「土産」 モサク
久しぶりに熱が出た。目が覚めた瞬間すぐに熱を感じた。とりあえず体温を測ろうと思い、体温計がある場所まで歩く。もうしんどい。体の中心が取れていない。
久しぶりに開けた真っ白な体温計の先端の銀は少し冷たく、自分の左脇に突き刺さった瞬間にわぁあああ!ってなってしまったのに少し笑ってしまった。
その後、ピロピロピロリンという体温確定音楽が鳴るまでの虚無の時間、僕はタフィーローズのバッティングフォーム連続写真を頭の中で綺麗に並べて、やっぱ近鉄時代は堪らんなと思った。
そうこうしているうちにすぐ体温確定音楽は鳴り、僕の体温に馴染んだ生ぬるい先端の銀は恐怖ではなくなっていたのでスポッと抜いた。
39.1°。体温は思ったよりも高くて、本当にやばそうだから病院に行った。病院で言われたのは感染症ではなく、ただの疲れの蓄積によるものらしい。
ごめんよ。僕の体。こんなに発熱するぐらい頑張ってくれて。今度、渋谷にある道玄坂マンモスのつけ麺440gを食べに行くからね。いっぱい摂取してくれよ。
もうそこからずっと今までベッドの上で寝ている。久しぶりに高熱のときにみる夢を見た。高熱のときにみる夢で見たことない夢も見た。
高熱のときにみる夢もサブスクリプションみたいに更新されていくんだって思った。
熱はそこからもどんどん上がっていって、これこのまま上に行っちゃうんじゃないか。そこまで意識が朦朧とした。待ってくれ!まだ冥土の土産なんかないのに!
そこから2日経って、今。まだ少し熱はあるがようやく落ち着いてきた。はやく外に出たい。冥土の土産を探しに行きたい。今度こういうことがあったときにすぐこれ!って言えるように。
そんな簡単に見つからんって。なんも持っていかんくてええくらい謳歌しいや
1000タコ モサク
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