2024年のドラゴンズに注目せよ?-野手は貧打地獄を抜け出せるか-


昨季掲げた野手の課題と今季の野手総括

上記で優勝するために昨季の戦力から下記の積み上げが必要だと書いた。
1 OPS.850打てる外野手
2 OPS.850打てる三塁手か二塁手
3 OPS.650打てる二遊間
5 木下を休ませられる第2捕手
7 打てる高校生捕手

なぜなら2022年のドラゴンズ打線は下表の通りだったからである

https://nf3.sakura.ne.jp/2022/Central/D/t/fp_all_data_etc.htmより2022年のドラゴンズ打線
木下の控え捕手、二塁手、遊撃手、外野手に課題があった

目標に対する結果は下記の通りだった

目標1◎細川の覚醒→目標1に惜しくも届かず
目標1×穴の多いアキーノが失敗
目標1×アルモンテがピークを過ぎてストレートを打てず失敗
目標2△石川のほぼ完走→目標2に大きく届かず。ただし初の2桁HR達成
目標2×高橋周平の再生に失敗。他チーム控え以下の成績
目標3△福永が約300打席を経験し目標3に近い水準。守備と体力に課題大
目標3△カリステが前半戦に苦しむも後半戦に順応し目標3に近い水準の成績
目標3×村松が約300打席を経験し可能性は見せるも体力と攻守に課題あり
目標3×龍空が約300打席を経験し守備は健闘も春先と対左投手に苦労
目標3×新人がバテた後も中堅内野手が実力不足、若手は2軍でも微妙
目標5〇宇佐見が守備に若干の不安も一時は文句なしの打撃を見せる
目標5△石橋が一瞬の輝きを見せる
目標7△山浅が最低限の出塁率と低い三振率を記録。味谷も1年目に比べ成長
×チームの柱であるビシエドと大島の成績低下
×マルティネス退団で一塁の控えが居らず不調ビシエドの穴が埋まらず
××2年連続で1.2軍ともに最下位

ポジション別の打撃成績vs5球団平均。内野手の全てで10%超劣った

最大の問題は内野手全て。特に新人に依存した二塁手が悲惨な結果で終了。解体した二遊間が大きく足を引っ張り三塁手も石川の成績が安定せず大穴。大島とビシエドに頼り切った一塁手と左翼手で不調の穴埋めできず。野手の8ポジション中5ポジションが弱いとくれば監督の采配以前の問題で弱いのは当然である

野手データの振り返り

1得点機会と得点力

打順ごとの得点圏の打席数と打点能力

打線としてみるとチャンス自体は阪神・ヤクルト以外とは大差がなかった。問題は3点。まずチャンスで大量得点を生む長打力の不足。本塁打、二塁打と三塁打の合計もリーグ最下位。内野安打がリーグ最多で単打比率が高い。木下と宇佐見のように完璧な当たりが単打になる鈍足の巧打者も居て打線に迫力がない

次に7番と8番の打力が低すぎたこと。原因は主に二遊間で村松と龍空の数字が影響している。7-9番で相手投手が手を抜けるからか1番の打撃成績も昨季に比べて大きく落ちて得点が取れていない

最後はロクな控えが居ないのにチャンスで代打攻勢。チャンスで龍空や村松に後藤や加藤翔平の守備職人を代打を送ったが、結果に結びつかなかった。7月まで好調だった後藤も最終的には数字を落としてシーズンを終えている

2022年と比較すると出塁率の低下が得点圏打席の数の減少に繋がった。和田コーチの早いカウントで勝負する方針は機能せず、長打率も出塁率も下落。1番から4番までは広島も大差ないレベルである。広島との差を生んだのは5.6.7番の能力差だった

チャンスを作ったが得点に換算する能力が異常に低かった2022年から打撃は悪化

2好調と不調のムラが激しい打線

9月はビシエド、大島、カリステのベテラン以外が完全に失速

3.4月は岡林と大島がそこそこ活躍したが、細川と石川を3番4番に据えるまでビシエド、アキーノ、アルモンテ、カリステの中軸が打てず。1.2番と細川と福永が5.6番で打ってチャンスを作っては凡退を繰り返した

