2024年のドラゴンズに注目せよ?-新星現る投手陣、未来への課題とドラフトについて-


昨季掲げた投手の課題

上記で優勝するために昨季の戦力から下記の積み上げが必要だと書いた。
4 先発6番手
6 左の強打者を抑える中継ぎ

先発6番手の穴は涌井を獲得して埋めたが大野の故障で結局は空席のまま。更には立浪監督の無能なマシンガン継投によって長いイニングを投げられる先発が好まれたことから松葉を上手く戦力に活用できず

それでも涌井とメヒアを獲得したこともあって防御率上では改善した。来季は大野の復帰、梅津の回復、根尾の成長もあり阪神に近づく先発陣となる。

左キラーの中継ぎは砂田を獲得し岡田の腕を下げて作ろうと試みた。しかし砂田はそれなりに優秀な敗戦処理というDeNA時代と変わらず岡田は故障。福の復帰と齋藤の加入で戦力強化。投手陣は主力に故障者が続出しない限り立浪監督の就任前から1ランク、2ランク上がった投手陣を形成できそうだ

今季の投手成績と評価

先発

小笠原
25先発でチーム最多イニングを投じた。前半戦15先発で9HQSと文句なし。後半戦10先発2HQSで防御率5.31と大失速。2月の時点で仕上がっていて夏にバテるのは明らかな調整ミス。来年は1年を通じた活躍に期待
高橋宏斗
25先発で規定投球回に達し防御率2点台前半。高卒3年目にしては文句なし。四球が多くイニングを稼ぐのに苦労したが苦手の巨人戦に最多7先発でこの成績に誰が文句を付けられるだろうか

24先発で小笠原に次ぐイニングを稼いだ。小笠原とは対照的に後半戦10先発9QS6HQSと調子を上げたがラスト7戦52+1/3イニングを投げて防御率1.03で1勝3敗という闇。複数年で昇給を
涌井
21先発。阪神の粘り強い打撃には打たれた印象が強いがヤクルト、DeNA、交流戦は素晴らしい活躍。来年は間隔を空けフレッシュな状態を維持したい
松葉
11先発で5イニング2失点以下が8度。5回は5回1失点以下。期待を裏切ったというよりはマシンガン継投で長いイニング投げられない松葉が割を食った。来年は梅津の復活で先発争いが激化するためロングリリーフ転向も考えたい
福谷
11先発で2回2イニングも持たず2回4イニングも投げられず。安定感なく救援に転向もボコボコに打たれてシーズン終了。来季はラストチャンスの年に。コーチの方が期待できるのが悲しい
仲地
9先発で5回1/3、6回、7回0失点の好投が3回。抑える時は被安打も許さない投球で四死球を連発しても抑える。1巡目は強くて中継ぎなら即戦力候補。先発では2025年以降の活躍に期待
メヒア
8先発で負傷交代した試合、デビュー戦、復帰戦を除く5回すべてで6回2失点以下に抑えて救世主となった。来季も安定した投球でローテを期待したい
鈴木
3先発で1度も6イニング投げられず。ドラフト1位から6年で敗戦処理が中心の悲しいキャリア。チーム次第ではもっと活躍できると思われ現役ドラフト候補になりえる
梅津
TJ手術から復帰して3先発で19イニング3失点。最後は圧巻の8回1失点で復帰勝利。来季は間隔を空け20先発120イニング防御率2.5前後とエース級の活躍に期待したい
根尾
2先発でQS2回。荒れ球だがピンチになると右打者のアウトローにビシバシと150㎞/hの直球を決めて抑える劇場型。球に力があり被長打が少なく2年目であっさりローテ級に成長。野手での牛歩な成長を考えると驚異的な速度
大野
1先発。大野の穴を痛感したシーズンだった。もう若くないので大野に頼り切る訳にはいかないが、涌井と共に感覚を空けてローテの一角を任せたい

中継ぎ

藤嶋
2軍も含め60登板越え、56救援で防御率1.07。今季も様々な状況で登板して安定した活躍を見せた。根尾の勝ちを消したのはベンチの使い方が悪い
勝野
50登板で自身の目標を達成。初回は圧巻の投球も力でねじ伏せる以外の投球ができないために先発では長いイニングの負荷に耐えられなかった。中継ぎは天職だろう
清水
2年連続の50登板を達成。今季は7回を任されず役割がバラバラで苦労した。四球から崩れる悪癖は昨季と変わらず。もう1ランク上がって勝ちパターンで安心させる投球に期待したい
マルティネス
48登板。神
祖父江
45登板。序盤は圧巻の投球を見せる日も多かったが酷使でアウトローの制御を失って2軍落ち。9月はロングリリーフまでこなした。36歳の功労者ながら雑用までこなしたのはとても偉い
松山
36登板。2軍と練習試合を合わせると60登板に近いが1軍は3連投0連投7回。球の力でごり押し投球は見てていて気持ち良いが暫く50登板に制限したい
田島
32登板。シーズン序盤は亡命、藤嶋と福の故障離脱もあり出番が多かった。残念ながら過去5年で4年防御率が4.5以下と苦しい。功労者だが来季がラストチャンスになりそうだ
齋藤
31登板。シーズン途中の加入ながら加入後16試合連続無失点もあってチーム8位の登板数。防御率0点台と圧倒し勝ちパターン入り。左右関係なく抑えたがワンポイント登板も多かった点は疑問符が残る

