの観光客を呼び込むために、インフラ整備に多額の投資を行ってきた。2019年だけでも、ドバイは1,490万人の宿泊客を受け入れ、観光収入に大きく貢献している。

  • ナイジェリアのクロスリバー州も観光によって都市開発が進もうとしている。クロスリバー州の観光の重要な原動力のひとつは、州都カラバルで毎年12月に開催されるカーニバル・カラバルである(クリスマスを祝う行事)。同カーニバルは20億ドルという資産価値があると推定されており、インフラ整備など投資のための確実な基盤を提供するものになりうる。持続可能にこの資源を活用するために、イベントの高質化、国際化、収益化や民間セクターとの協業が期待される。

insight | 知見

  • 記事のサイトは南アフリカのメディアのようで、記事の原文タイトルに「グローバル・ケーススタディ」とあったので、アフリカからの目線からだと、どのような都市が観光による都市づくりのケーススタディの対象になるのかと興味が湧きました。

  • ドバイが対象となっているのは意外ではありません。空飛ぶタクシーや全天候型自転車道など新しい仕組みやインフラにも投資を続けている都市なので、観光という文脈以外でも世界中の都市がベンチマークする対象になっていると思います。

  • ナイジェリアのカーニバル・カラバルは初めて知りました。日本でも多くの地域に多くの祭りがあり、それぞれの地域が祭りを地域活性化の柱にしようとする動きもありますが、記事で指摘されているように、イベント(祭り)の質を高めること、国際化を進めること、民間セクターとの協業で収益性をはっきりさせることは、祭りやイベントを本当に活用して都市・地域を発展させるために必要なことだと感じました。