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簿記を学ぶメリット:資産管理

前回も取り上げた簿記を学ぶメリット
今日は資産管理について取り上げてみたい

簿記における資産管理とは
資産の取得及び処分
そして決算時の処理だ

資産取得はまだイメージがつきそうなものだが
決算時の減価償却などは専門的だと感じてしまう人も多い

簿記の中ではかなり初歩的な部類なので
売上・商品に次いで知っておいて損のない項目でもある

簿記を含む企業の成績・現状を表現するのに
貸借対照表と損益計算書という決算書類を思い浮かべる人も多いと思う

今回取り上げる資産勘定
(※簿記の世界では管理する項目を「勘定(かんじょう)」という)
は貸借対照表上で表現される

企業が管理する資産で一番イメージしやすいのは
現金などの流動資産と呼ばれるものだろう

現金を含む1年以内に現金化できる資産を
流動資産という
それ以上に現金化に時間がかかるものを
固定資産という

これは民法上の動産・不動産との考え方とは
若干ニュアンスが違うので法律を先に勉強している方は
注意が必要である
※民法上の動産は「不動産以外のもの」であり
 不動産は「土地及び定着物」となっている
 いわゆる登記が必要になるものが不動産の代表例
 それ以外はすべて動産となる

簿記3級程度でも現金勘定や当座勘定は
よく目にすると思う
また土地や建物の固定資産も基本的でイメージしやすい

簿記には借方(かりかた)・貸方(かしかた)という概念があり
これは一つの勘定の左と右を表している
そして勘定の種類によってどちら側に記載すると
プラスとしてカウントするかが変わる

資産勘定は借方(左)に記載されるとプラスを表す
反対に貸方に記載されるとマイナスになる

具体的な例を挙げるとこうなる
例)100万円の車を購入した
仕訳:車輌100万円/現金100万円

仕訳というのは簿記上の取引を表現したものだ
車という資産を購入したことで借方に記入され資産が増加している
また現金が貸方に記載されているため100万円の現金が減少している

こうして資産が資産に置き換わっているというのが
取引としてわかる

次の例ではどうか?
例)100万円の商品を掛け売りで販売した
仕訳:売掛金100万円/売上100万円

ん?
見たことないものが見受けられる
売上は収益勘定なので貸借対照表ではなく損益計算書の範疇である
そう簿記では別々の財務諸表の表現を同時に行っている
そして知らない人にはまったく理解出来ない「掛け売り」
つまり「ツケ払い」である

通常企業のやり取りでその都度代金を清算することは少ない
そのため売上が計上された時点で
将来売上金を回収する債権という資産が増えたことになる
※実際に商品代金を受領する際は
 仕訳:現金100万円/売掛金100万円
 という風に現金が増え債権である100万円が目減りしている

このように収益が発生する段階で
現金が直接手に入らない場合でも
将来手に入る権利を表現することが出来るわけだ

現金以外にも債権も取り扱えることがわかったところで
今度は固定資産についてだ

固定資産とは会社の資産として計上をするのは
流動資産と変わらない
ただし長期的に保有することになるという性質があるため
資産価値は都度減少していると考えるのだ

例えば建物を1億円で購入したとしよう
仕訳:建物1億円/現金1億円
実際に現金で購入することは少ないので
たいていは負債を計上するか仮勘定で
処理するのが普通ではある
ここでは理解しやすいようにニコニコ現金払いだとしよう

この1億円の建物は取得したその瞬間から
すでに価値が減少していっているとみなす
その減少価格相当を減価償却費として計上する

貸借対照表に建物1億円の記載があっても
この会社は未来永劫1億円の資産を有しているわけではない
取得時に1億円の建物が今はいくらになっているのかが大事である
その場合 償却済み残高を差し引きしてやれば
法定上の簿価(帳簿上の資産価値)がわかる

法定上の簿価とはあくまでも簿記にルールの中での設定である
資産税法なども関係してくるのだが
1億円の建物の耐用年数(使用に耐えうる期間)が50年としよう
定額法で計算すると1年間の減価償却費は200万円となる
1月に取得すればこの計算で間違いないが
6月に取得すれば100万円となるし初年度は月割り計算が必要になる

仮に20年が経過したとして
貸借対照表に残っている建物勘定は
あくまでも1億円のままである

その時点の減価償却費は4000万円となっているので
差し引きすれば建物の簿価は6000万円となる

ただこれはあくまでも概算の世界であって
実際に売却するとなれば話は別である
もちろん不動産物件の売却は今日明日に
出来るような代物ではない

仮に20年経過時点で売却が出来た場合
買い手が資産価値を判定するわけだが
その場合は時価となる
時価が8000万円であるとすると
どのような取引になるだろう
仕訳:現金8000万円/建物1億円
   減価償却累計額4000万円/固定資産売却益2000万円

まず1億円の建物がなくなる
そして現金8000万円が手に入る
建物の価値は4000万円目減りしている
差額となる2000万円は収益となる

実際にはもっと金額に差が出るケースもあるし
資産評価額が簿価を下回ることも多い
その場合は損失を計上することになる

かなり簡単に解説するとこういうことである
資産勘定はまだわかりやすい方ではあるが
いずれ他の勘定についても触れていきたい

簿記に興味がある方に
少しでも参考になれば幸いである

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