リヴァプールファン歓喜のローテ導入でPL優勝確率が微増
遂にローテを覚えた某監督
最も過密日程となる12月を前にELベスト16が決まった。リヴァプールが復活したのは優れた選手を獲得した補強の影響で、監督は足を引っ張っている。ただ足を引っ張る部分の状況が少し変わった
監督が足を引っ張っていたのは主に2つの要素である
1つ目は戦術面。個を活かすため連携を設計する能力が著しく低い点
2つ目はローテーションが出来ず主力のコンディション管理が下手すぎる点
だから1920に勝点99を稼いだのに2021はDFの崩壊で勝点69と-30。翌2122はダイク・マティプ・ゴメスの復活とコナテ獲得で勝点92と+23。更に翌2223はチアゴ負傷、ヘンドとミルナーの質が低すぎてMFの大穴をカバーできず。勝点67で-25と選手の質に合わせてジェットコースター型のチームになった
リヴァプールは選手の能力が高いから強い。個の質で殴る、前からプレス。この10年遅れの2戦術で戦っているリヴァプールにとってマクアリスター、ソボスライの獲得は大きかった。ファビーニョ退団は痛かったがレギュラー級の選手がFWから1人減ってMFが1人増えた影響はプラスに働いている
更には欲しかったカップ戦要員の4番手CBがクオンサーで埋まり、ゴメスが手薄だったRBで活躍できているのも大幅なプラス。まさか3部チームの勝率を引き下げたクオンサーがこんなバランスの良いCBだったとは思わなかった
これらの影響により上位陣との直接対決をアーセナル以外は消化して14試合まで勝点84強ペースと成績を少し戻した。今季も監督の戦術面は相変わらず破綻してチームの足を引っ張り続けているが、遂にローテを覚えるという大進歩を遂げた
ケイタやチェンボを使わずローテ下手でチームの足を引っ張り続けた監督がローテを遂に覚えたのだ。FA再試合ウルヴズ、チェルシー、FAブライトンで3試合続けてチアゴ、バイチェティッチ、ケイタを先発させ、3人をシーズンアウトのコンディション不良に追い込みCL権まで逃した監督が遂にローテを覚えたのは素晴らしい進歩だ。Hフラム戦のように配列は何も考えらえれておらず酷い試合になっても選手の質で圧倒すれば勝てるのだ
一方、ピッチ上の戦術面では酷い。酷いどころか更なる悪化が進んでいる。この原因はアーノルドにある。アーノルドを守備時DFから保持時守備的MFにする可変システムの影響からDF起点のビルドアップの質が更に退化した
レベルの高いプレスを仕込める監督と当たれば選手の技術で危ないロストを回避するだけで繋げない。アンフィールドで前から的確なプレスをしてくるチームは少ないので支配率が66%超でリーグ最高。しかしこれは相手の狙い通りに持たされているだけ。アウェーでは50%を切っている
もちろん敵地の7戦中2試合で退場が出て1試合は2人退場だったのは確かだ。だが退場者が出なかったチェルシー、シティ戦も完全にボールを支配され、格下で欧州との両立に苦しむブライトンにも60%持つことが出来なかった
ボールを持たれていても相手の攻撃をコントロールする守備があれば良い。しかし守備も神風特攻プレスで剥がされて大ピンチを作ってはDFとGKの個で失点を防いでるのが実態。アーノルドが真ん中に入り、マティプが右外に張る時にボールを失えばアーノルドがCB、マティプRBというバカげた配置のせいで失点もしている
選手の特徴を活かす配置もない。選手の知能を伸ばす指導もできていない。ただ監督が優れている唯一の点は能力が低い選手を使わず能力が高い選手を使う点である。フィリップスやカバクを選ばず、マティプとゴメスを選んだように能力の高い選手を選ぶ力は優れている
以前からの繰り返しになるが優れた監督が引き抜けるなら監督は変えた方が良いし、優れた監督が引き抜けないなら監督は変える必要がない。ただし、優れた監督に代えなければ圧倒的な強さで勝点100近く稼げるチームに戻るのは戦力で圧倒的な差をつけないと難しい
シティが罰を受けてリーグから追放されたなら、2026年には酷い内容の試合でも圧倒的な戦力差で勝ち続けた時がフラム戦のように戻る可能性もある
また今年はシティの戦力が僅か19人だ。特に2列目中央の層が薄いので終盤まで調子を維持できるか不明だ。既にエティハドの直接対決は2列目中央のアルバレスが下手すぎて攻撃が遅れ速攻を完結できず引き分けに終わった。あそこにデブライネが居たら虐殺スコアになってもおかしくないほど戦術面での差はあったが、アーノルドの個人技1撃で大きな1ポイントを得ている。彼等が2列目中央を冬に戦力を補強しなければタイトル奪還の可能性はある
誰がどう考えてもアーセナルよりも戦力は圧倒的に優れているので優勝するチャンスは残っている。ただ昨季も圧倒的に戦力で下回るニューカッスルやマンチェスターユナイテッドの後塵を拝しCLを逃しているのだ。過度な期待は禁物である
