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関東ではレア⁉ なキハダマグロを食す

新型コロナウイルスの影響から外食が難しくなり、自炊する人が増えているようです。私もマメに料理はするのですが、先日購入したキハダマグロの話でもしようと思います。

遠い昔に食べた、懐かしの味がよみがえる

4月に入り、新しいシーズンの漁獲枠が開放されたため豊洲市場には多くのマグロが入荷しています。最高級品である生の「本マグロ」のほか、南半球で漁獲される「ミナミマグロ」、赤道付近など比較的暖かい海を泳ぎ、ほぼ1年中獲れる「メバチマグロ」。そのほか養殖物や冷凍物も含めるとマグロが品薄になる時期などまずありません。そのような中、三重で水揚げされた巻き網漁法による「キハダマグロ」の入荷がここ数日続いていて、品物の良さから仲卸業者の注目を集めています。

キハダマグロは、メバチと同様、赤道近海を生息地としており、世界規模で見るとマグロの中では最も多く漁獲されている種類です。ところが本マグロと比べると魚体ははるかに細く、重量も軽いのです。同時に脂も少なく、トロと呼ばれる部位もあまり期待できません。値段も本マグロ、ミナミマグロ、メバチに次いで最も安値で取引きされています。それでもこの時期に三重で水揚げされるキハダは、脂もあり、運よく私も仲卸業者から購入することができました。

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早速自分で包丁を入れ盛り付けてみました(下手でスミマセン…)。肝心のお味はというと、脂はうっすらと感じられる程度ですが、マグロ独特の「苦酸っぱい(にがすっぱい)」風味が生きていて、これまた美味! 世間一般では「美味しいマグロ=トロ」という認識かもしれませんが、この“苦酸っぱい”味がするかしないかが私にとって最も肝心なポイント。幼いころに食べたマグロの味が脳内によみがえるんです。キハダより高級なミナミマグロには、残念ながらこの“苦酸っぱさ”がありません。「すしざんまい」を展開する喜代村の木村清社長も、小さいころに法事の席で食べたマグロの味が忘れられず、この世界に足を踏み入れたそうです。味覚は人それぞれですが、「懐かしい味」であることが、その人にとっての旨さの条件とも言えるでしょう。

東のメバチ 西のキハダ

安価なマグロの代表格でもあるキハダマグロですが、実は関東ではあまり流通していません。キハダは九州や関西圏など西日本でポピュラーであり、逆に関東や東北ではメバチの方が多く流通しています。理由は諸説ありますが、キハダは包丁を入れ刺身として盛り付けたときの角ばったキレイさがメバチに勝るため、そこが西日本の料理人の感性に合っていると聞いたことがあります。見た目も大事なんですね。

マグロ買うなら今がチャンス!

豊漁が続く生の本マグロですが、新型コロナウイルスの影響から、本来の買い手であるはずの回らないすし屋や高級料亭などの休業が相次いだことで販売口が見つからず、他所で驚くような安値で取引きされています。行き場のなくなった本マグロは、本来の売り先でないはずのスーパーマーケットの店頭などにも並ぶようになりました。

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写真は千葉県内の某スーパーで売られていた国産生本マグロの大トロですが、この値段は破格の安さです。それでもまだ高いと感じる人は、中トロや赤身でもよし。ミナミマグロもよし。なんだったら安価なメバチやキハダでもOK。とにかく今は比較的安い値段でマグロが買えます。新型コロナウイルスのせいでSTAY HOMEを強いられている私たちですが、夕食はちょっとぜいたくをして、日々の生活に彩りや楽しさをプラスしてみるのはいかがでしょうか?


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