リモートワークの失敗例と成功例
こんにちは。IT企業さんがコロナウイルスの影響で続々とリモートワーク化している現状を見て、僕が実際に体験した「失敗例」と「成功例」を書いてみたいと思います。成功例と言っても当社の事例なので転用できるかはわかりませんが・・
まず前提として、僕は自分の会社を経営していますが、勤務体系が特殊すぎて、労基に各種届けを出した際に担当官が「労働者にとっては素晴らしいですけど・・こんなので会社は成り立つんですか?」と労働者を守る守護神様からめっちゃ心配されるという偉業を成し遂げましたことをお伝えしておきます。
当社の特殊な勤務形態
・出勤は月・火・水のみ
・勤務時間は12時出勤で19時まで
・木金は何をしててもフリー
・8月と12月は一ヶ月長期有給休暇
こんな感じです。完全リモートではないのですが7割リモートです。
成り立つのか?という労基さんの疑問ですが、当社は現在3期目ですが、売上は昨年対比130%で積極投資して挑戦中の事業部単位では赤字もありますが会社全体としてはずっと黒字です。
社長の自画自賛だと思われそうなので社員Aさんのコメントを紹介します。
「昼まで寝れて助かる。家族と時間が取れる。体調不良になったときに出先での心配をしなくていい。最悪寝れる。職場の人の目を気にして辛いのに無理する必要がなくなる。自宅のほうが作業環境が自由に構築できるので作業効率もいい。」
続いて社員Bさんのコメントです。
シンプルに週3出勤は精神的にも肉体的にも楽。良いメンタルで仕事ができる。以前体調が悪いときも休みますって言わずに家で仕事ができたので本当に楽。
自画自賛じゃないよ。ってことでよろしくおねがいします。あ、当社はキャバクラではありません。イラストレーターさんと共に「絵仕事創造サービス」やVtuber事業を展開している真面目な会社ですのでよろしくおねがいします。
そもそもなぜリモート主体にしようと思ったか
僕が夜型で引きこもり体質だからです。また、イラストレーターさんとお仕事をしていく中で「メンタルの大切さ」を痛感しました。絵を描くという仕事は一見作業のように思われる方もいるかも知れませんが、とても繊細で内面がモロに絵にでます。つまりメンタル維持超大事。メンタル維持さえできればいい仕事(アウトプット)できるし、ストレスフリーで長生きできるんじゃね?と思ったのもそもそもの始まりです。
今の半リモート体制は過去の失敗によって生まれた
僕が起業する前に役員として務めていた企業では遠隔地だったこともあり、リモートワークをしていました。ですがそれは結果的にはうまくいきませんでした。理由は以下のとおりです。
働いているかどうかが見えないため社長が疑心暗鬼になってしまった。
四六時中メッセージがあり、暗に仕事をしているか確認を求められた
僕の方もそれを回避するために「机の前にいますよアピール」という無駄でしかない工作をするはめになった。
頻繁な報告書などを求めるようになり無駄な作業が更に増えた。
リモートワークの最大のネックはミスコミュニケーションの頻発だと言われがちですが(それも確かにありますが)僕自身は「疑心暗鬼」だと思います。
つまり自分が経営者になるにあたっては、まずは「疑心暗鬼」要素を取り除けばリモート体制にしてもわんちゃんうまくいくのではないか?と思いました。
疑心暗鬼要素を取り除くために実践したこと
1.「超見える化」ー 社員の仕事内容を嫌でも見えるようにした
例えばツイッターの更新はもう言うまでもありませんが、社外とのやりとりもメールではなくチャットワークにして僕もスタッフの誰でも見れるようにしました。当社の最大のクライアントさんであるイラストレーターさんとのやりとりにはLINEを使い、必要に応じてグループ化し、さらに僕も全員とコンタクトできるようにしています。仕事の内容を極力オープンスペースに引きずり出すことで疑心暗鬼は99%なくなります。例えが下品ですが超18禁のもろ出し仕様です。そもそも社内の仕事に関するやりとりでオープンにされて困ることはないはずです。僕はちょっとあります。つらい。
2.「勝てば官軍システム」ー 結果至上主義
