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ティアラメンツを勧めたい(歴史編)part3

こちらの記事は、前回記事である「ティアラメンツを勧めたい(歴史編)part2の続きとなっています。まだご覧になっていない方はそちらも併せてご確認くださいませ。


〜前回のあらすじ〜
輝石のデュエリスト編にて登場した新カテゴリ「現世と冥界の逆転」関連のカードにより、飛躍的にパワーと知名度を上げて環境へと襲来し、その圧倒的なまでの差を他デッキに見せつけたイシズティアラメンツ。

しかし…彼ら(彼女ら?)の進軍は、これだけにとどまらなかった………

ティアラメンツ、本格始動



と、何に感化されたかあらすじなんかを入れてみました。
ここからさらに目まぐるしく、そしてより面白くティアラメンツについて解説をしていきたいと思っておりますので、どうか最後までよろしくお願い致します。


DABL発売、最強テーマに最強新規

読んで字の如く、ではありますが…
2022年7月16日に発売したレギュラーパック、DARKWING BLAST(以下、DABL)にてティアラメンツは大幅に強化されることとなります。

具体的には、このパックにより下記のカードがティアラメンツというテーマに追加される事となりました。

・モンスター
ティアラメンツ・ルルカロス
・魔法
壱世壊に渦巻く反響(ティアラメンツグリーフ)
壱世壊を劈く弦声(ティアラメンツスクリーム)
壱世壊を揺るがす鼓動(ティアラメンツハートビーツ)



この中でも特にその存在に注目が集められたのは他でもないティアラメンツ・ルルカロスでした。

星8/水属性/水族/攻3000/守2500
「ティアラメンツ・キトカロス」+「ティアラメンツ」モンスター
このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカード以外の自分の水族モンスターは戦闘では破壊されない。
(2):モンスターを特殊召喚する効果を含む効果を相手が発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
その後、手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から、
「ティアラメンツ」カード1枚を選んで墓地へ送る。
(3):融合召喚したこのカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。
このカードを特殊召喚する。

キトカロスを融合素材に含んでおり、従来の展開で使っていた捕食植物ドラゴスタペリアやティアラメンツ・カレイドハート以外の新たなエース札、選択肢として登場後間も無くデッキに採用されたカードです。
自身の効果も相手の特殊召喚効果を弾くといった現代遊戯王においては非常に強力な効果を持っており、何よりもこれまでのティアラメンツに足りていなかった「相手のエース級札に繋がる札を予め潰すのが難しい」といった欠点をこのカード1枚で解決してしまうこととなりました。

そして例の如くティアラメンツカード特有の「効果で墓地に送られた時〜」といった効果もしっかりと内包しており、尚且つルルカロス自身の効果で他のティアラメンツカードを「効果で墓地に送ることができる」という至れり尽くせりっぷり。このティアラメンツ・ルルカロスというカードを語る上で欠かせない要素がてんこ盛りなカードとなっています。

(*余談ですが、レベル8で守備力2500の融合モンスターなので烙印の気炎に対応できるティアラメンツネームのカードとしても役割を持たせられるようになりました)


また、ルルカロスだけにとどまらず追加された各種ティアラメンツ魔法カードたちも非常に優秀かつ強力な効果を持っています。

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):フィールドにモンスターが召喚・特殊召喚された場合に、
自分フィールドに「ティアラメンツ」モンスターまたは「ヴィサス=スタフロスト」が存在していれば発動できる。
自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。
このターン、相手フィールドのモンスターの攻撃力は500ダウンする。
(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「ティアラメンツ」罠カード1枚を手札に加える。


永続魔法の、所謂システム系カードに該当するカードです。
自分フィールドにティアラメンツかヴィサスが存在している時に互いのモンスターの召喚と特殊召喚をトリガーに、3枚落としに加えて打点500ダウンを付与します。

ティアラメンツというデッキの性質上、相手ターンに各種ティアラメンツモンスターを効果で落とす事により追加融合を狙うことが戦術やプランの一つとなっているのですが、このカードはその戦術やプランをより実現させやすくしてくれるカードと言えます。