監督問題はドイツ代表を救うため監督にはチームを去って貰った方が良いと私が確信しデゼルビの引き抜きを妄想しているだけの話に過ぎない。現実は優秀な監督が率いるチームとの対戦では戦力を台無しにする醜いサッカーがピッチ上で繰り返されるだろう。あと3年半も…
リヴァプールに不足しているのは？
リヴァプールを強化するために必要なのは優先順位順に下記4点だけ
1 守備力とカバー範囲に優れた守備的MFの獲得
2 アーノルドをMFにコンバートし、ゴメスと争える右利きのDF獲得によりロボとツィミカスをLBに戻す
3 優れた監督(デゼルビ)の獲得
4 適度な世代交代(マティプ・チアゴ・アドリアン)
1と2は今すぐ着手して貰いたい所だが、アンカー問題は解決できるタレントが冬の市場に出てこないのでバイチェティッチの出場機会だなんだと難癖をつけて夏に先延ばしするであろう
アンドレは可能性を秘めた選手だが、アンカー問題を解決するには力不足であり、かつアンカーですらない。値段が高騰したり出場機会を要求されれば間違いなく破談になる。だが得意のタンパリングとデータ分析班の能力評価により、来夏に選手を獲得してアンカー問題の大枠は解決する
現時点でのトップターゲットは恐らくヴィラのブバカル・カマラだ。ヴィラがCL権を取れなければ売上的にFFPの観点から引き抜けると思うが、CL権を取れば話がまとまらず別の選手になる可能性も高いので現時点の、だが…
どっちにしろアンカー問題は来年の夏にある程度は解決するが冬に解決する可能性は低い。今季は残るレベルの高い試合がシティ戦の1試合だけなのでマクアリスターのアンカーで妥協するしかない
2も監督を代えない限り実現する可能性は低そうだ。そもそもアーノルドをMFコンバートするならグラーフェンベルフを取った意味がない。彼はケイタのように完璧なトラップやターンで相手を剥がし精度の低いパスでチャンスを潰している。またチームメイトを助けるポジショニングもケイタのように劣る。パスが劇的な進歩を見せない限りトップクラスの選手に成長する兆しは全くない。フィルミーノより格段に劣るガクポといい、リンダース案件の補強は微妙。投資対効果を考えると非常に悪い
ジョーンズやエリオットと大差ない彼より今夏に必要な戦力はアーノルドのポジションを前に出すためゴメス系の右DFだった。ライプツィヒのシマカンが狙っていた2年前に比べて成長しているので私の中で第一候補だが、今夏の獲得は難しかったのかもしれない。どちらにせよライプツィヒは冬に戦力を売るのは殆どないので右DFも夏まで期待できない
冬の補強があるならマティプ後継のCBが最も可能性が高そうだ。クオンサーをマティプの後釜として来季から3番手にするのは苦しい。コナテの稼働率が高くない事、ダイクも衰えてフル稼働が不可能になっているのでマティプの後釜を獲得しても年1500分程度の出場機会は与えられる。ダイクが抜ける2026夏に23歳となるクオンサーが3番手CBになれば文句ない。マティプ後釜のCBはニースのトディボがターゲットと予想するが、冬市場に出てくるかは不明だ。市場に出る事なくマティプの故障が重傷ならナット・フィリップスが帰還する事になるだろう…リヴァプールの戦力が冬の移籍市場を経て劇的に改善する可能性は低い
前半戦の能力採点
GK
GKアリソン 95 繋ぎ以外の全てで神
GKケレハー 85 2年前の調子を取り戻し世界トップ10～25レベルの実力
GKアドリアン 77? もはやコーチ
CB
CBダイク 88-90 最大の武器だった加速性能は特に大きく衰えたのに未だ世界トップクラス
CBコナテ 88-91 スピード・切り返し・加速を活かしたカバーは全盛期ダイクに近い。パス・足元などは平均的CBレベル
CBマティプ 85-87 衰えた。けど世界トップ10-20に入る隔年選手
CBクオンサー 78-80 強みも弱みもないバランス型で急成長中。年齢考えると素晴らしい
LB
LBロボ 87-91 衰えたけど世界トップを争うLB
CBロボ 81 3CBの左としては平凡。優先する価値が全くない
LBツィミカス 83-87 LBとしては世界トップ7には間違いなく入る
CBツィミカス 76 3CB左としては戦力外
LBチェンバース 67? LBとしてはトップで使う価値がない。本職?の3CB左でも現状では厳しい
LBスカンロン 68? チェンバースよりはLBっぽい。その代わりCB適正がない。現状では未来を感じない
RB
RBアーノルド 77-91 パフォーマンスの安定感0。ハマると凄いが酷いと穴
RBゴメス 85-87 上下動をサボらず中央で失わず上手い。守備もボール拾いと裏のカバーに限れば超優秀。広いスペースの対人と空中戦は課題あり
