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医師が不動産投資ではカモネギな理由

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↑不動産投資全体での新築ワンルーム投資の位置付け(※イメージです)

「医師 不動産投資」で検索すると上位のほとんどが不動産業者、特に新築ワンルーム業者のページになっており、ややバランスが悪い印象でした。医事新報のPros & Cons(賛否)のように、バランスを取るために新築ワンルームのCons側として、業者の甘口に対して辛口で書いています。

■不動産業界で医師がカモネギな理由

業者側にとっては医師は給与収入が高く信用もあるため、融資が通りやすく新築ワンルームを2戸、3戸とバルクで買ってくれるため利益を上げやすいからです。

補足すると、多忙であることや閉鎖的な環境から金融リテラシーが低く相談する相手は業者の担当者だけというケースが多いように思います。業者に相談すれば基本的には新築ワンルームのメリットを強調します。

また、投資した物件が失敗だとは認めたく無い心理が働き、最初の1、2年は失敗とは気づかずに所得税還付を受けてむしろ成功と錯覚しやすい構造になっています。

正確には売却するまで成否は分からないため、必ずしも失敗とは言い切れないのですが、不動産投資全体から考えると新築ワンルームは少なくともあまり儲かる投資ではありません。

所得税率が最高税率となっている人にとっては投資よりも節税にしか興味がないかもしれませんが、平均的な給与の医師にとっては最終的に儲かるか儲からないかというのは大事です。

多少なりとも努力して医師となり、汗水垂らして働いた貯めたお金や信用を新築ワンルーム購入に使ってしまっている現状があります。中古のワンルームになった後も同業の医師や高属性のサラリーマンや公務員、最近では看護師や薬剤師に売却し、業者には仲介手数料だけでなく上乗せした利益が流れるエコシステムが出来上がっています。

何も利益を上げることは悪くは全くありません。しかし、不動産投資の全体像やリスクを十分に理解しないまま購入している医師は少なくありません。

節税よりも普通の不動産投資のほうが儲かるのであればそちらを選択する医師もいるはずです。新築ワンルームに関しては2区分、3区分のバルク買いなどの危険な勧誘が行われています。これは十分なIC行われていないまま、準備が無いまま大手術をしているようなものです。

■新築ワンルームマンション投資のデメリット

他のデメリットとしては

・物件自体が割高でもあなたの給与をあてにしてノンバンクがお金を貸している

・新築ワンルームの借入は一般の銀行から見たら担保評価がほとんど無いため単純な負債と見られてしまう

・ただでさえ低い利回りなのに経年で徐々に家賃が下がっていく

・買った瞬間に2〜3割価格が下がるため売却しづらい(実務上は同じようなカモを見つけて中古ワンルームを売却している)

・最初に新築ワンルームを買ってしまうと、他の不動産投資(1棟投資など)へ移行がしにくい

などが挙げられます。

■新築ワンルームマンション投資のメリット

逆にメリットは何かを考えてみると

・初心者でもすぐに買える

本当に儲かる不動産はプロやセミプロがすぐに買ってしまうため初心者のところには情報が来ることはありません。自ら積極的に動き、業者開拓や金融機関開拓をしなければ何年経っても良い不動産は購入できません。その一方で新築ワンルームは基本的には初心者しか買いません。物件も融資も業者が手配してくれるため簡単で早いです。面談したその日に買えるくらいインスタントです。

・不動産投資を学ぶきっかけになる

ここまで辛口で書いてきましたが、何を隠そう私自身が海外の新築区分マンションを購入して大損した大馬鹿者です。私の場合には海外のコンドミニアムでしたが、失敗したと気づいてから本格的に不動産投資の勉強を始めた経緯があります。新築ワンルーム投資での金銭的、時間的損失を勉強代と考えられるのであればメリットになり得ます。なお、ここで言う時間的損失とは、1棟投資に移行しようとした時にワンルームがマンションが足かせとなり移行までに長い期間を要するという意味です。

■それでも新築ワンルームマンションに魅力を感じるあたなへ

私がここまで書いても新築ワンルームに投資してみたいという気持ちが抑えきれない方もいるかもしれません。そんなあたなへのアドバイスとしては3点です。

①必ずシミュレーションを!

業者が提出してきたものではなく、ご自身で簡単で良いのでシミュレーションをしてください。家賃下落や空室時の広告費、修繕積立費などを考慮してください。楽待のシミュレーションツールで簡単にできます。https://www.rakumachi.jp/property/investment_simulator

ほとんどの業者は家賃が変わらない設定かもしくは上がる設定になっているかもしれません。ファクトチェックが大切なので5年後の家賃がどのくらいになっているかは、SUUMOやホームズなどの賃貸マンションのサイトで同じくらいの立地やスペックの物件を調べてください。

②5年後の売却価格の事実確認を!

個人で購入した場合には長期譲渡になるのは5年が経過していからです。正確には売却した年の1月1日現在で5年を超えているかです。業者側は残債よりも高く売れると言うかと思いますが、ここでもファクトチェックをしてください。5年後の残債がいくらなのかと、楽待や健美家、SUUMOやホームズなどで築5、6年の中古ワンルームマンションがどのくらいの金額で売りに出されているか確認してください。

もちろん成約した価格ではありませんが参考にはなります。本当に安ければすぐに売れているので、掲載され続けているということは少なくともその価格では売れない可能性が高いです。中古ワンルームマンションでも良い物件は業者がすぐに買い取ります。

③他の投資との比較を!

新築ワンルームマンションのメリット、デメリットを把握した上で他の投資とも比較をしてください。新築ワンルーム投資は不動産投資全体の中では人数は多いですが、初心者しか集まっておらず、中上級者は基本的には1棟投資です。上場企業など大手も新築ワンルーム投資はしておらず、1棟投資をしています。私が取り組むような地方中古RC1棟投資では家賃が落ち着いた築15〜20年前後の中古RC1棟を利回り9%〜10%前後、金利1%〜1.5%くらいで購入しているので、しっかりと満室を維持できれば利益が出やすい構造になっています。その分、業者開拓や銀行開拓、物件の価格交渉などやることは多いです。新築ワンルームマンションは手間暇かからずにすぐに買えますが、その分の手間賃が物件価格に上乗せされています。

■最後はご自身の決断で

ここまで新築ワンルームマンション投資のCons側として辛口で書いてきました。元々私自身が区分マンションで失敗した経験もあり、基本的には新築ワンルームには反対の立場です。しかし、投資に対しては色々な考え方がありますし、規模は拡大せずにワンルームマンション2、3戸で十分と思う方もいるかと思います。

ご自身で事実確認し納得した上で新築ワンルームマンションを購入するのであれば、私はもう止めることはありません。

これを読んでくださったあなたが少しでもマネーリテラシーを向上させて豊かで幸せな人生を歩んでもらえたら嬉しいです。   

                   ドクターかんざき

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