やはり飛行機はエンジン次第。

 第2次大戦の各国の戦闘機を比較すると機体の設計よりもエンジンの優劣が性能を決めるのではないかとの感がする。
 実例で話すと英国のスピットファイヤーと米国のムスタングのエンジンはどちらもロールスロイスのマリーンを使用している。スピットファイヤーは名設計者のミッチェルが設計している。翼は曲線で囲まれた美しい機体だが生産するのは困難で当初は生産が間に合わず他の戦闘機が主力となった。一方ムスタングは当時仕事がなく手がすいていたということだけでノースアメリカン社が設計を受注した。しかも極めて短時間で決して有名とは言えない設計者が設計している。翼の形状も直線を基調とした一般的な形状で生産に支障が出るようなことはなかった。エンジンに関してマリーンを使用しているときは性能はどちらも優劣はつけがたいが、当初ムスタングはマリーンではなくアリソンのエンジンを搭載していたがその時の性能はパッとしたところが何もない飛行機であった。ところがエンジンをマリーンに換えたとたん高性能の戦闘機に変身した訳である。これから考えても飛行機の優劣はエンジン次第ということになるのではないだろうか?
 日本ではどうも機体の設計の方が注目されるが、それはあまり高性能のエンジンが存在しなかったことや「誉」のように高性能のエンジンがあっても生産技術と整備力の低さで実力を発揮できないケースが多かったからではないだろうか?
 ただ、メッサーシュミットのエンジンをライセンスして作った飛燕のエンジンがなかなか作れずに首のない飛燕が多数誕生したのは日本の技術力が低かった証拠と言われているが、それは正しいとは言えない。なぜならドイツでもメッサーシュミットのエンジンの生産不調が発生し首無しメッサーシュミットが発生したようである。また、ドイツ空軍が空冷のフォッケウルフを採用したのはエンジンの生産が不調でメッサーシュミットの生産が大幅にダウンした場合の保険であったとも言われている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?