相場は相場に聞け

TOPIXが1989年バブル期の高値を35年ぶりに塗り替えた。日経平均も3月高値を更新41000円を抜けた。いつでも強気派を含むほとんどの市場関係者は弱気に傾いていただけに、意外感がある。確かに3月高値時に比べてボリュームは減少しているが、これまでの値がさ半導体株主導から幅広い循環物色人気になっている。3月高値時点で、強気派で年内43000円くらいだったが、3月決算企業の2025年3月期業績見通しの低調さ、アメリカの根強いインフレ懸念が背景に市場のセンチメントは弱気に転じる。もうはまだなり、まだはもうなり。相場格言は意味深長だ。相場は相場に聞け、まさに日本株は、その局面だろう。国策に売りなし、遠い戦争は買いなど冷酷なマネーアノマリーもある。市場の予想を超える業績を叩き出しても、材料出尽くし感で急落するケースも少なくない。中国の不動産不良債権問題、アメリカの住宅ローンやクレジットに内在する不安、欧米の政治情勢の変化など不安をあげればきりが無い。結局、相場の先ゆきは予想を裏切りの不連続性だ。日々の相場は朝令暮改、予断は許さない厳しさがある。1929年ニューヨーク市場の大暴落を引き金に世界大恐慌が起きた。後のケネディ大統領の父は暴落前に全てを売り抜け、それが栄光と運命の悲劇に遭遇する原資になったという。世界が金融、投資なしには成り立たない状態になった今、結果として買うから上がる、上がるから買うの、いわゆる需給相場になっている。個人投資家で資産を増やした人々は並々ならね研究とリスクを追った成果。汗水かかずに得た資金はあぶく銭といわれたのは、今は昔。年金、保険は裏での運用が不可欠。すでに世界の金融マーケットは必要不可欠なあぶく銭の世界になっているのではないか。株の急落を待ち望んで、投資チャンスを伺い向きがかなりいる限り、相場は上に行くのだろう。いわゆる恐怖の報酬なのかもしれない。

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