TOPGUN メトカーフ中佐の教え

 この教えは「TOPGUN」に出てくる。TOPGUNと言っても2-3年前に上映されたTOPGUNマーヴェリックではなく。40年前の第一作のTOPGUNである。
 第一作では事故により親友で自機の偵察員であったグースを死なせてしまったマーヴェリックは自信を失い自分を見失ってしまう。そして父親の親友で教官のメトカーフ中佐にアドバイスを求める。
その時中佐は「優れたパイロットは今何が出来るかを考え出来ることを行う」とマーヴェリックに告げる。そしてマーヴェリックは迷いを振り切り、直後に発生した圧倒的多数の某国戦闘機との空中戦で実力を発揮して3機を撃墜する。
 この言葉は特別な言葉ではなくアメリカでは一般的によく言われていている言葉である。しかし乍ら実際に実行するとなると簡単ではない。何しろ生死がかかっている場合が多いからだ。ところがこれを完璧に実行した日本人がいる。旧日本海軍の佐久間勉大尉である。
 大尉は黎明期の潜水艦の艦長であった。黎明期故に潜水艦は事故が多発していたが、大尉の乗艦する潜水艦も訓練中にトラブルが発生し浮上できなくなってしまう。そして、2日後に潜水艦は引き上げられるが大尉以下全員が死亡しているのが発見される。しかし、乗員はすべて持ち場を離れてはいなかった。そして大尉はなぜ浮上できなかったかの経緯を39枚のメモに残していた。
 大尉の話は戦前の修身の教科書にも登場し大尉が自身の死に直面しても自分のするべきことを実行したと褒めたたえられている。
しかし、大尉の凄さは大尉自身の行為だけではないと思う。おそらく大尉はこの様な事態に遭遇することを予想しその時は自分は何をするべきかを考えるだけでなく部下にもその時はどうするべきかを考えさせていたのだろう。それでなければ、乗員全員が死ぬまで持ち場を離れないということは起きないと思う。
 

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