自分のみならず、相手がモンスターの召喚や特殊召喚からスタートするタイプのデッキであれば「相手の初動としてのモンスターの召喚行為」が「こちらのメインギミックの起動に繋がる可能性」を持つ事を意味します。
相手からしてみれば「動きたいのに動けない」という状況に陥ってしまうので、見た目以上にこのカードの影響力は大きいと言えます。

また、攻撃力を500ダウンさせるというオマケ効果も、オマケ効果と形容するのが元よりおかしいと思うほどの凶悪な効果です。

捕食植物ドラゴスタペリア、エルシャドール・ミドラーシュといった「効果は強力だが打点不足が足を引っ張ってしまう」ようなモンスターを戦闘から守りやすくなるのは大きな利点であると言えます。
壱世壊=ペルレイノの500アップと重なる事でより凶悪なモンスターへと成り上がるのはもはや言うまでもありません。
アドバンテージが大事な現代遊戯王においてもバトルフェイズはいつの時代であっても切っては切れない関係であるが故、あえて言い表すのであれば「シンプルかつ強力な効果」であると個人的には思います。


(2)の効果もやはり単純ながら強力で、これまではキトカロスの特殊召喚時の効果で強力なティアラ罠カード群をサーチする事が前提となっていましたが、このカードの登場によりそれらの弱点も同時にほぼ全て克服(*)してしまいました。
(デッキの性質上、運悪く罠が揃わなかった場合なども稀に見られたため)

端的に言うと「結果的にキトカロスのサーチ範囲が広まってしまった」と言うことになります。
さも当たり前のようなことを綴りましたが、このデッキを知っている、あるいは使ったことのある方ならこの言葉の意味が多少なりとも理解できてしまうのではないかと思います。

詳しい事は後々公開予定の記事にて解説を致します。
要するに「強力なティアラ罠を複数構えられる可能性が上がった」ということです。

当初から取り上げられた課題として
テーマ内の罠カードは強力だが、サーチする手段がキトカロスのみになってしまっているため、重ね引き前提を強いられる上に重ね引きというシチュエーションそのものの再現性が低い」という課題がありました。

しかしながらこの(2)の効果はその弱点をたった1枚のこのカードで克服してしまったのです。
中には出た当初からこのカードを3枚投入されている構築も見られたほどで、(1)(2)共に強力な効果である結果の証明となりました(*)

(*出た当時はイシズギミック、朱光の宣告者共に全盛期であったため、やや過剰といった意見もあったほどで、全員が全員このカードを採用しているというわけではありませんでした)



このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを持ち主のデッキに戻す。
その後、自分の手札を1枚選んで墓地へ送る。
自分フィールドに「ヴィサス=スタフロスト」が存在する場合、この効果の対象を2枚にできる。
(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合、自分の墓地の「ティアラメンツ」罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。

こちらは速攻魔法で、少し特殊な発動条件を持った魔法罠除去の効果を持つカードです。

発動時の効果処理を伴うタイプのフィールド魔法および永続魔法への対策はもちろん、後攻時に出くわしやすい相手の厄介な永続罠や、不確定カードが多いセットカードなど、現代遊戯王といえど見た目以上にこのカードには持たせられる役割があります。

発動後は自分の手札のモンスターを墓地に送らなければならない分、簡単に打てる除去カードではありませんが……、ここまで記事を読んで頂いている方々からしてみれば、今から書くことが容易に想像できるのではないでしょうか。


その通りです。
このカードは能動的に効果でモンスターを墓地に送れるのです。

要するに、相手の後ろに触れながら次の攻め手の準備もできるという、隙を生じぬ二段構えがその場で作れてしまいます。
各種人魚を墓地へ送り、そのまま融合へ向かうのはもちろん、アギドかケルベクの5枚肥やしからスタートするのも可能ですし、ミラーであれば相手の哀唱(サリーク)を剥がしつつ予め墓地にムドラ又はケルドウを置いておくことで捲りを強くする等、使えば使うほど無限に案が出てきます(*)

(*次元の裂け目やマクロコスモスといった、存在するだけで除外させてくる系のカードも「除去→墓地へ送る」といった順番で処理をするので安全にモンスターを墓地へ送れます。)

