中日ドラゴンズの野手キャンプメンバー振り分けが面白い


テーマは競争と淘汰。主力になってほしい1992年度~1997年度生まれの野手をオールドルーキー福永を除けば6世代で8人しか指名せず、競争がなかった環境から変えようとしている。各ポジションでライバルとなる選手を近くに置いて競争を促す野手の設計が面白い。投手は普通のサバイバル

野手

捕手

捕手陣の1軍2軍の振り分け

捕手はサプライズ0。去年故障してた石橋が1軍に戻って、山浅が2軍落ち。日渡と山浅は同世代で1個上に味谷と2軍の正捕手を争わせる面白い構成

2024年の予想構想

1軍と2軍の差はハッキリしているが、ともに競争は激戦。加藤は3番手捕手の控えで試合に出る機会が非常に限られて精神的に辛いだろうが、チームに必要な仕事なので頑張ってほしい

内野手

内野手陣の1軍と2軍の振り分け

ドラゴンズ最大の泣き所で全ポジションが注目。一塁手は中田が本命、対抗にビシエドで大穴が中島。福田と堂上が引退し、レビーラが亡命したため、2軍の一塁手が居ない。板山が居ないと2軍で一塁手で使う人材がいない

戦力外選手の補充に対し無意味という人はキャンプの運用を考えていない。中田を取ったので去年は1軍のビシエドを2軍に置くわけにはいかないのだ。ビシエドには中田の控えとして活躍して貰わないと困る

二塁手では故障の田中が2軍に落ちた。代わりに石垣が山本と一緒に1軍へ。これも石垣vs山本という内野のユーティリティ枠を争わせる粋な演出。田中はOP戦が始まるまで2軍だろう。辻本と津田次第で大事に使う可能性もある

三塁手は高橋周平が2軍落ち。堂上と福田の引退で古株の内野手役が居ないので2軍のまとめ役として落とされたのだろう。福永は今季のキャンプ中も三塁を守る事になる。彼は三塁のレギュラー争いと二塁の保険枠で二遊間のレギュラー争いに入らないと予想する。昨季も田中が離脱するまでOP戦ではこのプランで進んでいた

昨春キャンプで遊撃手をやっていたカリステだが、最初は三塁手で練習する可能性が高い。練習試合が始まる頃には石川か高橋が上がり、代わりに新人の津田か辻本が落ちてカリステが遊撃手に回るだろう。石川にも1軍が確約されている訳ではなく、井上2軍監督の推薦で周平に決まる可能性が僅かにある。津田の打撃が予想以上に良く、監督が気に入れば入替時期も遅れる

遊撃手は予想通りに龍空が2軍落ち。遊撃手よりは劣るが二塁手でも守備が上手く二遊間の守備要員になれる事は決まった。三振が減る代わりに長打が消え去った打撃を0から作り直す必要があるので森野と一緒に2軍へ。これは長期的に考えれば良い事だと私は思う

龍空の代わりに新人の津田と辻本が抜擢。これは戦力というより立浪監督が手元で見極めたいだけだろう。個人的に津田は打撃が面白い素材と思う一方で守備は怪しいと見ている。練習試合が始まる頃には1人が落とされ石川か周平と交代すると思う。田中の状態と新人の力次第では2人とも落ちる

ただ津田は三塁経験があるので打撃が監督に評価されれば2人とも生き残る可能性も。辻本は純粋な二遊間のスピード型の選手で田中や村松と競争だ

2024年の予想構想

2軍レベルしか居らず、実質的な競争がなかった昨季と一変。注目は全部。一塁手は中田の加入でビシエド依存が解消する。二遊間はカリステが本命で村松と田中が対抗。龍空と辻本が穴、津田と石垣が大穴と予想する。三塁手は大本命の石川を穴の福永、周平が追う。二遊間に村松と田中と龍空か新人がハマればカリステが突如として対抗に浮上する。三塁手の大穴も津田

