リヴァプール2−0レスター

アリソン6ダイク7マティプ8ロボ7アーノルド7ファビーニョ8チアゴ9ジョーンズ4ディアス7フィルミーノ7ジョタ8エリオット2サラー6南野-クロップ7

MOM チアゴ

レスターにとってヴァーディの不在は大きかった。14分すぎのマディソンから縦へのパスをダカは受け止めてしまったが、ヴァーディならば上手く身体を使って前へボールを運ぶ方に持っていき無理矢理シュートに持ち込んでいたはずだ

細かい修正点を挙げればキリがないものの、全体的な話で言えば試合を支配して快勝だった。今日のスタメンの右WGにサラーを加え、前線にマネを含めてローテするのがこれからのベストメンバーだろう

ジョーンズ

課題は攻守に渡ってとにかく状況判断能力がないことだ。ただ、そこさえ身につけばこのメンバーの中に入っても見劣りしないだけの逸材である。攻撃時の話では34分45秒あたりのボールを貰った場面では前を向いてジョタにパスを出すべきだったが、無駄なキープをして危険な位置でルックマンにボールを奪われたのはいただけない

守備で悪かった所は枚挙にいとまがない。3分すぎのスマレにボールが入った所で遅れてプレスをかけたのは危険すぎる。スマレが昔のヘンダーソンの如くフリーなのにも関わらず無思考でバックラインに戻した事と右サイドのオルブライトンもボールを受ける意識がなかったのでピンチにはならなかったが、危険なプレーだった。その後も最前線まで飛び出して中央左をガラ空きにしてカウンターを受けたらピンチの場面を作った。ここもチアゴが刈り取って助けてもらった。下手なスマレのところでボールを奪ってショートカウンターに繋げるのがチームの狙いだったのかもしれないが、あのタイミングでプレスをかけても穴を空けるだけだ

8分10秒のシーンもスマレへのプレスが遅れてマディソンを経由してダカへのスルーはパスが乱れたので大きな問題にはならなかった。ゲーゲンプレスを頑なに守るのも良いが、周囲を確認していないから状況判断ができていないのは問題だ

11分の場面でファビーニョが相手と競り合ってハイボールを戦っている場面でも後ろをカバーするという意識でプレーしていたため、前にボールが転がったあとも後退し続けてホールの前進を許し、ファビーニョと連携してプレスに行くのが遅れて前へのパスを許した。マティプの素晴らしい反応で事なきを得たが、とにかく守備の判断力と先を読む力が低い

12分23秒のスマレにプレスをかけてオルブライトンに通されたシーンも彼のプレスの遅れによるもので、ファビーニョがカバーするはずのエリアを任せずにポジションを右に寄せた判断力の低さと集中力不足に起因するものだろう

オルブライトンが単騎で仕掛ける能力がないこと、ロバートソンが1vs2でも守備を成立させられる脅威的な守備力があること、ディアスが戻ったことでディレイは出来た。が、ディアスがジャスティンのオーバーラップを見落としたため、ポケットを使われてピンチを作られた

こんなにも文句をつけるのは彼にはロフテッドパスを除いたトラップ、ドリブル、パスに極上の技術があるからだ。また初速と最高速度にアジリティとストレングスとサッカー選手に必要なフィジカル全てが揃っており、この部分で優れてはいないファビーニョとチアゴを補う事ができる存在だ。ジョーンズがスペースの管理をできるようになれば最高の補強であり、期待しているから文句をつけている

ファビーニョやチアゴのボール奪取能力をジョーンズが身につける必要はないが、彼らのポジショニングと判断については今すぐ真似して上達する必要がある。マティプが攻め上がって空けたポジションの裏をシュマイケルに狙われた12分のシーンもファビーニョがカバーして事なきを得たように、誰がどこにいるのかという意識が高ければ自然とポジションは正しい位置を取れるものだ

ファビーニョは37分30秒すぎのアーノルドの裏を取られてマティプが右サイドへルックマンをマークするため釣り出されたピンチでも彼の裏を狙ったホールの飛び出しを見た瞬間にスプリントをかけて潰してCKに逃げた。ジョーンズにはこういったプレーが自然に出来るようになって相手をディレイさせる力を身につけて欲しい

そうなれば文句なしに彼はこのスタメンに割って入るだけの才能がある。あれだけ守備の判断ミスが多かったにも関わらず採点が4なのは攻撃面では起点になるプレーが出来ていてよかったからだ

ファビーニョ

守備と彼自身の持ち場での技術は最上級だった。しかしながらヘンダーソンやミルナーといった何も考えずに前へ大きく蹴り込む選手やワイナルドゥムといったバックパスしか選択肢がない選手やバカヨコなど中盤を使えない中盤と長く一緒にプレーしていたためか攻撃時のプレーが単発で終わる事が多い。フィルミーノ、チアゴといった狭いスペースでも周りを使えるスーパーなMFに囲まれると彼の課題が見えてくる。フィルミーノやチアゴがボールを持てば大体もう1度ボールが戻ってくるにも関わらず、プレーを止めて彼らのサポート要求に応えられず連携ミスが多い。この点だけは改善が必要だ