29登板。5月に復帰するといきなり13登板。松山と齋藤とフェリスが出る前とはいえケガ明けのベテランを酷い酷使した首脳陣の起用には疑問が残る。フレッシュな5月と9月は素晴らしい成績。来季こそ慎重な起用に期待
フェリス
19登板。8月末デビューでこの登板数なのがお察し。ロドリゲスと比較すると大きく劣ったが雑な起用でよく耐えた。制球が怪しい日の安定感が清水と同様にない
砂田
18登板。シーズン序盤それなりの活躍を見せたが盤石のリリーフ陣が揃った終盤では出番を減らした。敗戦処理で雑に投げる分には十分な戦力。来季も最低で今年レベルは投げてもらいたい
岡野
15登板。中継ぎ転向で一瞬の活躍を見せた。連投やイニング跨ぎでの結果が高齢の祖父江未満だった事から戦力外。2軍では活躍してたが初めて2軍でも打たれ1軍での武器が足りなかった。お疲れさまでした
橋本
13登板。ストレートのパワーとスライダーは一級品でようやくドラフト2位の片鱗を見せた。メンタルが弱いのか3連続死球や稀に2軍でも大炎上する。最高の敗戦処理を目指すか、もう一皮むけてほしい
上田
13登板。誕生日の前日に打ち込まれ2軍落ち。リリーフに回された点を同情するファンも多いが吉見もキャリア序盤は防御率2点台でリリーフへの配置転換もあった。23歳にローテの一角を取り25歳でローテの柱になれば良い
谷元
7登板で引退。大炎上で防御率は良くなくてもそれなりに抑えてくれた。
福島
4登板。開幕前は川上憲伸の注目選手に挙げられたが故障で離脱して不振。何が良いのか分からない状態に落ちてしまった。まだ高卒3年目だが大学を経由した同世代に勝てるよう来年を過ごして欲しい
近藤
1イニング10失点でボコボコにされた場面を見てないので何も言えないが、よく周りの力を借りずに投げ切った。その点だけを自信に崖っぷちの来季を乗り切ってほしい

来季展望

先発

ドラフト1位が目立つ先発ローテ陣。2位は梅津を除いて外しまくっている

軸は高橋宏斗、小笠原、柳、メヒア。ここに梅津、大野、涌井が間隔を空け登板する。根尾と仲地と松葉と上田が競争。11人で6枠を争う戦力は十分

しかし2024年オフは柳が特例次第で国内FA権を得る。2025年オフは小笠原の国内FA権とメジャー志望もある。先発は中継ぎより長寿の選手も多いが涌井と大野は高齢。松葉と福谷も3年後の戦力とは考えにくい。森山と松木平の成長だけでは足りない。2年後、3年後に戦力となる選手が各1人は欲しい

中継ぎ

1996年の齋藤1997年の勝野1998年の藤嶋1999年の清水2000年の松山が揃うリリーフ陣

2024年でマルティネスと契約が満了。メジャー挑戦には亡命しかない現状で先行きは不明だが絶対的な守護神の去就は気になる所。ただ1996~2000年の5世代揃っておりある程度は穴を埋める事が出来るだろう。1軍は若く実績のある投手が揃う一方で2軍は森、石森、橋本が苦戦中。彼等が1軍の敗戦処理レベルになってくれないと選手層の問題は解消しない

仲地が勝野と同様に初回や1巡目は抑えているので中継ぎに回せば即戦力になると期待できる。指名は先発型の大器を中心に指名し、先発争いに負けた投手に中継ぎで経験を積ませる方式で問題がない

補強ポイントと優先順位

1 3年後に戦力となる先発。右左問わず。1年目から2軍で投げられる
2 3年で1軍に上がれる打力特化の若い一塁手。ドラフト4位までに指名
3 3年後に戦力となる先発。右左問わず
4 3年後に戦力となる先発。右左問わず
5 守備に優れる遊撃手。大学生や社会人で左投手に強いのが理想
6 石川と争える三塁手。外国人でも可
7 松山タイプの二芸パワー型の投手
8 石橋と宇佐見の間の世代を埋める捕手

指名ポイントと噂

上位指名
先発投手-常廣(青山大)西舘(中央大)前田(大阪桐蔭)高(大商大)古謝(桐蔭横浜大)
上位・中位指名
強打の一塁手-佐倉(九州国際大附属)真鍋(広陵)
強打の三塁手-上田(明治大)
中位・下位指名
先発投手-東恩納(沖縄尚学)森田(ホンダ鈴鹿)東松(享栄)
遊撃手(大卒・社会人卒)-武田(日本新薬)
中継投手(大卒・社会人卒)×2(?)
ロマン砲-村田(皇學大)
育成指名
一芸に秀でた投手(高卒・大卒)