内野の便利屋は石垣と山本が本命対抗だが、夏場までは育成の龍空、辻本が一気に捲る展開も期待される。代打枠も今季は争いが生まれた。ビシエドか中島が本命だが、好調時と不調時の打力に差がありすぎるビシエドは好調時のレギュラーで不調時は2軍調整になると予想。中田は守備力に問題がないので代打枠は川越、ディカーソン、上林も含めた争いになる。緊急時の一塁は宇佐見も石川も出来る

2軍でも津田、辻本、龍空のレギュラー争いが生じる。3人とも良ければ津田が三塁に回り、全員が出られる代わりに周平が完全に居場所を失うだろう。周平はドラゴンズが指名した数少ない素質ある中堅選手だが、今季次第では他球団に出される可能性すら出てきた。立浪監督の就任前までケガをしない限り一軍が実力的に保障されていた選手の尻に火がつく状況は、勝つことがファンサービスだと思うファンにとっては喜ばしい事だ

外野手

外野手陣の1軍と2軍の振り分け

アルモンテがディカーソンに変わり、ブライトがアキーノに代わって1軍枠を得た。ブライトの代わりに川越が加入、伊藤の代わりに濱が外野に転向。代打候補で1軍だった福元が故障し上林が入った。板山は外野手登録ながら彼を一塁で使わないと2軍が成立しないため、内野枠に勘定した

レギュラー格は岡林と細川だが、大島、ブライト、ディカーソンにスタメン争いが予定され、上林の復活も計算は立たないが期待は僅かにある。鵜飼が急遽として覚醒してごぼう抜きする可能性も0ではない

外野守備と代走枠は後藤や加藤翔平と争うのが伊藤から濱になった。昨季と同様に2軍で争う図式は変わらない。今季はブライトや上林が1軍に居続けるなら外野の守備枠は1枠に減る可能性もある。濱は2軍で打撃をまだ鍛えたい選手ゆえ勝ち抜く可能性は低い。代打・代走枠では三好も控える。育成指名の尾田も代走スペシャリスト採用の噂。樋口は代走と守備で成長を見せないと2年目で戦力外の恐れもある厳しい競争が待ち受けている

2024年の予想構想

絶対的なレギュラーは岡林のみ。その岡林も無条件にフルイニング出場する権利は剥奪されそうだ。調子が悪く控え組が活躍するなら大島にセンターを奪われる時期が出る可能性も僅かにある

野手総括

木下、岡林、細川の3名は開幕スタメンが濃厚だが、3人も含めて競争がないポジションがなくなった。阿部と京田の放出、マルティネスの予期せぬ退団で競争させる人材が居なかった昨季と比べて大幅に戦力が増えた

一塁手は中田が本命も、好調時にはOPS1.0近く打つビシエドと併用だろう。二遊間は村松と田中とカリステが本命。龍空と辻本と津田が後半から出番を狙う。三塁手でも石川が本命だが、昨季と変わらず福永が2年目に伸びれば福永が奪う未来もある。加えて二遊間の戦力次第でカリステが三塁手に回る可能性もある

外野もブライトが大島のポジションを狙い、ディカーソンや鵜飼や上林などレギュラーを狙う選手が増えた。昨季まで立浪監督に同情する余地はあったが今季はない。優勝は厳しいが3位を争えなかったり、采配や求心力に疑念が生ずれば監督の責任が問われる

投手

先発・便利屋

先発・便利屋陣の1軍と2軍の振り分け

昨季比では梅津と根尾と仲地が松葉、福谷、退団した鈴木の椅子を奪った。戦力外となった岡野に代わり、メヒアがキャンプ時から加入した分だけ戦力アップ。監督の育成を見たい枠は石川翔に代わって松木平が入った

先発は13枚から15枚に数が増え、便利屋は3枚から2枚に減った。1軍で通用しない2軍で頼りになる選手が減ったが、1軍の競争に負けた質の高い選手が回る。先発の枚数もイニングも問題なく回せそうだ。仮にイニングを投げる計算の投手が故障で離脱しても、2軍参加の2チームから選手を引き抜ける。現段階では補強も補充も必要ない

