リヴァプール4−0マンチェスターユナイテッド

アリソン6ダイク6マティプ7ロバートソン7アーノルド7ファビーニョ7チアゴ9ヘンダーソン6サラー9マネ9ディアス8ジョタ7ケイタ-ミルナー-クロップ8

選手のクオリティが違いすぎるので当然の4−0でしたが、得点シーンはどれも完璧で最高に楽しい試合になりました。相手のインテンシティが低かった前半とチアゴを80分も使ったことをを考えると更に点差を広げて当然だったと思いますが、苦しい日程の中で手を抜きながら4−0と得失点差も稼げて勝てたのは良かったですね
1点目にアーノルドが無駄にデヘアを挑発するように顔の側を通す正確なコントロールキックで挑発したのも良くなかったですが、終盤のハンニバルなどのラフプレー連発はリヴァプールファンもユナイテッドファンも見ていて気持ちの良いものではないでしょう

素晴らしかったのはマネ、サラー、チアゴ、ディアスとジョタですね。守備陣は相手の攻撃が緩すぎて見せ場ももらえませんでした。マネはフィルミーノのようにはボールを収められませんでしたが、1点目のサラーへのパス、2点目のサラーへのアシストも素晴らしくディアスからの折り返しを冷静に沈めた3点目のゴール、ロングボールや狭いスペースでのボールキープも含めて絶好調です
フィルミーノのような凄いトラップはありませんが、フィルミーノよりは決定力があって今日のようなパスが出せるならば最近は離脱が目立つフィルミーノよりも優先して残留させるべきかもしれません

サラーもようやくゴール前での決定力が戻ってきました。冴えないプレーが続く中で少しずつ休ませていたのが功を奏したのかはわかりませんが、ようやく心身ともに回復してきたのかもしれません。この日も右サイドバックまで守備にカバーしながら2得点1アシストという驚異的なパフォーマンスでした。相手DFが不調で2部レベルのプレーを繰り返しているマグワイアだったので完全復活かは次節を見る必要がありますが、復調への良いきっかけになりました

ディアスは非常にシンプルなプレー選択が出来ており、ロバートソンと組む左の縦関係は非常に良いです。またジョタも途中交代で切れの良い動きを見せており、FW陣はタイトル奪取に向けて良いパフォーマンスを披露できていました

チアゴは攻守に圧巻のパフォーマンスでしたが、ヘンダーソンは16分20秒にチアゴが見せた絶品パスの処理にもたついたり、長距離パスの精度で見てもMFとしてそこまで優れていません。右サイドに逃げてサラーと無駄なパス交換をしてビルドアップやり直し、というプレーが多いのも難点です。この日のユナイテッドくらいユルユルでプレスがないと良いプレーを何度か見せてくれますが、不動のレギュラーとして計算するのチアゴとファビーニョに慣れると厳しいですね

この日も酷かったミルナー放出でカケレを獲得して万事解決と思っていたのですが、カケレは契約延長するようです。もちろん移籍金を上げるための契約延長かもしれませんので希望を捨てることはないですが、補強戦略は若干の修正が必要かもしれません。MFの補強は必須なのでチュアメニなどを獲得してダブルボランチで戦う事になるのか、17歳にしては世界最高レベルのガビに£40-50mという相応のギャンブルで移籍金を払うのか夏の補強に期待しましょう

100回やれば1,2回は引き分けに持ち込む事は可能かもしれませんが、ユナイテッドの戦力で離脱者が居ない万全のリヴァプールを破る事は不可能です。まずGKではアリソンはデヘアよりも遥かに優れています。控えのケレハーもデヘアのセービングには劣りますが、繋ぐ技術では上でヘンダーソンよりも遥かに優れています
CBもダイクやマティプやコナテはヴァランよりも優れていてゴメスもベストな状態に戻ればヴァランと同じくらいのレベルです。ユナイテッドの他のCBはこの日も全体が見えておらず簡単に釣りだされ続けたマグワイア、他はベイリーやジョーンズなどリヴァプールの4人やヴァランとは比較対象にもならないレベルの選手たちです
サイドバックについてもロバートソンとアーノルドは世界最高のサイドバックであり、ツィミカスは左サイドバックとして世界で5本の指に入りますが、ショーやワンビサカやダロトやテレスは世界の20-50番手くらいのレベルです
特にワンビサカの技術は残念ながらネコ・ウィリアムズにも劣るレベルで強豪クラブのサイドバックの技術ではありません。対戦する度にワンビサカは£10-15m程度のクオリティにしか見えないのですが、彼は£50mで買ったらしいです。この辺の選手のクオリティの見極めが出来ないことが弱い原因であり監督はそこまで問題ではありません