また、効果の範囲が相手のみではなく自分のカードも巻き込める点が非常に優秀です。
何故?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、そのような状況になった場合はメインとなる効果は概ね「モンスターを効果で墓地へ送る事」となります。
詳しくはまた解説するのであまり深くは取り上げませんが、端的に言うと初手事故を最大展開までしてくれる可能性が出てきます。

実際、自分もそういったシチュエーションに何度か遭遇し、なんやかんやあって九死に一生を得た、という展開になった事があります。
具体的な解説は追々させていただきますので、次回の記事にご期待ください。

(2)の効果は、効果で墓地へ送られると、墓地のティアラ罠を回収する効果です。
先ほど解説した弦声(スクリーム)と違い、墓地から回収するのでタイミングによっては効果が使えない場面も出てきます。

しかしながらデッキの性質上、必ずしも使えないと言えばその限りではなく、展開の途中で拾ったり、予め落としていたものを最後の最後で回収できたり、と思いの外そのタイミングというのは巡ってきます。
その分不安定な部類の効果ではあるので、ご利用は計画的にといったところでしょうか。

強いて欠点を一つ挙げるとすれば、こちらは弦声と違って(1)と(2)がいずれか一度な点でしょうか。
些細な問題……ではないのがこのカードの評価を分けている理由の一つかなと思います。


何にせよ、こちらの効果も先ほど解説した弦声と同じく「強力なティアラ罠を複数構えられる可能性が上がった」という効果であることに違いはありません。

見た目に反して役割をかなり多く持たせられるカードであるので、是非一度使ってみてはいかがでしょうか。


このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):自分のデッキ・墓地から「ティアラメンツ」モンスターまたは「ヴィサス=スタフロスト」1体を選んで特殊召喚する。
その後、種族または属性がこの効果で特殊召喚したモンスターと同じとなる自分フィールドのモンスター1体を選んで墓地へ送る。
(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合、除外されている自分の「ティアラメンツ」罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。


最後は通常魔法です。
(1)の効果はほぼティアラモンスター専用の蘇生or展開札と言って差し支えない効果です。
展開した後はこの効果で出したモンスターと種族か属性が同じモンスターを場から墓地へ送るので、端的に言うと条件さえ整っていれば「このカード1枚で墓地融合したり墓地を肥やしたり自身を蘇生したりできるカード」に化ける事になります。

何より、除去された後の再利用に一手間がかかってしまうカレイドハートの完全蘇生札になるのは無視できない一つの強みだと個人的には思っています(*)

(*蘇生後は自身の効果も相まって諸刃の剣という感じはありますが、それでもテーマ内でサポートを受けられるカードが存在している分、他のテーマにも負けず劣らずな強みだと思います)

しかしながら、登場当初はこのカードを上手く使ったティアラメンツというのはあまりにも少なく、もはや目撃例が無いほどまでに珍しいor不採用が前提といった具合には世間に名を知らしめていないカードでありました。
「入れる必要がない」「強いが、入れても有効に使えそうな場面が少ない」等、かなり贅沢な悩みを抱えており「逆に入れる理由を見つける方が難しい」とまで言われていた側面も存在したかもしれません。

他デッキからしたらあり得ないとまで言われてしまうレベルにまで評価が著しくなかったこのカードではありますが、このカードに注目が集まるのはそう遠くないうちにやってきます。
そちらについては次回以降、もしくは個別解説の際に今回より詳しく記述させていただきますのでそちらをお待ちください。

(2)は除外されているティアラ罠を回収する効果。
身も蓋もない事を言うと、よほど特殊な構築、あるいは特殊な対面でなければこの効果を使う状況は来ませんでした。

メイルゥやハゥフニスの墓地肥やし効果にアトラクターをチェーンされた時、サイド後にコズミックで哀唱が飛ばされた時、等…全くないわけではないですが、いずれも自分のメインギミックの元に発生しているものではないので、この効果を能動的に使うとなるとかなり尖った構築、あるいは要求をされてしまいます。
あくまでおまけ程度に留めておき、いざそのタイミングが来たのならラッキー程度の認識で問題ないかと個人的には思っております。

ですがこちらの効果も、先ほど解説した(1)の効果と同じく後々になって明確に役割が与えられることとなります。
そちらについても後の記事で詳しく解説させていただきます。


