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再生紙は環境に良いと言えるのか?

再生紙という言葉を聞いて
あなたはどのようなイメージを感じるだろうか?

リサイクルしているんだから
環境に良いんじゃないの?と思われるかも知れない

しかしそれは大きな間違いである
単純に再生紙が環境に悪いと言うわけではない

日本人が紙に求める品質には再生紙がそもそも向かない
ということもある

まず紙はどうやって作られるのか?
パルプなどの繊維を接着剤の含まれた水の中で撹拌し紙を抄く
抄紙(しょうし)という作業を行うことで
紙が作られている

今は機械で抄紙するので
均一の繊維をさらにプレスして乾燥させて作る

紙の白さは繊維の白さに由来する
繊維を脱色し白さを出す

では再生紙はどうか?
古紙を使う場合でも基本的には同様の工程で抄紙する
問題は古紙をいかに白くするかということだ

古紙は繰り返し再生するほど
品質が落ちる
無限に再生は出来ない

それに古紙に含まれるインクや接着剤は
再生の邪魔になるため脱色したり接着剤を除去する必要がある
繰り返し洗浄するため多くの水を使い
温水を使うため電気も使い
洗浄後の水は再利用出来ない

新たに木を切ることはなくとも
古紙のインクと取り除くために多くの資源を使っているのは事実だ

新品のバージンパルプを使うか
古紙を使うか
どちらが良いのか

それは白さを求める用紙類にはバージンパルプを使用し
古紙は脱色をあまりせず包装資材や緩衝材
段ボールなどの梱包材に使用すれば良いのだ

今のバージンパルプは無垢の森林を伐採して作成されているわけではない
日本の製紙会社のほとんどは海外に土地を買って
管理された林作を行っている
成長の早い木材を計算して栽培・伐採しているのだ

だから無尽蔵に森を切り開いて紙を作っているわけではなく
紙を作るために木を植え育てているのだ

再生紙という響きとグリーン購入法という悪法のせいで
再生紙は環境に良い
率先して使うべきとの考えが流布し
製紙会社は求められる品質を維持するために
古紙混合率を偽装せざる得なくなる

問題の根本はなんでもかんでも
再生しなければいけないという発想だ

江戸の時代
鼻をかんだり用を足すときに使った
塵紙(ちりがみ)はいわゆる用紙の再生紙だった

街中で捨てられた紙ゴミは資源として回収し
それを業者に売る人がいた
それを再生して用途を限定して使うのだ

余計な手間をかけて脱色などはしない
用途に合わせて製造過程を省く
それも実情に合っていると言える

一つのものを出来る限り繰り返し使う
それは資源の有効活用としては申し分ない
ただイメージを先行させ
余計な環境負荷をかけ白くするくらいなら
そういった手間を必要としない品質を良しとすべきだし
それが本来の意味でのリサイクルではないだろうか

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