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英国自治体で持続可能な交通への誘導にAIを活用

case | 事例

英国ケンブリッジシャー州とオックスフォードシャー州の道路行政において、交通管制室での意思決定を自動化するAIによるソリューションの実証実験が進められる。ケンブリッジ市やケンブリッジ大などの産官学で構成される地域の実行組織グレーター・ケンブリッジ・パートナーシップ(GCP)は、ケンブリッジシャー州とオックスフォードシャー州と共同で、データ分析企業のアルケラ・データ・テクノロジーズと協力し、人工知能を使用して混雑を緩和し、持続可能な交通手段を改善する。英国のネット・ゼロ目標の達成に向けたInnovate UKのネット・ゼロ・イノベーション・プログラムから25万ポンド(約4,800万円)の資金提供を受ける。

プロジェクトではアルケラ社が地域の交通管制室における意思決定を自動化するAI主導のソリューションを試験的に導入するため、各州の道路を使用した上で、車両、アクティブトラベル、道路工事などのデータを網羅的取得する予定だ。現状では、様々な交通の種類のデータを統合させる方法に限界があるため、地域の交通管制室は持続可能な移動の妨げを可視化できず、人の自由な流れをむしろ妨げる形で手動で意思決定をしている。アルケラのAIは、道路工事やセンサー・データを含む状況をリアルタイムで監視し、管制室のスタッフに提案をすることで、持続可能な公共交通やアクティブトラベルを優先させるトレードオフをより簡単に把握できるようにする

GCPの目標は、地域の交通混雑を緩和し、バスの信頼性を向上させ、持続可能な移動を地域のすべての人にとってより魅力的で実行可能な選択肢にすることである。プロジェクトによって、道路工事がさまざまな移動手段にどのような影響を与えるかについての分析がなされ、その影響を理解することで、より多くの人々が持続可能な移動手段を選択するよう促す戦略を立てることが期待されている。

insight | 知見

  • GCPについては知りませんでしたが、組織紹介によると、実行を担う地域の産官が学連携推進組織(local deliverly dody)で、この種の組織においては英国最大だそうです。15年間で5億ポンド(約9,600億円)相当の予算をインフラの重要な改善に投資をして、44,000人の新規雇用、33,500戸の新規住宅、420人の追加技能実習生の創出を支援するとのことです。

  • 日本は年度末の駆け込み道路工事が真っ盛りで、あちこちで片側交互通行のポイントができていますが、それぞれのポイントでの待ち時間が可視化されたり、公共交通や歩行者・自転車を優先できるような仕組みがあると確かに交通手段の選択につながるなと記事を読んで思いました。