環境において

先ほどの目次にもあった通り「最強テーマに最強新規」とは名ばかりではなく、新規カードを取り入れたことによりいよいよ本格的にティアラメンツの天下が始まってしまいます。

直近の改訂(2022/07/01)で、それまで環境トップシェアを誇っていたスプライトへの直接規制はなかったものの、メインギミック及びデッキパワーの底上げという役割を担っていた水晶機巧-ハリファイバーと餅カエルを失った事は決して無視できない弱体化であり、もはや構築そのものの再編を余儀なくされていました。

また、独自の強みを持ち、度々メタゲームへの参入を決めていたふわんだりぃずの主要フィールド魔法である謎の地図が準制限、烙印融合が準制限、烙印開幕が制限にまで押し込まれてしまうなど、スプライトやティアラメンツが台頭する前に頻繁にその名前を見たテーマたちの必須パーツが諸共規制されてしまい、いよいよもってティアラメンツの猛攻を止める他デッキが少なくなってきてしまった事実もありました。

これによりスプライトはユニオンキャリアー+ドラゴンバスターブレードを使った先行EX封じの戦術を取り入れて再び環境トップシェアの座に、ふわんだりぃずは烈風の結界像が無傷であったために多少の改築で済んだために軽傷、と思いの外早い段階でこれらのテーマは環境へ舞い戻ってきました。

対して烙印関係は、同弾で登場した深淵の獣を取り入れた所謂「烙印深淵」という型にシフトし、持ち前の手軽さ、腐っても前期環境トップシェアに居続けただけある単体パワーの高いカードをふんだんに取り入れた地力の高さ、スプライト及びティアラに対するメタ的な立ち位置としてしばしばメタゲームに食い込んできました。

神碑やアダマシア、その他深淵の獣やクシャトリラ・フェンリルを初動兼捲り札として出張させる目的として取り入れたアーキタイプも数多く存在し、一概にティアラ一強環境とまではいかなかったものの、やはりシェアの大半がスプライトやティアラに偏っていたことは紛れもない事実であり、パワーの高さやデッキとしての完成度の高さ等、トーナメントシーンで必要な要素をこれでもかと欲しいままにしていた事がわかる環境でした。

その結果として(と言えば少なからず語弊がありますが)2022年8月開催の日本選手権においては決勝トーナメント1回戦の準決勝戦において早々にティアラミラーが繰り広げられ、なんとマッチ1本目の段階で試合開始から40分が経過し、ETEDに入ってしまうという結果すら存在しています。

他のトーナメントシーンや大会ではこうしたミラーマッチの多発を懸念してか、大会ユーザーや所謂トーナメントプレイヤーの新出等が前年前々年に比べて低くなってしまった事も問題視され始めるようになっていたのもまた事実でした。
特にCS(非公式のトーナメント制の大会)では時間経過による警告やロスなども視野に入れなければいけないため、もはや構築の段階からそういったプランを取ることすらあったのかもしれません。

(*そこまでは詳しくないので深く言及はしません)


それでもなお圧倒的なシェア率を誇るティアラメンツ。
止まるところを見せない快進撃に、それでもと抗い続ける他デッキ達。

この猛攻を誰が止めるのか、或いは…彼ら(彼女ら)を止められるのは、他でもない彼ら(彼女ら)なのかもしれない………

と言った具合に、自他共に2022年10月1日の改訂を待つこととなってしまいました。

次回、最強テーマに最強新規
ご期待ください。

まとめ

これにて今回のpart3は以上となります。

前回記事に比べて文字数が約半分となり、若干の物足りなさを感じずにはいられませんが、簡単に解説をさせていただきました。
途中何度かそういったニュアンスのことを書きましたが、需要があればPOTE〜PHHYにて収録されたティアラメンツネームのカードを1枚1枚noteの記事にして書いたり、各環境で主に使用された構築の記事なども書いてみようかなとも思っております。

正直なところ、この歴史編だけでは書ききれない、言い表せないこと部分が多すぎるので…一通りこのpartが終わり次第こちらで内容を纏めて改めて記事としてアップしてみようかなと考えています。

詳しいことはまた次回以降にまとめのコラムで書かせていただきますので続報をお待ちください。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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