ディアス

フィジカルは弱いと思っていたのだが、ジャスティンとの競り合いでは普通に勝っていた。14分45秒すぎにジョーンズへバックパスすれば良いところを無駄にドリブルでピッチを横断していった場面もあったが、56分よりちょっと前あたりのロボへのバックヒールや66分20秒あたりにボールを奪ってから縦へジョタに出した場面など連携も非常に優れていた

数的不利の苦しい局面でも個人で突っ込んでいたのはポルトで役割として担っていた事なのだろう。87分59秒あたりのロバートソンのパスなどトラップはもう少し上手くコントロールして欲しいが、危惧していたプレーの判断力はむしろ優れており良い補強になりそうだ

ロバートソン

今更いう話でもないが世界最高の左バックである。18分10秒あたりの苦しいビルドアップで相手のプレスに全く動じずボールを運んでジョーンズへパスを通す技術、最近は昔ほどの獰猛さがないので若干下がったが鉄壁の守備力。トラップ、ドリブル、パス、身体能力の全てが揃っている

38分20秒あたりのCKからボールを奪ってカウンターに繋げた際にカウンターの枚数が揃っているので1度受けて欲しいという意図を持ったパスが裏に欲しかったディアスに繋がらず危ないカウンターを受けかねない場面での切り替えの早さは驚異的だった。チアゴもすぐさま反応してガッカリして帰陣が遅かったFW陣とアーノルドの為にファウルでプレーを切った。彼らのこうしたプレーは非常に大きい

エリオット

正直に言えば彼は今季のワーストパフォーマーだと私は思っている。とにかく右足を使えないのが痛くてワイナルドゥムほどではないがビルドアップが詰まる原因になっている。またポジショニングが絶望的なジョーンズとは異なり、身体能力の低さで中盤に穴を空けるのが痛い。74分すぎの1vs2となったプレーではサラーがマークするべき選手に手を広げて危険な内側の選手へのパスを許したように、ジョーンズに比べれば判断がマシという程度で守備の判断力もそれほど優れてはいない上に足も遅い

まだ18歳なので当然と言えば当然なのだが、PLやCLでよく起用されるメンバーの中で最も能力が低い。ジョーンズには超絶技巧のトラップやドリブルとフィジカルがあるので将来が楽しみであるが、エリオットが優れているのはトラップとロフテッドパスやカーブをかけたシュートやパスなどキックの部分だけ。右足が使えないので周囲と連携してボールを前進させる力が低く今季の戦力ではない

プレー単体では素晴らしいプレーも存在するが、試合を通してよかった事はプレシーズンまで遡らないと1度もない。この日もポストに直撃したサラーのシュートに繋げたパス以外は何もプラスになる仕事はできなかったが、大きな故障明けなのでゆっくりと成長していけば問題ない

中央から全く逃げなかったりサイドに開いたりプレーが極端なのはベンチからの指示を忠実に守っているのかもしれない。そうした姿勢が好かれて起用されているのかもしれないが、現時点での能力で言えば南野と同じカップ戦要員の1000分以下の出場時間が妥当と言えるものだ

18歳の時のアーノルドも彼と同レベルくらいの選手だったので将来には大きな期待がかけられているが、今後の成長がなければ凡庸な選手に終わってしまう。MFとして大成するかと言われたら相当に怪しく、狭いスペースで素早くパスを回す能力の高さを活かせる偽9番での起用なども含めていろいろな可能性を長期的に見ていく必要がある選手だ

間違ってもフォーデンなどと比べてはいけないし、マウントどころかサンチョやサカといったレベルの選手とも現時点では比較対象でない。ファビオ・カルヴァーリョもそうだが、期待値が大きすぎて良いことは何もない。子供は子供らしく少しずつ出来るようになっていけばいいのである

チアゴ

全ての道はフィルミーノとチアゴに通ず、といった試合でただただ神。いうことないです。彼とファビーニョがMFとして先発した試合はこれで18戦17勝1分45得点7失点になりました。もちろん彼らがピッチを後にした時のデータも含まれているので完全な指標ではないですが、チアゴが故障明けでパス精度が悪かったウェストハム戦のような日じゃなければ見ていて安心感が違います

彼は4年間で10回程度だけ凄まじく10試合程度酷くて残りの70試合程度は良くも悪くも存在感がないケイタのような選手だったり5年間で15試合ほど素晴らしいパフォーマンスをして20試合ほど酷いパフォーマンスで200試合ほど最低限のパフォーマンスを見せたワイナルドゥムだったりヘンダーソンなどと比べるレベルの選手ではない

彼が比較されるべきはクロースだったり、シャビだったり、キミッヒといった世界最高レベルの選手たち。相手に破壊されない限りは年に2500分程度は稼働できる選手で素晴らしい補強となったリヴァプールのMFで最高の選手だ

彼とファビーニョが故障せず、試合を決める時間帯まで出続けてくれればPLも逆転優勝のチャンスはある。次の次のインテル戦という天王山1つ目に臨むため、次がノリッチ戦なのは大きい。今日フル出場させたのは次のノリッチ戦は30-60分程度の出場に抑えるからだろう。4冠目指すためにも油断せず次の試合も勝ち切りたい

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