2022年中日ドラゴンズの補強は成功-2024年の中日ドラゴンズに注目せよ③/④-

https://note.com/liverpool_tk/n/n09d03817ec43

①の記事に書いたように補強ポイントは下記の通りだった。これらの補強ポイントをドラフト、FA、トレード、外国人で解決を図る必要がある。先に結論を言えば今オフの補強は大成功とは言えないが、成功と言えるだろう

1 OPS.850打てる外野手→△(アルモンテで200~500打席数ほどの補強成功)
2 OPS.850打てる三塁手か二塁手→?(カリステの獲得も阿部を放出)
3 OPS.650打てる二遊間→〇?(村松、濱、福永、田中を獲得も京田放出)
4 先発6番手→〇(涌井投手、仲地投手の獲得)
5 木下を休ませられる第2捕手→今のところ×
6 左の強打者を抑える中継ぎ→△?(砂田投手を獲得し岡田の腕を下げる取り組み)
7 打てる高校生捕手→〇?(山浅を獲得)

日本のプロ野球界では大物選手がFAやトレードで国内移籍する事が稀なため、補強の鍵は新外国人とドラフト指名である

2020~2023年は特例で5人の外国人選手を登録可能で4人をベンチに入れる事が出来る。ドラゴンズの外国人は既にロドリゲスとマルティネスがタイトル級の活躍をしており、ビシエドは外国人の中ではトップクラスの成績を残しているため、外国人による大幅な上積みは難しい

ビシエドが過去のレジェンド助っ人外国人と比較して物足りないのは事実だが、彼が離脱した時期に4勝9敗となっているように物足りなくても最低限の数字は残せるドラゴンズの中軸打者なのだ。不足している強打者を複数獲得して中継ぎの休養日に上手くローテさせる編成を取りたいところだ

外国人はアルモンテとカリステ+長距離砲?

まずアルモンテを確保したのは大きい。2020年に久しぶりの3位と躍進した要因はビシエドとアルモンテが揃ったからだった。アルモンテが体調を取り戻した9月11日〜10月15日の間は16勝9敗と勝率64%と優勝ペースだった

ビシエド1人では物足りない打線もOPS.850前後を打てるアルモンテが入ると途端に打線に厚みを増す。彼は得点圏でも成績が落ちず打率も長打も期待できる。彼に1年間のフル稼働を期待するのはマヌケだが、保険としては今のドラゴンズには欠かせない選手になる。彼を切ってガーバーを連れて来られた与田監督とその後を受け継いだ立浪監督には同情する事しかできない

カリステも補強にはなりそうだ。ガーバーは明らかに弱点だらけのスイングで来日前から外れ確定と断言できる選手だったが、カリステは内角、外角、低め、高め、真ん中を逆らわずに打てるそこそこの打者となりそうである。高橋周平に期待が出来ず故障が多い石川に頼る必要がある三塁は補強が必須であるが、石川と同じOPS0.675くらいは打ちそうな選手である。ウッズやブランコのような成績は全く期待できないが、2割7分15HRでOPS.750くらいのオスナ級の活躍を期待したい。それでも打線はかなりの強化になる

外国人は更にメジャー経験のある長距離砲も調査中とのことである。外野は岡林が育ってレギュラーを完全につかんだこと、最低限の成績が約束されるアルモンテを抑えている事から優先順位は内野の方が高いと思うが外野手で30発打てる打者の獲得も目指しているようだ。ここは立浪監督の眼力に期待したい

来季以降に期待が膨らむドラフト

超大物はメジャーに行き、FA取得までの期間が長く大半のFA選手が旬を過ぎている日本のプロ野球はハッキリ言ってドラフトゲーなのである。今強いチームは3~8年ほど前のドラフトに成功しているから強いのだ。もちろんドラフトで成功していても戦力をうまく活用できる監督が居ないとチームは機能しないが、そもそも戦力がないと優秀な監督でも結果を残せない

今年のドラフトは一部のドラフト評論家からバランスが悪いドラフトと非難を受けているが、補強ポイントに沿った指名となっている。残念ながらドラフトで指名される大半の選手は戦力にならない。そのため指名バランスがどれだけ悪かろうとプロで活躍できる良い選手から取るべきなのだ。岡林を除く野手の全ポジションが補強ポイントの中で指名のバランスを意識する事は非論理的である

今年のドラフトでは課題である二遊間に即戦力を大量に獲得し、主力が居る投手と捕手は将来性を見据えた選手を獲得した。外野手を獲得しなかったのは鵜飼と福元の成長に期待して指名を見送ったのだろう。未来の大砲候補である内藤を取れなかった事だけが唯一の心残りである。だが、3年後の内藤よりも二遊間のレベルを引き上げるために村松を優先したのは過去の悲劇的で致命的なドラフトを考えると大きな進化だった

1位は将来のエース候補として仲地を指名した。強豪校で揉まれていないため体力的な部分などに不安は残る。だが、投げる球は即戦力候補で高橋宏斗と同じく2年目からの活躍に期待がかかる

2位は明治大学のセカンド村松を指名した。彼も癖のないスイングで選球眼が良い。目標キャリアは打率0.275出塁率0.360長打率0.370だろうか。鳥谷のような選手になる事を期待したい。1年目からプロのストレートに力負けせず打ち返すのは難しいだろうが、高めの甘いストレートはレフト前に落とす技術がありそうだ。初年度はOPS.630-650、2年目はOPS.700強、3年目から本領発揮の活躍を期待する