CBゴメス 80-83 4バック型のCBとしては平凡。4-5番手レベル。クオンサーにそのうち抜かれそう
RBブラッドリー 78 カップ戦なら使えるレベルに成長した。現状レギュラー獲得は厳しい。要はネコ・ウィリアムズみたいなレベル
3列目MF
MFマクアリスター 83-91 アンカーとして見れば守備が劣って平凡。3列目のMFとして見れば素晴らしい選手
MFチアゴ 92? コンディション不良。もはや幻。稼働率に合わせた大幅減給がないと契約延長は厳しい。登録枠的にも別れの時は近い
MFバイチェティッチ 85 出場は僅か2試合。成長してたが慣れないRB→DMFのアーノルド役で使って再びコンディション不良に
MF遠藤 75-80 徐々に本領を発揮。故障の離脱がなければカップ戦要員では十分に使えそう
MFマコーネル70? プレシーズンからトラップ技術とロングパス以外に印象がない。モートン系だが更に少し下
2列目MF
MFソボスライ 85-90 攻守で切替が早くてビックリした。全盛期チェンボの完全な上位互換。壊れなければまだ伸びそう
MFグラーフェンベルフ 81-83 運動能力を上げて守備技術とヘディング技術を下げたケイタ2世。ポグバの問題児感は全くないがスケール感も劣る
MFエリオット 81-83 トラップ技術とパス技術が去年よりは伸びてロストが減った。まだまだ穴は多いが格下には使える選手になってきた
MFジョーンズ 81-83 シティ戦でレベルの低さを露呈。19-20から4年の成長ペースが遅い。能力バランスが悪く適性ポジションがシャドーのFWに見える
MFアーノルド 80-91 やる気が安定したらトップレベルの選手。個人的にはMFコンバートを希望
FW
FWサラー 90-93 ドリブルとヘディング以外は殆ど凄い。何よりも稼働率が凄いので可能なら売りたくない
FWディアス 88-92 チームがダメな時ほど個で光れるドリブラー。裏抜けで得点力が爆発するがそれ以外の得点力は並。チームとして活かせてない
FWジョタ 90-92 高い次元で何でも出来る。稼働率の安定感に課題
FWヌニェス 81-88 身体と心のコンディションが良い時は次期エースの片鱗を見せるが弱点も多い。現状アトレティコ時代のトーレス感が強い
FWガクポ 83-85 サッカーIQは素晴らしいがスタメンを取るほどのスケールを感じない。5番手レベル
FWエリオット 82-83 長く時間が取れる時はキックの質が非情に良い。足を遅くした完成前のコウチーニョ系
FWドーク 76-77 縦に抜くスピード・反転技術は高い。前に進んで行く以外のスキルがまだまだ低い。来季はチャンピオンシップへローンに出したい
理想のスカッドは上記の24人構成だが現在のリヴァプールもアーノルドをMFにコンバートすれば24の戦力/保険を抱える理想のスカッドに近づいた。もちろんアンカーが不在でバランスが悪い部分もあるが、スカッドの完成は間近に迫っている。補強を支えるデータ分析チームの見事な勝利と言える
遠藤獲得の是非
遠藤もカップ戦(保険)要員として最も大事な文句を言わない、故障しないという点で貢献を始めた。最初は守備が穴すぎてカップ戦でも微妙なモートンレベルで冷や汗をかいたが、徐々に本領を発揮しだした。最初は下手すぎてチームのスピードについていけなかった南野と似たキャリアを描きそうだ
使いたい肝心な試合でいなかったケイタやチェンボよりカップ戦要員としては貢献度が高くなる可能性は高い。ただ最も使いたい1月にアジアカップで不在となるので大差ないかもしれない。遠藤のせいではないが…
総論
相変わらず監督の戦術は破綻しておりチームを連携させ個の能力を活かす力が低すぎる。しかしフラム戦でマクアリスターやソボスライを同点でも交代させたように希少な戦力も含めてローテを覚えた事は大きな進歩である
またサウジマネーで選手を引き抜かれた影響からPLのライバルチームは選手の質が下がったこともあり、苦手な1月の失速が以前よりマシになる可能性がある。現監督の退団まで彼の戦術がチームの足を引っ張る事は確定だが、戦術が酷かろうと優れた11人をピッチに並べればポイントを勝ち取れる
マルコ・シウヴァには常に戦術的に完敗しているが通算成績は4勝2分1敗。土壇場でオリギの決勝ゴール、PKでの1‐0、アーノルドやマクアリスターのスーパーゴール等があって戦術の大敗を選手の力でひっくり返してきた
チームの戦力と相性が最悪の作戦アーノルドシステムで選手の足を引っ張る監督も選手の能力でカバーできる可能性がある。とりあえず選手を壊さないよう監督がローテを覚えた事に私は感動している。だが戦術面の進歩は全く期待できず足を引っ張り続けるだろう
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