2023-24シーズン前半戦振り返り&これからどうすべきか


前半戦のリヴァプールが予想より少し良かった理由3点

1 機械的な出場時間の管理ローテを導入した
2 クオンサーがクラヴァンレベルで格下相手には使えた
3 ソボスライの守備力が想像以上に高かった 

遠藤やグラーフェンベルフが居なくてもプレミアリーグとヨーロッパリーグの2冠を達成できると言いながら全く期待できないと書いたのは監督の戦術が10年遅れたハンデ戦だからである

劣った監督の戦術でも勝点90以上を稼いだスター集団の実力はやはり凄い。酷すぎる監督の戦術で今季前半戦の首位を決めた主な原動力は選手の品質。だが戦術で大きく劣る監督が遂にローテを覚えた事も貢献した

こちらの記事で褒めた通り、今季は試合展開に関係なく主力選手を壊さないよう出場時間でローテを導入した。これが最大のポジティブサプライズだ。ローテ制度の導入で試合展開に関係なく選手を壊さないよう出場時間を管理するようになった。フラム戦やユナイテッド戦は試合展開や盤面に欲しい駒など無関係に交代。決まった出場時間で機械的に交代を行い始めた

ロボは代表戦で肩を痛め、マティプ、ツィミカスは暴力プレーで壊された。だが他はシティとの激闘で負傷したジョタ以外は短期の故障で済んでいる。昨季FA杯のためにチアゴとバイチェティッチとケイタを破壊した無能すぎる監督が一歩成長したのは大きい

ローテ導入で最も恩恵を受けているのはダイク。ELとカップ戦で休めたのでパフォーマンスが回復している。ACL損傷から回復した選手は2年後には殆どパフォーマンスが戻るものの、稼働率は戻らないという過去のデータを無視するダイク酷使が止まった。ダイクのパフォーマンスは全盛期には劣るが、世界トップレベルのCBに戻った

この立役者がクオンサー。20歳のゴメスから長所であるボールコントロールとスピードを落とし、短所の空間認知や判断力を改善したマイルドな選手。ゴメスほど上手くないので危ない選択肢を取らず、ミスが少なく無難。若いのにクラヴァン級の安定感。チームの穴にならないプレーで貢献している。彼の質がローテ導入に次ぐポジティブサプライズ

最後にソボスライの攻守の切り替えがこんなに早いとは予想してなかった。4年前にザルツブルクと対戦した際は1歳下のジョーンズより下だった選手が数年で急成長していた。ソボスライはジョーンズより頭が良く、試合に継続して出られる環境で爆発的に伸びていた。予想外は以上の3点ぐらい

その他は大体が予想通り。隔年選手のマティプが活躍するのも、ゴメスがRBなら優れた選手である事も、LBでは劣る事も、グラーフェンベルフが最悪の投資になりそうなのもガクポの力不足も予想通り。ブライトンで見せていたパフォーマンスに比べマクアリスターのパフォーマンスが監督の差で劣るのも予想通りだ

内容は完敗だったシティ戦はアーノルドの個人技1発で同点に追いついた。パレス戦もジョンストンの故障でスコットランドや3部レベルがキャリアの大半を占める保険GKに助けられての逆転勝ち。アリソンなら普通にキャッチでき、PLの標準的なGKならほぼ全員が防げたエリオットの普通のミドルすら触れなかったGKのお陰で勝点2を落とさずに済んだ

内容は全くない選手の質を台無しにするサッカーでも、運と選手の質で首位に居れば世間は監督を名将というのだ。サッカーをやるのも見るのも好きなニッチ層を除き、世間はサッカーの内容なんぞに興味がないのだから

11月末から貢献を始めた遠藤

南野と同格でカップ戦要員になる、と思っていた遠藤が初めはユースレベルだったのは若干焦った。ただ本領発揮に1.5年もかかった南野に比べて遠藤は3か月程度で実力を発揮するようになり、彼が居なければ大惨事と思うほどにはチームの穴にならないプレーで活躍している

最初に酷かったのは監督の戦術の引き出しの少なさ、稚拙さに驚いたのか。あの戦術がない環境でプレーするには世界トップレベルの技術が必要だが、遠藤にはない。割り切ったプレーで出来ない事を諦め始めた影響か、シティ戦を引き分けに終えた影響か、自信を取り戻してチームに貢献し始めた

遠藤の獲得で夏の補強は-1点と評したが、彼の獲得は+1点、ファビーニョの放出が-2点とするべきだった。低評価にした原因はレギュラー格の守備的MFの補強に失敗した事と契約年数の長さにあった。MF6-7番手で控えの控えとしてカップ戦要員で遠藤は非常に使える。離脱が多いケイタやチェンボより戦力的な価値は大きくなりそうだ。彼等の方がクオリティが高くても控えの控えとして稼働率に問題があったからである

他クラブ動向

黄色網掛け7チームが予想から外れ。シティがブレントフォードに勝つ想定
ルートンとボーンマス戦は不明なので勝点ペースが少しだけ低い見積もり

シティ ハゲ詐欺師でもマテウス・ヌネスのような身体能力に優れた粗削りな上手くない選手は使えない事、ギュンドアンとコヴァチッチは同じレベルの選手ながら得点力で大きく落ちることを過小評価。どうせ最終的に勝点85くらいは稼いでくるだろうからそこまで外してるともいえない

ヴィラ 大きく成長したマッギンとダグラス・ルイスの能力を見誤った事、元々は83点と評していたベイリーにPL2年目の補正をかけ忘れた事が原因。あとはコンサを3バック右で使う発想力が足りなかった。エメリに完敗

チェルシー 3バックでWBが点を取るシステムを取ると思ったがジェームスとチルウェルが故障で各4試合分ほどしか出られず予想が外れた。若い前線とDFの質で苦しむのは予想通りと言える

ボーンマス 全盛期は控えレベルの選手になると評したソランケが本格化。ヌニェスやガクポと同じレベルの選手になった。正直ここまで勝点を稼いだ理由は良く分かっていない

ブレントフォード トニーの賭博離脱を忘れてた。エンベウモを活かす前線の起点がモペイでは力不足。冬にトニーを売らなければ勝点45は稼ぐだろう

パレス ドゥクレの負傷で守備力が低下。得点力は相変わらず低く、守備の劣化で僅差のゲームに勝ててない。後半戦に上がる見込みも薄い。降格争いに巻き込まれる可能性も0ではない

ルートン パレスとの対戦中にドゥクレが故障したり、CLの連戦でボロボロのニューカッスルと当たったり幸運な勝利も多い。ホームではリヴァプールと引き分け、シティとアーセナルとスパーズに1点差負けと善戦。昇格組で残留争いに食い込めそうな唯一のクラブ

あとは大体が予想通り。サンチョ、マウントというそれなりなストライカーを抱え、DFの質と守備的MFの選手層に問題を抱えるユナイテッドが冬にFWを取ってきたら爆笑したい

アーセナルはシティやリヴァプールと比べて選手が2ランクは落ち、ヴィラと比較しても戦力面はそこまで大差ない。ヴィラはマルティネス、カマラ、ダグラス・ルイス、マッギン、ワトキンスが特別。他の選手は代用可能ゆえ上手くローテしている。デンドンケルを放出しカマラやコンサ・キャッシュの控えを取られると更に脅威が増す

優勝ラインは勝点90以下だろう。勝点90を取ったシーズンと比較してみよう

今季は勝点に直結しやすい得失点差が悪く、内容よりも勝点を稼げている

現状マティプの離脱もあり勝点90を取る未来が見えない。冬の補強は必須だ

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