3位の森山投手もバランスの取れたフォームの投手に見えるので5年後に期待する

4位の山浅もスイングが良い。谷繁レベルのキャリアOPS.700を目指して欲しい。頭も良いとのことなので1球1球に意味を込めたリードを出来る選手になってほしい。1年目から第3捕手の座を奪う活躍を期待したい

5位の濱も魅力を感じる選手だ。インコースの真っすぐを打てないとプロでは使い物にならないが、調整中のロドリゲスから長打を打っている。良い所を切り抜いているYoutubeだから当然だが、アウトコースの緩い球を三塁側に流し打ちしてインコースの速球を上手く引っ張れている。1年目の目標はOPS.650程度で実力的には大島が打った.629を下回る可能性が高い。将来的には肩も足もあるので遊撃手か外野手で糸井のような中距離ヒッターになる活躍を期待したい

6位の田中は足が速いので守備範囲が広い。普通なら止められないコースの打球に飛びついていた。高松は足が速いものの盗塁も守備も上手くないので彼に代わる内野の代走、守備固め、バント要員としての活躍に期待したい。打撃の目標はキャリアOPS.630の荒木や京田くらいだろうか。守備要員でも年に2500万円~3000万円稼げる。難病を克服した苦労人でファンも多そうだ

7位の福永は即戦力としてOPS.680ぐらいの活躍を期待したい。目標キャリアはOPS0.675の渡辺博幸だろう。一塁、二塁、三塁、左翼でレギュラーの穴を埋めたり守備固めとして渋い活躍をした今のドラゴンズに足りない選手だ。10年くらい脇役として活躍してくれることを願いたい

育成1位は凄いストレートを投げている松山投手を獲得した。長身で伸びのあるロマン速球右腕というのは中日では地雷の象徴になっているが、何度もガチャを引きたくなる気持ちはわかる。ドラフト上位でなければ良い博打だ

育成2位の野中投手も綺麗なフォームで投げる投手だった。多彩な変化球を持ち、制球が良いという監督の評価が本当ならばプロでもすぐに勝てる投手になる。ちょっとした映像しか見られていないのでよく分からないが、上田のような下剋上を期待する

育成3位の樋口選手も足の速さが武器の一芸選手とのことだ。過去には高松をドラフト3位で指名し卒倒しそうになったが育成3位なら何も文句がない。落合GMが解任された1年目にあてつけのような2017年の高校生優先ドラフトという悲劇は2度と繰り返してはならない。田中と競争して足りない一軍の守備・代走・バント要員としての活躍に期待したい

WARが5を超えるAランクの選手を何人も指名できれば良いが、そうした選手の殆どはドラフトの1位か2位で消える。今年のドラフトではWARが3前後のBランク選手や、WARが1を超えるCランクの選手の卵を多数獲得できた印象がある優良ドラフトだと感じた

何より即戦力の選手を中心に指名し、素材型の選手や代走守備要員の指名を下位や育成に回したのは素晴らしい進歩だ。もちろん答え合わせは数年後になるが、今年のドラフトは数年後のドラゴンズに欠かせない脇役を大量にとれた良ドラフトになると私は期待している

疑問の残るトレード

まず立浪監督の方針に造反した京田のトレードは仕方なかった。京田よりセンスがあってポテンシャルは大きそうな土田や濱が開花すれば、トレードは成功となる。ただ京田との関係が壊れてなければ土田や濱といった新戦力が開花してから京田を放出すれば良いので必要のない博打だろう。この点で京田選手との関係を壊してトレードせざるを得なかったのは立浪監督にも責任がある

一方で捕手が取れると思って桂を戦力外にしたのに捕手とのトレードに失敗しているのはフロントの責任だろう。左投手は足りていないが、木下を休ませられる2番手の実力を持った捕手の方が重要度は高かった。砂田は過去の実績通りに働く事が出来れば京田よりもプラスになる可能性を秘めているが、足りない遊撃手で下位打線なら相応の実力を持ったDeNAの方が戦力的にアップする点が心残りである

一方で涌井獲得のために阿部を放出は短期的には悪手と評さざるを得ない。涌井の方が明らかに実績は上で今後の活躍でも上かもしれないが、今のチームに必要なのは涌井よりも阿部である。先発は既に5本柱が完成しており、最後の6人目は外国人でも良いのに涌井のために数少ない得点源の阿部を放出したのは来季だけを考えると間違いなく悪手だ

ただ落合コーチの方針か不明だが、今年は大野や柳すら球数を2600球くらいに抑えられていた。来季も方針が継続されるならば先発は7枚居ないと1年を回すことが出来ない。そう考えると涌井の獲得自体は間違いではない

楽天のショートを守る小深田は守備指標が平凡なので京田で涌井が取れたなら、間違いなく良いトレードだったと言えた。明治大学の学閥問題から村松の出場機会を増やすために阿部を放出したというネット民の説も可能性としては否定できないほど不可解なトレードだった

現在のドラゴンズでトレードできない選手は高橋、小笠原、大野の3本柱とロドリゲスとマルティネス、野手でいえば岡林ぐらいだろう。これらの選手を放出したら流石に私がいくら立浪監督のファンであるといえど絶対に擁護できない。ただ阿部やビシエドも大島も大事な選手だが将来どれだけ働くかを考えるとアンタッチャブルな存在とは言えない。間違いなく阿部の放出は時期尚早で来季は確実に苦しむ事になるが、このトレードを評価するのは2年後にするべきかもしれない

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