5月は3番細川と4番石川で固定されるが1番2番の岡林/大島が成績を落とす。大島の打順を落とし福永を2番に上げた影響で福永も打撃を狂わせ始めた。福永はチャンスで打てなかったが本質的には5番か6番の起用がベストだろう

6月も大島に加えて石川が投手レベルの打撃に落ち込む不振。5~7番に降格させてビシエドを上げたがビシエドも打てず。ドツボのハマった

7月は岡林と石川と大島が素晴らしい活躍を見せ、宇佐見も加わり平均3点を超えた。しかし打線を引っ張った細川と福永が失速し村松もバテ始めた

8月になって細川が好調を取り戻すも岡林が不振に陥り大島も2000本安打を達成のプレッシャーかペースを落とした。石川も確変が終了し宇佐見の成績も落ち着き始め、福永が大スランプに陥った

9月はビシエド、大島、カリステのベテラン以外が完全に失速。10月は2試合で1点しか取れずに終わった。

今季の補強考察と野手評価

捕手

捕手はヤクルトで育成3年目に退団となった松井聖を支配下で抜擢したい。木下を正捕手に石橋をサブで1軍を回し、2軍は山浅と味谷を中心に育成する方針で戦いたいため。郡司の穴埋めで即戦力の指名を求める声もあるが育成するべき若手の出場機会が減っては意味がない。外野手の数合わせに加えて捕手の年齢層的にドラフト指名より1995年生まれの松井聖がベストと考える

捕手の年齢表

木下
攻守にわたって活躍。シーズン途中に骨折で休んだ事もあり、西山コーチが言うバテるまで一流バテたら二流を飛び越えて三流という弱点は目立たず。来季も好調を維持させるため石橋や宇佐見と併用したい

宇佐見
打撃面では素晴らしい活躍を見せ、普段は一塁手でビシエドと併用したい。守備はキャッチングなどに不安があり正捕手というより第三捕手。普通なら二塁打の当たりが単打になる足の遅さは前評判通り

石橋
当たった時のパワーは素晴らしく木下が故障した直後は大当たり。宇佐見の加入後は負け試合の起用が中心となったが根尾とのコンビで大活躍。編成的に2025年に捕手の中心になればOK。焦らず定期的に試合に出し続けたい

山浅
三振が少なく四球を選び出塁率は高めと高卒1年目としては及第点の出来。春先はキャッチングが明らかに劣ったが、夏頃に見た時は伸びていた印象。2027年には1軍で使えるレベルになるようパワーアップさせて2軍を任せたい

味谷
高卒1年目から打撃成績が向上。構えに雰囲気があるので長い目で見たい。打撃が伸びれば外野手へのコンバートで2024年ドラフトで捕手を埋めたい

加藤
1軍の第3捕手や2軍の穴埋め要員という閑職をこなした。あと3年同じ役割を求められるが、めげずに頑張ってほしい

大野
加藤と同じ報われない仕事。編成的にあと1年か2年ほど続けてほしいが引退を決めた。残念

一塁手

福田と堂上の引退で最も補強が必要なポジション。3年後に1軍に上がる選手をドラフト上位指名したい。指名失敗なら鵜飼か福元の一塁転向を検討

一塁手の年齢表。レビーラの亡命、福田と堂上の引退で次世代も2軍のスタメンも不在

ビシエド
1年を通じ例年の不振期の数字しか残せず今季最大の誤算。アリエル退団で代役が本職外野のアルモンテで実質的に不在だったことも痛恨。過去3年の成績を考えるとOPS.750-790で十分に戦力だが、成績を戻せるか
福田
代打で四死球を選んで高い出塁率をマーク。ヘッドスライディングで故障し引退を決めてしまった。来季も保険に残したかったが、身体が限界だったか
堂上
3年夏の甲子園では故障の影響かドラフト下位なら指名を検討するレベルの実力にすぎなかったが1軍レベルの活躍を一瞬見せた。全盛期は堅実な守備でチームに貢献したが引退。お疲れさまでした

三塁手

2軍で星野の起用が多い三塁手もドラフトの指名ポイント。1軍も石川が離脱した時の打線は悲惨だった。福永を三塁に回す二塁手を獲得する必要があり早急なテコ入れが必須

三塁手の年齢表

石川
7月だけは文句なしに4番の活躍も1年を通せば筒香3年目の成績と大差なし。4番を打つ力はないが7番を打つ力はついた。春のキャンプを経験できる来季に期待。石川がOPS.800に近い数字を残せば来季は劇的に変わる
高橋
チャンスでの活躍は多かったがトータルの数字では2軍レベル。残念ながら彼を2軍に落とせない選手層の内野手は弱すぎた。打球が上がらず打球速度も足りずセカンドゴロの量産機となっており抜本的な改造が必要