ファビーニョやチアゴは世界でトップクラスの守備的MFであり、ヘンダーソンも彼らの控えを務めるには十分な世界で20番目には入る守備的MFです。一方フレッジはリヴァプールで最も物足りないレギュラーのヘンダーソンよりも下で昔は世界トップクラスだったマティッチも現在は見る影もありません。マクトミネイはヘンダーソンと同じく下手さを運動量で誤魔化すBox to Box型の選手ですが、世界のトップを目指すことは出来ないリヴァプールが過去に捨てたチャンと比べても劣りそうなレベルです
唯一ブルーノもポグバといった攻撃的MFは我々が持つ最高の攻撃的MFであるケイタやジョーンズよりも明らかに優れています。またリンガードやファンデビークは成長したジョーンズに抜かれるかもしれませんが、エリオットよりは優れています。ただこのポジションで使える選手は最大2人です。他のポジションがボロボロなのに無駄に4人もそれなりの選手を抱える必要はありません

FWもリヴァプールの圧勝でサラー、マネ、ディアス、ジョタ、フィルミーノの5人に入り込む能力を持った選手がユナイテッドには居ません。ロナウドの全盛期はこの5人よりも優れたサッカーの歴史上でも世界最高レベルの選手でしたが、今は点を取れる以外は能力的に普通のFWになりました。サンチョも優れたFWだと思っていましたが、この5人に比べたら格段に落ちるのでベンチにも入れません

https://note.com/liverpool_tk/n/n922d2ebd25bd

前に上の記事でも書きましたが、これだけ選手の差があれば誰が監督をやっても同じです。リヴァプールのスカッドに入れるユナイテッドの選手は5人くらいベンチに入れるのは更に少ないです
チェルシーが監督をトゥヘルに変えて昨季CLを優勝したため監督交代に夢を見る人がいるのは分かるのですが、彼らがCLで優勝できたのはFWを除いてトップクラスの選手を抱えていたからです。技術、体力に劣る現在のユナイテッドの選手たちではリヴァプールやシティどころかチェルシーと争うのも不可能です
そしてトゥヘルが立て直したチェルシーは当時も金を使った今もFWが優れていないので、攻撃の要だった両WBが離脱後に勝点を落としてリヴァプールとシティから大きく離れた3位です。トゥヘルのように優れた監督でも戦力が足りなければ勝つことはできないのです

どの解説者の影響か知りませんが、2チームの差は戦術の差ではありません。戦力の差です。クロップの戦術は世界トップクラスのプレッシング以外は非常に凡庸ですが、PLで2桁順位に沈み彼の就任後もELすら勝てずPLで8位のチームを僅か6年半で世界最高レベルに進化させました。それが出来たのはほぼ全レギュラー選手を補強と育成で入れ替えたからです
当時のリヴァプールと現在のユナイテッドのスカッドを比較すれば5,6人の選手を除いて当時のリヴァプールレベルの選手と大差ありません。当時のリヴァプールにはフィルミーノやコウチーニョやアーノルドやゴメスなど成長が楽しみだった中堅・若手選手が居ましたが、ユナイテッドの優れた若手選手はサンチョと犯罪を起こして復帰が絶望的なグリーンウッドしか居ません

現在のリヴァプールのレベルに追いつくには最低でも8人、出来れば12〜15人ほど補強を当て続けないと勝ち目がなく、リヴァプールがユナイテッドの6年先を行っているというラングニックの見立てはそれなりに正確です
もちろんクロップほどのモチベーターがいれば選手も前半のユナイテッドのようにチンタラ走る事はないかと思います。ただファンが戦力がないから弱いという事実を認識し、長期的な視点で信じる人にならない限りはユナイテッドは沈んだまま浮上することはありません

財力ですぐに追いつけると信じているファンもいますが、ユナイテッドがこのまま来季CLへの出場権を逃せば2022-23シーズンの売上高でもリヴァプールとシティに抜かれます。金だけはあると信じ込んでいるようですが、それすらもないのです
更に悪いことにユナイテッドが支払う給与はマンチェスター・シティよりは低いですが、チェルシーやリヴァプールと殆ど同じ世界トップクラス水準の給与です。そのため処分したい選手を売るには選手が減俸に応じさせないといけませんが、アレクシス・サンチェスのように給与の減額を受け入れる選手は非常に稀です
選手は売れない不良債権を大量に抱え、リヴァプールやシティに財力で負けるので彼らが必要としないレベルの選手、または彼らが支払う給与よりも大きく上乗せして支払わないと有力選手を獲得できません。この繰り返しで現在の悲惨なスカッドは出来ました。彼らがリヴァプールやシティに対抗するには即戦力の獲得を諦めて5年後が期待できる選手でギャンブルするべきでしょう

しかし、そのギャンブルには大きな代償を伴います。プレミアリーグが世界最高のリーグレベルに達した現在、その方針はCL出場権の争いで苦しむ事を意味しています。リヴァプールが16-17シーズンに不良債権を一掃してギリギリの4位を獲得できたレベルとは比べ物にならないレベルに進歩しています

ユナイテッドは未来へギャンブル投資をするか、強いチームで競争を勝ち抜こうとするリヴァプールやシティに加入せず金や定位置を確保できる事を選ぶ選手を獲得するに今の路線を継続するにしろ、5年以上は復活できません。彼らはこれから過去のリヴァプールや現在のアーセナルと同様にかつて強かった時期もあったクラブという扱いになることでしょう。時代は変わるものです。現在の強いリヴァプールというトレンドは最低5年くらいは続きます。リヴァプールの時代の最高のシーズンを全力で楽しみましょう!

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