個人的な希望

1位 常廣(青山大)>前田(大阪桐蔭)=武内(國學院大)
2位 高(大商大)=古謝(桐蔭横浜大)>上田(明治大)>佐倉(九州国際大附属)
3位 佐倉(九州国際大附属)
4位 東恩納(沖縄尚学)
5位 武田(日本新薬)
6位 森田(ホンダ鈴鹿)
7位 村田(皇學大)
育成 素材型の投手×1~2

まず3年後にエース候補となれる選手で青学の常廣を第一希望にした。直球は雑にストライクゾーンで勝負できるキレ、楽にカーブでカウントを取れる点に魅力を感じる。決め球のフォークもストライク→ボールの時は打てそうにない

続くのは大阪桐蔭の前田。カウントを取れるカーブかスライダーに空振りを取れるチェンジアップがある。ストレートのキレもまあまあ。武内も制球が良い左腕でストレートのキレがある

大商大の高と桐蔭横浜大の古謝も2位なら成功と言える。直球のキレが良く変化球もそれなりにカウントを作れる。コースにきっちり投げ抜けるようになればローテに入れる素材と見た

高校生では直球待ちでタイミングを外された時に上手く間を作ったスイングが良かった佐倉が2-3位指名で取れるなら欲しい。36番指名だと野手が13人は指名されると考えると現実的ではなさそうだが今年は投手が豊作。真鍋や沖田などタイプが似た選手次第では3位で取れる可能性も0ではないだろう

東恩納も3-4位で指名できれば将来のローテ候補に欲しい。背は小さいが投げる球が良くて山岡を目指せる素材だと思う

日本新薬の武田は左打ちだが左投手の方が打率が高い。ホンダの森田は大学時代の映像は直球のキレが素晴らしく下位なら欲しい。村田は全く見た事がないがガタイがデカいので細川枠でロマン投資したい

仙台大の辻本は期待したが私は指名の魅力を感じなかった。捕手でも城野を見たがプロに来るより社会人で出世した方が成功しそうと感じてしまった。契約金を考えてもヤクルトの育成を切られた松井の方に魅力を感じる

山形中央の武田もU18世界大会を見る限り野手ではそこまで魅力を感じず。山形の県予選は石垣が無双するレベルで甲子園も勝率3割程度

名城大の岩井も鈴木博志を1.2ランク上げたレベルにしか見えず。直球は良いがカウント球と決め球が見えず4位以下で取れるならという感じに見えた。下村と中央大の西舘も先発より短いイニングの方が活躍できそうと感じた。ドラゴンズに必要なのは中継ぎよりも未来の先発で優先度は低い。道都大の滝田は制球の点で魅力を感じず。東松も今年の投手だと上位指名する価値は感じなかった。5位ぐらいで取れるならという印象

未完の大器を上手く育てられない一方で完成度の高い投手は高い確率で戦力になっている事を考えると細野にギャンブルするのも違うと思う。80%の力で抑えられる球を投げているので出力を抑えて制球が付くなら魅力的だが…

ドラフト候補の総括

今年は豊作と言われるが量は豊作で間違いないものの、2020年と比べ投手も野手も質が落ちる印象。特に野手は磨かれていない原石が多くプロ入り後にどれだけ努力できる才能があるか、スカウト力と育成力が試されそうだ

今年は大学生の即戦力投手が多いと評判だが、圧倒的なスタッツを残す投手は少なく防御率3.5で100イニング投げる楽天の荘司型が多い印象。防御率3.5で100イニングのタイプは松葉で間に合っており1位は3年後に戦力化できる常廣と前田に拘ってほしい。中位/下位は祖父江や谷元や田島の後継者となる選手を狙っていきたい

甲子園も慶應高校、佐々木・真鍋をメインに見たが松坂大輔や田中将大などのバケモノ投手、大谷や森のようなバケモノ打者は居なかった。高校の時点でプロに進まないと勿体ないと感じる野手は殆ど居ないので何も不思議な事ではない

個人的に進学が無駄だと思えた高校生の野手は大谷、現オリックスの森など20年で10人程度しか記憶にない。(筆者は野球を専門に追ってないので村上の高校時代を知らないほど浅学)

個人的には高卒が好まれる捕手以外は1年目から2軍で試合に出られるレベルの野手だけプロに行くべきだと思っている。1軍と2軍を合わせて先発できる野手は210人以下。試合に出られず練習ばかりでは野球に嫌気がさす。1年目からプロの2軍で試合に安定して出られるほど最低限の結果を残せる実力を持った高校生は稀

野手はピークを迎える27歳~31歳に活躍するため、25歳までに才能の片鱗を見せてスタメンを勝ち取れば良い。そのため大学や社会人で試合に出た方が良い選手が多いと感じる

甲子園大会は慶應高校の様な穴がない総合力に優れるチームが有利であり、個人でずば抜けた能力があっても出場できるとは限らない。したがって筆者が見てない選手の中に優れた選手が存在する可能性はある。なんにせよ今年のドラフトはチームの命運を左右する大事なイベント。楽しみである

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