二塁手

田中の復帰もあり補強不要。守備が物足りない福永、打撃が物足りない村松の新人二塁手の対決で決着はつかなかった。2人とも直球は打てているのでプロの変化球に慣れれば打撃成績は化ける可能性がある

甘い変化球を逃さず捉えて内外角とも左投手の直球をファールに出来る田中は右のイン直球に強い村松や左投手を極度に苦手とする龍空を補いあえる。肩の強さを考えると田中は二塁の方が良い気もする

二塁手の年齢表

福永
春先はチームを引っ張るも変化球に弱いとバレた夏から成績は急降下。守備範囲と球際のグラブ捌きも課題大。肩は強く反応は良いので三塁への転向も検討が必要
村松
足の速さを活かした守備範囲は優れるも、グラブの出し方や打球への入り方が課題で土のグラウンドで苦労した。プロ1年目で直球は打てたが変化球は打てず長打不足。3年目の覚醒を期待させる片鱗は見せたが来季は厳しそう
溝脇
便利屋で起用されるが目立った成績は残せず。石垣ガチャに賭ける方が有益だと思うので一塁や三塁の戦力が増えればドラフト次第で戦力外の候補か

遊撃手

龍空とカリステが1軍で石垣と樋口が2軍で競争。下位で奈良間のような選手が居れば指名したい。来季の田中と龍空と石垣次第では金丸や中村を諦めて宗山に特攻する必要が出てくる

左投手の時は使う予定だった石垣は十分なチャンスを貰う前に首脳陣を批判し仕事をカリステに完全に奪われるマヌケぶりを披露。なぜ数字を残し起用される立場を得るまで我慢できなかったのか

遊撃手の年齢表

カリステ
開幕当初は外のボール球で簡単に打ち取れたが、日本投手の攻め方に慣れた後半から本領を発揮。森下の直球を逆らわず右中間を割った姿が期待通り。肩が強く足が速いので守備の総合力は並。若手の育成の時間稼ぎに期待
龍空
内野守備は見事だったがvs左投手への成績が悲惨過ぎて投手が2人並ぶ感覚。来季は左投手に強いカリステを中心にバックアップでの活躍と成長に期待。毎年春先の成績が悪い点も克服していきたい
石垣
Youtubeで公開される毎日の声掛けで米騒動を暴露するとは…自分の置かれる立ち位置を理解していれば絶対やらないと思うが想像力が足りてないのか。パワーは魅力で30歳までに化ければ儲けもの。1軍の便利屋で塩漬けすべき樋口
2軍で最多の打席数を獲得。足は速く守備も並。打撃が並レベルに伸びると一気に面白くなる

外野手

今年に補強する必要性が薄いポジション。まずは岡林と細川を超一流選手に育ててブライトと福元を一人前にするところから。鵜飼は来季の戦力というより長期プランで気長に覚醒を待ちたい

外野手の年齢表

岡林
故障を試合に出ながら治した昨季から成績を落としたように見えるが実態は苦手な左投手との対戦数が増えた事が原因でほぼ変わらず。OPS.750越えのためにも好調不調のムラを減らしたい
細川
穴は大きいがパワーは本物。2018年ビシエド以来となる20本塁打越え。守備と安定感に課題はあるが来年は本物の4番になってほしい
大島
春先の不調を夏から挽回。9月に打ちまくって衰えではなくメンタルと調整の失敗によるものだと見せつけた。来季もレフトの1番手
ブライト
ポスト大島の1番手と存在感を見せた。直球のミスショットが減ってくれば大島からスタメンを奪う可能性はある
鵜飼
今季も目立った成長が見られず。パワーは異次元だが配球の読みなど知能面に課題が見えるのは石垣と一緒。オリックス杉本のように5年目辺りで開花すれば良いので気楽に待ちたい
後藤
7月までOPS.700超えも最終的にはOPS.500強と例年通りの結果。守備と走塁では超一流の仕事も見せたが代打の仕事は減らしたい
加藤翔平
守備と走塁では超一流の仕事を見せたが打撃は苦しい。彼が代打候補になるほど1軍の控え打者が不足していたのは残念
川越
加入直後に一瞬だけ活躍したが徐々に消えた。シーズン終盤は2軍で故障しシーズン終了。来季は代打の切り札やスタメンで数試合の活躍に期待したい
三好
足は優れており根尾の負けを消す走塁は良かった。打席に立つ機会が少なく印象は強くないが左投手の逃げるボールへの対応に課題を感じた
福元
2軍で3割超の打率を残したが、故障を繰り返して昇格できなかった。福田のように28歳には1軍で安定して出られるよう体質強化から始めたい
伊藤
打撃能力は全く期待できず走塁ミスで2軍落ち。その後に戦力外
アキーノ・アルモンテ
直球を打てず戦力外。仕方なし