2024年の予想構想

1軍確定と言えるのは柳、高橋、小笠原。梅津とメヒアが濃厚で大野と涌井と根尾と松葉と仲地が争う展開になりそうだ。梅津は間隔を空けての起用が濃厚とはいえ、6番手が全く居らず5番手も怪しい時期があった昨季と比べて大幅な戦力アップ。やっと戦える戦力が揃った

ただ涌井、大野、松葉の年齢、高橋宏の才能は確実にメジャーへ行く未来が待っており、小笠原のメジャー志向から2026年までに先発を4枚育てたい。外国人と藤嶋の先発再転向でも足りないため、12人いる故障者だらけの育成選手を整理していく必要があるだろう

草加の故障は残念だが、昨季と違って今季は先発に困っていない。2026から2027年に1軍の戦力となれば何も問題はない。貢献0でトミージョン手術するのは申し訳ない気持ちも分かるが、ケガの程度が悪ければトミージョン手術を躊躇しないでほしい。医療的な専門知識がない私に言えるのはその程度。ファンも球団も生涯成績と優勝するシーズンの貢献度を1番大事にしている

リリーフ

リリーフ陣の1軍と2軍の振り分け

昨季比では松山、勝野、齋藤が福島、森、岡田の枠を奪った。移籍1年目の枠は砂田から梅野に代わり、亡命が抜けてフェリスが加入。退団した山本の穴埋めに加藤竜が入り、土生の分だけ純粋に増えた。故障者も多いが25人と十分すぎる数が居る。先発が足りなくなれば森を先発や便利屋に転向可能だ

勝ちパターンのマルティネスと亡命、便利屋の藤嶋以外に計算できる選手が清水しか居なかった昨季と比べ明らかに中継ぎ陣の質は明らかに上がった。特例が継続するなら中継ぎは1軍に9枠分も置けるが、それでも福や祖父江が枠に入れない可能性がある

2024年の予想構想

マルティネスと藤嶋の立場は安泰で、松山と勝野と清水も1軍入りは濃厚。それ以外の4枠をフェリス、祖父江、齋藤、福、岩嵜、橋本、梅野、砂田が追う展開になるだろう

投手総括

与田監督が就任した2019年からドラゴンズの防御率は下がっている
ただ他球団も同様に下がっており、ドラゴンズの投手陣はもはや優れていると言えない

過去10年ドラゴンズの投手力で2019年と2021年だけはリーグ平均から10%超も優れていた。立浪監督の就任以降も防御率は改善しているが、それ以上にリーグの改善が上回った影響で強みと言えない。野手が圧倒的な最下位で投手力がリーグ平均と大差なければ名将が監督でも勝てない。近年では最高の布陣になり、リーグ平均を20%も上回った2010年、2011年の投手力を目標にしたい

加入と退団のまとめ

加入-退団で約160イニング分が抜け、新人を5人獲得した。毎年150イニングを投げた大野が10イニングしか投げられなかったので、大野の復帰だけで穴は殆ど埋まる。メヒアとフェリスと梅津と根尾が開幕前から居る事もあり、投手は質量とも十分の陣容。2軍の試合数が増えるとはいえ、調子を崩した選手や高卒1年目も使う必要があった昨春とは違う。現段階では補強も補充も必要がない。今季も投手が足りないという人は計算がおかしいか、故障を過度に恐れて余分な保険を欲しすぎ。想定外が起きてから対処すれば良い

まとめ

昨季も全戦力が稼働すればAクラスはあった。大野と8回の男が離脱した影響が大きく監督の采配が更に狂っていき、歯車が狂う一方だった。今季はどのポジションで長期離脱が起きても、野手1人投手2人までなら耐えられる戦力になった

優勝は厳しいが優勝を目指す気持ちがなければ、3位に踏みとどまれない。どちらにせよスタートが鍵。開幕のヤクルトとの3連戦が大事なので久々に球場へ足を運んで楽しみたい

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