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『子育て』

 世の中は豊かだ。

ケイタイ、スマホの普及で、より豊かな時代に突入した。

 少し前までは、子ども達を守る標語として『孤食を避けよう』と叫ばれてきた。共働きが増えてきた昨今、せめて一日の終わりには、家族で食卓を囲み、会話をしよう!と心掛けたものだ。


 今や、子ども達は一人の時間を好む。一人でいても孤独を感じない。パソコンやスマホやゲーム機がある。一人でいても誰かと繋がっている。常に側にいるかのように会話ができる。グループラインやチャットなる機能で、複数の仲間との会話も成立する。インスタやツイッターを開けば、会話以上の情報を得ることができる。なんて便利な世の中なんだろう。孤独なんて、寂しいなんて、負の感情は湧いてこない。


 反面、見えない電波の上で、イジメ、ヒボウチュウショウ、ナカマハズレ…悲しい出来事が比例して起こる。

自分が弱いから、誰かとつるんでいたい。

ターゲットにされたくないから、先にターゲットを見つける。

 平穏で退屈な日々に話題を提供し、大勢で、有ること無いこと、いや、無いこと無いことかもしれない。書き込む。書き込む。皆が反応する。面白くなる。エスカレートする。ヒートアップする。イイね!イイね!


 そんなことで一人の大切な人生をギセイにしていいのか。主犯者はダレ?「私じゃない、知らない」口を揃えて言うだろう。

 いじめる心は醜い。いじめる人が一番悪い。それは周知している。

 いじめる気がなくても、同調している人はどうだろう。自分に白羽の矢が立つのを恐れて、うつむいている人もいるだろう。

強い者を盾にして、目立たない所でアオっている人、それこそが主謀者と言えるのかも知れない。

 どこかに集合して密会があるわけではない。不特定多数、友だちの友だち、そのまた稀薄な繋がりの友だち。

ライン、ツイッター、インスタなど見えない線で繋がり、軽い気持ち、軽い頷きや相槌、面白半分で罵り、あざ笑う。イイね!イイね!

世の中は変わっていく。良い方にも悪い方にも。


 昔は、固定電話に掛け、「〇〇さんご在宅ですか?」と、取り次いでもらった。おかげで、家族間でそれぞれの交友関係を把握できていた。祖父母の近所付き合い、父親の会社の同僚、母親のママ友、子ども達の学友……。

 今や、ケイタイで呼び出され、ふらっと出かけて行き、とこで?誰と?何を?しているのやら、さっぱりわからないという。ほぼほぼ、誰もが思い当たる、哀しき家庭事情ではないだろうか。


 便利な世の中になった。

スマホを、一人一台充てがって、管理もおのおのに任せている以上、祈るしかない。

 どうか、被害者になりませんように、

 どうか、加害者になりませんように、と。


 親の責任はいつまで続くのか。成人するまで?社会人になるまで?結婚するまで?

きっと、一生続くのだ。喜びも、心配も、褒めることも、諭すことも、ずっと続く。自分が老いて、呆けるまで、子育ては続く。

 物が豊富になり、物に囲まれ、物に先導されている今、何が必要で、何が過剰なのか、もう一度よく見つめ直し、子ども達に、、次世代に、、伝えていかねばならない。


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