来季の展望と期待

来季の目標はチームOPS.650、470得点。投手力を考えれば470得点でも上位は目指せる。可能ならOPS.660、490得点を目指したい

捕手

捕手の2023成績

捕手は今季OPS.703から下方修正の目標OPS.660。宇佐見を一塁手に回す計算で数字を下げた。2025年に石橋を正捕手にするため出場機会を増やしたい

一塁手

一塁手の2023成績

一塁手は今季OPS.630から上方修正の目標OPS.720。左投手の方が右投手より数字の良い傾向が強いビシエドを左中心に運用し、宇佐見を右中心に起用で成績の底上げを図る。ビシエドは調子が良い時に数字を稼ぐので見極め次第で十分に達成可能な目標とみる

山川も中田もFAなら年俸5000万円でも人的保障の点で要らないが広澤のように契約を打ち切ってくれるなら2億円でも単年契約で欲しい。それぐらいに戦力不足

二塁手

二塁手の2023成績

二塁手は今季OPS.536から上方修正の.590を目標。田中は左投手を相手には文句ない成績をOP戦で残しており、内容も抜群に良かった。村松や龍空との併用で初シーズンを完走させたい

三塁手

三塁手の2023成績

三塁手は今季OPS.666から上方修正の.700を目標。OPS.750を期待する石川が2年連続OPS.675どまり。控えの福永は落ちる球に明らかに弱く強気の目標は立てにくい

遊撃手

遊撃手の2023成績

遊撃手は今季OPS.538から上方修正の.620を目標。8月9月に月間OPS.750越えを記録し日本球界の適応に成功した左キラーのカリステ中心に起用したい。保険は石垣だが門脇や奈良間のような選手を4位以下で指名できたら理想

外野手

外野手の2023成績

左翼手は今季OPS.611から上方修正の.680を目標
中堅手は今季OPS.664から上方修正の.720を目標
右翼手は今季OPS.737から上方修正の.780を目標

アキーノとアルモンテが引き下げた水準を岡林と細川の固定で中堅と右翼を引き上げ。大島は例年だと対左の方が強かったので来季は元に戻る事を期待するが流石に40目前で完走OPS.700越えは期待しにくい。ブライトは逃げる球は強いが食い込んでくる球に弱いのでその点が解消されればポジションを一気に奪取するポテンシャルはある

来季の見通し

来季は2年目の福永と田中と村松と濱、高卒5年目を迎える石川の成績次第。外野はブライト、福元が勝負の3年目。ここで芽が出て来なければドラフト指名が必要になる。上記の目標をクリアすればチームOPSは.660を超える

一般的に野手は高卒なら7年目、大卒3年目や大卒社会人卒1年目の25歳までに活躍する選手が最も多く、高卒4年目までに活躍する天才が続く。しかし高卒9年目の27歳まで2軍の帝王だった配球を読めない福田もいたので石垣株はまだ売れない。鵜飼も大卒社会人5年目30歳に花開いた杉本を参考に努力を5年は続けてほしい

カリステが今季終盤と近い活躍をして福永と村松と田中と龍空と石川が成長して2人でも戦力になればAクラスは十二分に目指せる。くだらないネットの批判など気にせず25歳になるシーズン(不器用なパワー型は28歳)まで地道に力を付けて活躍すれば良い。監督は打てる選手を中心に起用し、2軍で結果を出した選手を試すのだから若手の成長に期待する

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