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太客倶楽部10周年記念ツアー「ふとした」仙台公演

仙台GIGS、何度も何度もクリープハイプに会いに足を運んだ会場だ。
眠気が収まらぬまま1人荒井駅に降り立ち、そそくさと会場入りした。
いつもは先行物販から並ぶところだが、席が決まっていたことと、たまには余裕ぶってライブを見てみたいというしょうもない動機から開場30分後に悠々自適に入場したわけだ。

ところで毎度ライブに行って感想を書こうとする時に、正確にセトリを覚えておらず、一曲一曲振り返ることが出来ないことに悔しさを覚える。
しかし反面ライブはそんなもんで、一曲一曲を考えるのではなく、その場だけの雰囲気やその日だけの音を楽しむことが出来れば充分楽しんだと言えるのではないかとも思っている。
そんな解釈から今回も例に洩れず全体的に見て印象に残った部分の感想を述べていく。

まず公演における注意事項を読み上げる奇妙な声からスタートしたライブ。
その正体は愛してやまないベースの長谷川カオナシ氏であった。
絶対にあるはずのない結婚まで考えたカオナシ限界オタクの私からすれば、ここでライブが終わっても元が取れたと喜んで帰るところだが、容赦なくライブは続く。

ここで改めて振り返っておくと、今回のライブは太客倶楽部限定、つまりファンクラブ限定ライブである。
その上ファンクラブの10周年を記念している。
それがあってか、選曲はファン向けであったように感じる。
私は大前提としてクリープハイプの曲に優劣はないと思っている。
(そのためYouTubeのオススメ曲○○選という動画を見掛ける度に、知らんやつが勝手に順位付けをするなと憤っている。めんどくさいね。)
ただその中でも曲の特色のようなものはそれぞれあると思っている。
たとえばフェスでよく聴く盛り上がる曲や知名度の高い曲、辛い人に寄り添ってくれる静かで優しい曲、怒りを代弁してくれる力強い曲。
そういった中で言えば、今回のライブは知名度こそそこまで高くは無いが、確実にファンに刺さる選曲であったと感じた。
案の定私もしっかり刺さって静かに泣いた。

そしてライブの大きな楽しみの一つと言えば、MCがある。
クリープハイプの尾崎さんは、いつもMCで小話を挟みつつ素敵な言葉をくれる。
暖かい感謝をファンに伝えるのがとても上手なのだ。
毎回毎回ハートをがっちり掴まれ続けているわけだが、今回も例外ではなかった。
ファンクラブ限定という場も相まって、愛の深いMCを見せていただいた。
特に刺さったのは、「いつも太客を気にしています」というような言葉。
何をするにもファンを気にかけてくれている、これが聞けたらそれだけでこれから先もファンでいる動機になる。
かなり大袈裟で愛が重いとは思うが、あの言葉からは好きな存在から気にかけていると言ってもらえる喜びを深く感じた。
そしてこれはバンドに限った話ではないとも思った。
自分が愛してやまない存在が、自分を気にかけてくれていること、そしてその存在を自分が気にかけられること。
どちらも当たり前ではなく、この上ない幸せなのだという気持ちに確信が持てた。
クリープハイプの曲「バンド」で、

ギターもベースもドラムも全部
うるさいから消してくれないか
今はひとりで歌いたいから少し静かにしてくれないか
こんな事を言える幸せ
消せるということはあるということ
そしてまた鳴るということ
いつでもすぐにバンドになる

という歌詞がある。
月並みな言い方だが、当たり前と思っていることが実はこの上ない幸せであるということを教えてくれる歌詞だと思う。
真相は尾崎さんのみぞ知るわけだが、本当に当たり前に存在しているように見えているものが当たり前でないことを痛みとしてわかっているからこそ出てくる言葉なのかもしれないと勝手に思っている。

私はクリープハイプ太客としてこれからもこの精神を忘れずに生きていこうと思った。
当たり前のようにそばに居てくれる人、仲良くしてくれる人、そういった人に日頃から感謝を示すことを忘れたくない。
そして末永く変わらない関係でいたい。
そんなことを考えさせられたライブだった。
改めて、クリープハイプへ愛を込めて。

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