プロセスとかそこにかけた時間なんて一切無視。がんばったなんて評価しねえ。うちに努力賞はねえぞ。仕事はやるか・やるかだ。という体育会系というほどでもないのですが、実際にはいつまでに何をやるだけを事前にコミットしてもらいます。僕と社員で事前にそれを握っておきます。ルールは「できませんでしたの事後報告はNG。できそうにありませんの事前相談はOK」だけです。これだけ決めておけば期限までに粛々とアウトプットがでてくるようになりました。難しい場合も早めに相談され、内的要因・外的要因含めてなぜできなくなったのかのフィードバックも都度できるようになりました。
3.「No Mind No Work」ー 数値目標はなし
一見リモートワークの成否には関係なさそうですが僕はあると思っています。売上や利益などの目標数値があると本来やらなければならない大切なことを省略してでもこそこそと数字を作りに行きがちです。リモートワークではそのようなイレギュラー行動の発生要因を極力削っていかなければなりません。したがって社員には数値目標は持たせないことにしました。マインド・・つまり、定性的な目標としては「イラストレーターやお客様のためになることだけをやろう」これだけです。判断に迷ったら「それはイラストレーターやお客様のためになるのか?」と考える癖をつけるようにしてきました。MTGでも「今この場にお客様がいたとしても同じ意見が言えるのか?」を気をつけるようにしてきました。もちろん数値を達成しなくていいということではありませんが「どうしたら達成できるのか」「どうして達成できなかったのか」をヒューマンエラーではなくシステムエラーと認識して考え、人のせいにせずにシステムを改善するのが社長の仕事だと思います。
わかったけどほんとにそれで成り立つのか?
よく聞かれる質問に答えします。
電話対応
こちらは秘書サービスを使って毎日9時18時で電話を受け付け、初期対応や宅配や郵送物の受け取り依頼して場合によっては僕や社員に転送としています。
荷物の受け取りは?
こちらは宅配業者さんに事前に説明してスタッフがオフィスに居る時間を共有しました。それ以外の時間には来ても誰もいないのをわかってもらえば持ってきたりしません。
お客様からの問い合わせは?
カスタマーサポートはすべてメールのみとしています。
本当にミスコミュニケーションは起こらない?
これは正直完全に起こらないとは言い切れません。リモートワーク時間の大半はLINEでやりとりをしていますが、相当知った中でない限り非言語コミュニケーションがとれません。仕草や表情、発声などによる非言語コミュニケーションは社員のストレスや不満を知る上で欠かせません。そのため、ひとつには週に3日、半日だけオフィスで仕事しましょうという体制にしています。ですが相互理解が進めばそれも必要なくなりますので、今後はそれも週イチにしようと思っています。
また、「文字だけだとミスコミュニケーション」というのは僕は大半は社長、管理職側にも原因があると思っています。つまり「文字だけで社員から心の機微を伝えられる雰囲気作ってるか?そのための日頃からの努力をさぼってないか?」ということです。
リモートワークの話題になると、とかく社員をどうコントロールするかという話題になりがちですが、社員をコントロールしようと思うのがそもそもおこがましいのだと思います。
組織は生態系と同じでコントロールではなくではなく社内外リソースの物質循環とエネルギーの流れの「安定を維持」すること、つまりそれがマネジメントだと思います。
コントロールは「思うがままに操る」という意味があります。マネジメントの意味は「管理」ではありません。「(安定を維持するために)どうにかする」なのです。
目指すのはコントロールではなく安定。そのためには押すだけではだめです。時には引くことも大切です。僕も社長ですから「社長はオラつきたくなる生き物」である気持ちはわかります。若い子にマウント取りたいのもわかります。でもオラついたりマウントをとってあなたはスッキリするかもしれませんが、オラつかれた社員はストレスしかたまりません。害悪です。老害です。
どうしてもマウント取りたくなったら有料マウンティングサービスでもあるキャバクラにでも行ってすっきりしてください。引くところは引いて社員と「安定を維持」し「相談しやすい雰囲気作り」をするのは大事なのかなと思っています。
まとめ
リモートワークについては以上です。たった3期目の会社で超若輩な僕の「成功例」はとても生意気な「上から発言」に聞こえたかもしれません。申し訳ありません。
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