NYCの混雑課金は法廷での異議申し立てに直面
case|事例
ニューヨーク市の混雑課金は、3月末に15ドル(約2,300円)の課金額とすることの最終決定がなされたが、4月3日にニュージャージー州の弁護士からの異議申し立てによって法廷でその実施が争われることとなった。
異議の内容は、交通と大気汚染にどの程度影響が与えるのか不透明であるにも関わらず、連邦道路局(FHWA)が最終的に意思決定をしていることを不服としており、ニュージャージー州では特定のエリアで汚染が倍増される恐れがあり、国家環境保護法に基づく影響評価を行うように促すべきであったと主張している。
ニュージャージー州のフィル・マーフィー知事も、「マンハッタンの混雑課金は環境汚染の軽減にはならず、汚染や交通量がニューヨークからニュージャージーに付け替えられるだけだ。ニュージャージーからの通勤者への負担も大きくなる。」と批判をしていた。これに対してニューヨーク州都市交通局(MTA)は通勤者への負担は環境影響評価の中で幅広く検証を行っていると反論をしている。
マンハッタンで導入が予定されている混雑課金は、60番街より南側に侵入する際に1日15ドル課金がされる。既存の影響評価では、交通量が17%削減され混雑の緩和と大気汚染の緩和が期待できるとされている。また、徴収された財源のうち10億ドル(約1,520億円)は公共交通のサービス改善に充てられる。MTAはすでに110台の車両の読み取り機を設置済みで、本格的な混雑課金の開始は法廷での結論待ちとなるが早ければ6月15日から開始される。
insight|知見
これまで何度かNYCの混雑課金は取り上げてきましたが、自動車社会のアメリカなので導入までに紆余曲折ありますね。
自動車依存が高いからということもあるとは思いますが、ひとつの政策にこれだけ議論が尽くされるというのは、なかなか日本では考えられません。国レベルだけでなく、地方の基礎自治体レベルでもどういう政策がどういう意思決定で決まっているのかということにもっと関心を持ちたいなと思いました。